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二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。
52 聖女さん達、ちょっとだけ情報共有
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「な、なんだったんだアイツ……」
ステラが困惑するように呟くが、誰もそれにまともな答えを返せない。
意味が分からないのは皆一緒だし。
「と、とりあえず私達が此処まで来たから諦めて逃げたって感じですかね?」
「撤退って言ってたしそういう感じなのかもしんないっすけど……えーっと、多分っすけど、アイツが誘拐犯の親玉って感じで良いんすよね」
「だと思うんだけど……不可解な点しか無くて意味分かんないよね」
ほんと誰か教えてよ……マジで私達はどういう奴と戦ってたの?
「……まあ確かに何も分かりませんけど」
ミカが困惑で硬直している私達を横切るように前に出ながら言う。
「今は進みませんか? 進めば何か分かるかもしれませんし、さっきの敵の言ってることが本当なら子供達も居る筈なんで」
「……まあそうだね。立ち止まってても仕方が無いか」
もう当の本人はどっかに言っちゃって尋問もできない訳だし、だったら当初の目的を速い所済ませるべきだね。
「あ、すみません……なんか仕切るような事言っちゃって」
「いいよ、実際動かないと駄目な訳だし、そもそもその時々で仕切れる人が仕切ればよくないかな? それに立場上そういうの向いてるんじゃない?」
「いや、私は表立ってそんな事もしてこなかったし、そもそも器じゃないと言いますか……と、とにかく」
仕切り直すようにミカが言う。
「先に進みましょう」
「そうだね」
そんなやり取りを交わして、私達は先へと進む事にした。
そして先に進みながらステラが聞いてくる。
「なあアンナ。立場的にってのはどういう事だ? 結局ミカとかあのルカって男は何者なんだよ」
「あー私も気になりますね。いや、後にした方がいいってのは分かるんですけど、分からないことに分からない事が重なりすぎて意味分かんなくなってるんで……」
「詳しくは後で聞くとして、さらっと教えてくれよ」
「……確かに、シルヴィとステラだけ私達より更に訳分かんない状況なんだよね……ミカ、一応聞くけど言っても大丈夫?」
「皆さんなら大丈夫ですよ。それに私にその辺りの拒否権ありませんから」
「そういう事なら」
あくまで移動時間だから本当にさらっと二人に言う。
「まずミカは私達と同じように元聖女」
「あーやっぱりか」
「なんとなく予想通りですね」
「あと一国の王女様」
「「ちょっと待ったァッ!」」
二人から強いツッコミが入る。
「え、王女……えぇ!?」
「私達そんな人と戦ってたんですか!?」
予想通り凄い驚きようだ。
「いや、待て待て話がぶっ飛びすぎて理解が追い付かねえ。ってことは俺そんな人と殴り合いを――」
「でも私達は悪くないです」
やや青ざめた表情を浮かべるステラの肩に手を置いてシルヴィが更に一言念押しに。
「私達は悪くないです。出るところに出られてもなんとかなりますよ」
「えーっと、実際私が悪いのでその……そういう心配はしなくても大丈夫だと思います」
「そ、そうか……」
「そうですよ。私達は悪くないです」
やや強めにそう言うシルヴィ。
……いやぁ、出会ったすぐの頃は自信なさげな感じの子だったのに、自分に自信を持ってもらえるようになってからはなんかこう……凄いよね。
私達の中で一番メンタル強いかもしれない。
逆に私は……なんか思ったより弱かったな。
普通にちょっと泣いちゃってたみたいだし……うん、あんまり知りたくなかった。
「と、というかなんでそんな人が、あんな山の中で意味分からねえ事してたんだよ。
そもそもこんな所に居るのも謎だし」
「まあその辺は流石にさらっと言えるような話じゃないからね、後で私からで良ければ言える範囲で教えるよ」
私も全部把握している訳じゃないけどね。
「っていう事はあのルカって人は、ミカの 御付きの人って感じなんですかね」
「正解。なんか本人曰く執事らしいよ」
「へぇ……っていうかほんと、なんでアンナはアイツからそんな風な事を聞き出せるような感じになってんだよ」
「なんかあの人、アンナさんの事を信頼してそうな感じでしたし……いやほんと何があったんですか? アンナさん達の場合直接戦った関係な訳ですし」
「寧ろ戦った仲だからだよ。私がルカを偶然見つけたから話を聞き出そうとしたって感じ。信頼っていうのはそうだね……まあ私もコイツ敵じゃ無いなって感じに落ち着いたし、向こうもそんな感じなんじゃない?」
まあシルヴィ達がそう思う程度に信頼してくれていたなら、尚更アイツの稼いだ時間を完全に無駄にしたのが申し訳なく感じる訳だけど。
それよりも。
「それより私はシズクとミカが友達みたいな感じになってる方が気になるけどね。完全に接点ないじゃん。何があったの?」
まあしーちゃん関わってるからなんでもありなのは分かるけど。
「えーっとそれは……」
「そうっすね……」
中々言いにくそうにそう呟いた二人は互いに目を合わせてから言う。
「……なんかこう、色々ありまして……」
「そうっすね……色々っす……」
「あ……うん、そっか。言いにくい事なら言わなくても良いよ」
……なんか面と向かって言いにくいような事があったみたいだし……だったら言わなくても良いけど気になる。
しーちゃんが絡んでるから何あってもおかしくないし……まあ皆無事で元気ならいいか、うん。それでいいや。
……まあそんな感じで。
結局皆分からないことは一杯のままだけど、あくまで移動中にちょっと話す程度の感じだったからそれで終わり。
そうして私達は目的地へと到達する。
ステラが困惑するように呟くが、誰もそれにまともな答えを返せない。
意味が分からないのは皆一緒だし。
「と、とりあえず私達が此処まで来たから諦めて逃げたって感じですかね?」
「撤退って言ってたしそういう感じなのかもしんないっすけど……えーっと、多分っすけど、アイツが誘拐犯の親玉って感じで良いんすよね」
「だと思うんだけど……不可解な点しか無くて意味分かんないよね」
ほんと誰か教えてよ……マジで私達はどういう奴と戦ってたの?
「……まあ確かに何も分かりませんけど」
ミカが困惑で硬直している私達を横切るように前に出ながら言う。
「今は進みませんか? 進めば何か分かるかもしれませんし、さっきの敵の言ってることが本当なら子供達も居る筈なんで」
「……まあそうだね。立ち止まってても仕方が無いか」
もう当の本人はどっかに言っちゃって尋問もできない訳だし、だったら当初の目的を速い所済ませるべきだね。
「あ、すみません……なんか仕切るような事言っちゃって」
「いいよ、実際動かないと駄目な訳だし、そもそもその時々で仕切れる人が仕切ればよくないかな? それに立場上そういうの向いてるんじゃない?」
「いや、私は表立ってそんな事もしてこなかったし、そもそも器じゃないと言いますか……と、とにかく」
仕切り直すようにミカが言う。
「先に進みましょう」
「そうだね」
そんなやり取りを交わして、私達は先へと進む事にした。
そして先に進みながらステラが聞いてくる。
「なあアンナ。立場的にってのはどういう事だ? 結局ミカとかあのルカって男は何者なんだよ」
「あー私も気になりますね。いや、後にした方がいいってのは分かるんですけど、分からないことに分からない事が重なりすぎて意味分かんなくなってるんで……」
「詳しくは後で聞くとして、さらっと教えてくれよ」
「……確かに、シルヴィとステラだけ私達より更に訳分かんない状況なんだよね……ミカ、一応聞くけど言っても大丈夫?」
「皆さんなら大丈夫ですよ。それに私にその辺りの拒否権ありませんから」
「そういう事なら」
あくまで移動時間だから本当にさらっと二人に言う。
「まずミカは私達と同じように元聖女」
「あーやっぱりか」
「なんとなく予想通りですね」
「あと一国の王女様」
「「ちょっと待ったァッ!」」
二人から強いツッコミが入る。
「え、王女……えぇ!?」
「私達そんな人と戦ってたんですか!?」
予想通り凄い驚きようだ。
「いや、待て待て話がぶっ飛びすぎて理解が追い付かねえ。ってことは俺そんな人と殴り合いを――」
「でも私達は悪くないです」
やや青ざめた表情を浮かべるステラの肩に手を置いてシルヴィが更に一言念押しに。
「私達は悪くないです。出るところに出られてもなんとかなりますよ」
「えーっと、実際私が悪いのでその……そういう心配はしなくても大丈夫だと思います」
「そ、そうか……」
「そうですよ。私達は悪くないです」
やや強めにそう言うシルヴィ。
……いやぁ、出会ったすぐの頃は自信なさげな感じの子だったのに、自分に自信を持ってもらえるようになってからはなんかこう……凄いよね。
私達の中で一番メンタル強いかもしれない。
逆に私は……なんか思ったより弱かったな。
普通にちょっと泣いちゃってたみたいだし……うん、あんまり知りたくなかった。
「と、というかなんでそんな人が、あんな山の中で意味分からねえ事してたんだよ。
そもそもこんな所に居るのも謎だし」
「まあその辺は流石にさらっと言えるような話じゃないからね、後で私からで良ければ言える範囲で教えるよ」
私も全部把握している訳じゃないけどね。
「っていう事はあのルカって人は、ミカの 御付きの人って感じなんですかね」
「正解。なんか本人曰く執事らしいよ」
「へぇ……っていうかほんと、なんでアンナはアイツからそんな風な事を聞き出せるような感じになってんだよ」
「なんかあの人、アンナさんの事を信頼してそうな感じでしたし……いやほんと何があったんですか? アンナさん達の場合直接戦った関係な訳ですし」
「寧ろ戦った仲だからだよ。私がルカを偶然見つけたから話を聞き出そうとしたって感じ。信頼っていうのはそうだね……まあ私もコイツ敵じゃ無いなって感じに落ち着いたし、向こうもそんな感じなんじゃない?」
まあシルヴィ達がそう思う程度に信頼してくれていたなら、尚更アイツの稼いだ時間を完全に無駄にしたのが申し訳なく感じる訳だけど。
それよりも。
「それより私はシズクとミカが友達みたいな感じになってる方が気になるけどね。完全に接点ないじゃん。何があったの?」
まあしーちゃん関わってるからなんでもありなのは分かるけど。
「えーっとそれは……」
「そうっすね……」
中々言いにくそうにそう呟いた二人は互いに目を合わせてから言う。
「……なんかこう、色々ありまして……」
「そうっすね……色々っす……」
「あ……うん、そっか。言いにくい事なら言わなくても良いよ」
……なんか面と向かって言いにくいような事があったみたいだし……だったら言わなくても良いけど気になる。
しーちゃんが絡んでるから何あってもおかしくないし……まあ皆無事で元気ならいいか、うん。それでいいや。
……まあそんな感じで。
結局皆分からないことは一杯のままだけど、あくまで移動中にちょっと話す程度の感じだったからそれで終わり。
そうして私達は目的地へと到達する。
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