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三章 聖女さん、冒険者やります
18 中の人、名乗る
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さて、ブチギレて戦意を剥き出しにしているシルヴィだけど、それを発散させる訳にはいかない。
「やる気満々な所悪いがストップだシルヴィ」
ステラがシルヴィを羽交い絞めにして動きを止める。
「ちょ、何するんですかステラさん。ま、まさかステラさんも何かに取り憑かれているんですか!?」
「ちげーよ、アイツから色々話聞かねえといけねえからボコボコにしてもらっちゃ困るんだよ!」
「そもそもほら、シルヴィさんが一番怪我酷いんすから治療しないとっすよ。前出て戦ってる場合じゃないっす」
「ま、まあ確かに滅茶苦茶痛いんですけど……まあ、はい。分かりました」
そう言ってシルヴィが結界の棒を消す。とりあえず落ち着いてくれたかな。
それを確認してからステラがシルヴィへの羽交い絞めを解く。
「じゃあシズク、シルヴィの治療頼むわ」
「一応周囲警戒しながらよろしくね。ああ、後軽くシルヴィにあの中の人とのやり取り教えといて」
「はいっす!」
そう言ってシルヴィの治療を始めるシズクを背に、私達は一歩前に出る。
「ステラは大丈夫?」
「一応な。ちょっとふらふらするけど」
「全然大丈夫じゃないよね。とりあえずはい」
言いながらステラに治癒魔術を掛け始める。
「お、助かる」
「どういたしまして」
……さて。
一応治療を始めながらも、私達二人で中の人を警戒しながら距離を詰める。
警戒はしているけど……戦う為にじゃない。
シルヴィの中の人と話をしなければならない。
「いやぁ、助かったぞ。よくあの小娘を止めてくれた」
「止めなきゃ話さねえといけねえ事話せねえからな」
「一応聞くけど……まだ私達とやるつもりじゃないよね?」
「残念ながらこの状態じゃちときついの。出力は低下しとるし、そもそもこの体で魔術を使い続けると体がもたん。生きている者と幽霊のワシでは魔力が生成されるまでのプロセスが異なるようじゃの。まあ玉砕覚悟で一対一が限界じゃ」
苦笑いを浮かべる中の人だけど、やがて落ち着いた表情を浮かべて言う。
「さて、こうして敗北してワシ自身の手で事を解決する事が難しくなった今、ワシは新しい手段を考えねばならん……じゃ不幸中の幸いかの。ワシを倒した相手が同じ問題を抱えているかもしれないというのは」
「……まあ全然別件かもしれないけどね。あくまで私達も世界規模の問題抱えていて、なんかスケールが同じっぽいって位しか今の所共通点ない訳だし」
私達は世界規模で起きているヤバい事と対峙している。
そして中の人は、この世界なんていう大きな括りでバランスが崩れているとかなんとか言ってる。
まあ現状共通点はほんとスケール位。
「じゃの。まあこうなった以上、同じである事を祈って情報の擦り合わせをするという選択肢しかワシには用意されていないからの。というか同じでなければ大きな問題が二つ起きている事になる訳じゃから、そういう意味でも同じであってほしいの」
「だね」
流石に二つも大きな問題があったら手に余るなんて話じゃないし。
「まあ話すだけ話してみようぜ。違ったら違った時で色々考えりゃいい」
だけどその前に。
「あの、その前にさ、アンタの名前教えてくれないかな? 名前も分からないと話しにくいし……あ、私はアンナ」
「俺はステラ。で、後ろにいるのがシルヴィとシズクだ」
「ふむ、覚えたぞ。得に約一名は多分忘れる事などできないじゃろうな」
そう言って苦笑いを浮かべる中の人は、一拍空けてから私達に言う。
「では次はワシの番じゃの。ワシの名はレリア・オルフィル。ひとまずよろしく頼む」
「よし、じゃあレリアね。よろしく……ってレリア・オルフィル!?」
その名前を聞いて思わず声を上げてしまった。
「ど、どうしたアンナ。まさかコイツ結構有名な奴だったりするのか?」
「け、結構なんてもんじゃないよ。もし本物だったらとんでもない人……いや、とんでもないお方だよ!」
そして多分本物だ。
先程の戦いでの実力や、この世界のバランスが崩れているなんてスケールの大きな事を調べられる技術はまさしく目の前の幽霊がレリア・オルフィルである事を物語っているから。
そうだ、凄い魔術の実力が、その言葉の信憑性を高くする。
「魔術を研究している人なら知らない人がいない。現代魔術の基礎を築いたとされる歴史に名を残す大大大天才だよ!」
「やる気満々な所悪いがストップだシルヴィ」
ステラがシルヴィを羽交い絞めにして動きを止める。
「ちょ、何するんですかステラさん。ま、まさかステラさんも何かに取り憑かれているんですか!?」
「ちげーよ、アイツから色々話聞かねえといけねえからボコボコにしてもらっちゃ困るんだよ!」
「そもそもほら、シルヴィさんが一番怪我酷いんすから治療しないとっすよ。前出て戦ってる場合じゃないっす」
「ま、まあ確かに滅茶苦茶痛いんですけど……まあ、はい。分かりました」
そう言ってシルヴィが結界の棒を消す。とりあえず落ち着いてくれたかな。
それを確認してからステラがシルヴィへの羽交い絞めを解く。
「じゃあシズク、シルヴィの治療頼むわ」
「一応周囲警戒しながらよろしくね。ああ、後軽くシルヴィにあの中の人とのやり取り教えといて」
「はいっす!」
そう言ってシルヴィの治療を始めるシズクを背に、私達は一歩前に出る。
「ステラは大丈夫?」
「一応な。ちょっとふらふらするけど」
「全然大丈夫じゃないよね。とりあえずはい」
言いながらステラに治癒魔術を掛け始める。
「お、助かる」
「どういたしまして」
……さて。
一応治療を始めながらも、私達二人で中の人を警戒しながら距離を詰める。
警戒はしているけど……戦う為にじゃない。
シルヴィの中の人と話をしなければならない。
「いやぁ、助かったぞ。よくあの小娘を止めてくれた」
「止めなきゃ話さねえといけねえ事話せねえからな」
「一応聞くけど……まだ私達とやるつもりじゃないよね?」
「残念ながらこの状態じゃちときついの。出力は低下しとるし、そもそもこの体で魔術を使い続けると体がもたん。生きている者と幽霊のワシでは魔力が生成されるまでのプロセスが異なるようじゃの。まあ玉砕覚悟で一対一が限界じゃ」
苦笑いを浮かべる中の人だけど、やがて落ち着いた表情を浮かべて言う。
「さて、こうして敗北してワシ自身の手で事を解決する事が難しくなった今、ワシは新しい手段を考えねばならん……じゃ不幸中の幸いかの。ワシを倒した相手が同じ問題を抱えているかもしれないというのは」
「……まあ全然別件かもしれないけどね。あくまで私達も世界規模の問題抱えていて、なんかスケールが同じっぽいって位しか今の所共通点ない訳だし」
私達は世界規模で起きているヤバい事と対峙している。
そして中の人は、この世界なんていう大きな括りでバランスが崩れているとかなんとか言ってる。
まあ現状共通点はほんとスケール位。
「じゃの。まあこうなった以上、同じである事を祈って情報の擦り合わせをするという選択肢しかワシには用意されていないからの。というか同じでなければ大きな問題が二つ起きている事になる訳じゃから、そういう意味でも同じであってほしいの」
「だね」
流石に二つも大きな問題があったら手に余るなんて話じゃないし。
「まあ話すだけ話してみようぜ。違ったら違った時で色々考えりゃいい」
だけどその前に。
「あの、その前にさ、アンタの名前教えてくれないかな? 名前も分からないと話しにくいし……あ、私はアンナ」
「俺はステラ。で、後ろにいるのがシルヴィとシズクだ」
「ふむ、覚えたぞ。得に約一名は多分忘れる事などできないじゃろうな」
そう言って苦笑いを浮かべる中の人は、一拍空けてから私達に言う。
「では次はワシの番じゃの。ワシの名はレリア・オルフィル。ひとまずよろしく頼む」
「よし、じゃあレリアね。よろしく……ってレリア・オルフィル!?」
その名前を聞いて思わず声を上げてしまった。
「ど、どうしたアンナ。まさかコイツ結構有名な奴だったりするのか?」
「け、結構なんてもんじゃないよ。もし本物だったらとんでもない人……いや、とんでもないお方だよ!」
そして多分本物だ。
先程の戦いでの実力や、この世界のバランスが崩れているなんてスケールの大きな事を調べられる技術はまさしく目の前の幽霊がレリア・オルフィルである事を物語っているから。
そうだ、凄い魔術の実力が、その言葉の信憑性を高くする。
「魔術を研究している人なら知らない人がいない。現代魔術の基礎を築いたとされる歴史に名を残す大大大天才だよ!」
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