仲の良い幼馴染の兄弟が姉妹だった話

山外大河

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二章 これまでの事、これからの事

7 未知のエリア

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「ちなみに私は入った事が無いからイメージでしか知識が無いんだけど。明人は?」

「当然ながら俺もねえよ。こんな素人二人で大丈夫か?」

「ま、なんかそれっぽくなるでしょ」

 そんなやり取りを交わしながらいざ実践となった訳だが、渚の言う通りなんかそれっぽくはなった。
 機械音痴の人間が慣れない機械に触って大変な事になるみたいな事は、日常生活レベルではそうそう起きるものでは無く、そして俺も渚もこういう事以外には触れてきた訳で。
 手順に従ってノリと勢いでそれっぽく楽しむ事には何の難しさも感じない。
 ……感じないのだけど。

「……」

 なんか、すっごくカップルカップルしてるのが出来んだけど。
 いや、出来ちゃったと言うべきか。
 なんとなく女友達と作る様な物じゃない物が出来た気がする。
 いや、世の男女の友情を結んでいる連中が作る物も知らなければ、女友達とこういう事をするのかも分からないけど。

「うん、多分良い感じになってるよ。可愛いじゃん。スマホケースに挟んどこ」

「え、そんな人に見られるような所に?」

「……駄目?」

「いや駄目じゃねえけど……」

「よし。じゃあやっちゃお」

 というか寧ろ渚の方が駄目ではないのだろうか?
 そんなまるで彼氏彼女みたいな……いや、それ気にしてたらそもそも二人で撮らないか。
 ……やっぱり親友とはいえ異性の友人二人でこういうの撮ってるのって、友人とか親友の距離感としておかしいんじゃねえのか?
 ……おかしい。
 おかしいんだよやっぱり。

「……」

 今日一日。
 今日一日、何度も同じような事を考えた。
 その度にそれらしい結論を出して、それを上塗りするようにまた同じような疑問を浮かべて、多分俺は今もそうしようとしていた。

 だけどそうする事を踏み留まる自分が居た。
 これまでとは逆に、そこに抵抗を覚えるようになってきた。
 コップに水を注ぎ続ければやがて溢れるように、渚から感じる距離感を勘違いだと処理し続ける事が限界になってきたのかもしれない。
 それだけ一発一発の衝撃が大きく、キャパをいきなりぶち抜いてきたような、そんな感じだ。
 本当に親友としての距離感なのかを、知らないままでいられない。

 そして……いや、多分それ以上に。

 積み重ねていく内に、なんだか不安になってきたのだ。
 踏み込む事によって悪い意味で関係が壊れる事よりも。
 これが恋人でも無い異性に向ける距離感なのだとすれば、俺以外にもその内こんな距離感で接していくんじゃないかって不安があまりにも強い。
 別に渚が俺の彼女って訳じゃ無いのに。

 だから。
 だから良くない形かもしれないけれど。
 そんな不安が、無計画に背中を押した。

「……駄目じゃねえけど、男女二人で撮った奴だぞ。こういうのは……その、今更だけど、そういう関係の奴らがやる事なんじゃねえか?」

 こういう距離感で接するのが、親友である俺に対してだけであるという確信を得る為に。
 あわよくば渚が俺に対してどういう感情を向けているのかを知る為に。
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