仲の良い幼馴染の兄弟が姉妹だった話

山外大河

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二章 これまでの事、これからの事

ex 首を絞める。絞められる。

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 リビングでコーヒーを淹れて姉の渚の恋バナ、もとい惚気のような物をいつものように聞いていた楓だが、やはり語られる今日の内容はいつものようにはいかない。
 やはり環境の変化というのがあまりにも大きかったのだろう。
 明るく前向きで。
 そしてようやく真っ当な恋の話になったような、そんな気がした。
 だけどそんな風にいつもの様子では無かったとしても、姉と先輩の現状という奴は大体予想通りな感じに落ち着いている。
 一言で言えば親友以上恋人未満みたいな形だろうか?

(……まあ先輩相手だしね)

 先輩は普段こそ彼女欲しいオーラを放ちまくっているが、きっと相手が秋瀬渚だからこそそんな簡単にそういう関係にはなったりしないと思っていたから。
 落ち着く所に落ち着いた。
 今朝の段階でも最終的に紆余曲折有ってくっつくとは思っていたけど、想定していた紆余曲折がまさにそれだ。
 親友の事を大事に考えているから。
 考えてくれるだろうから。
 良くも悪くも一旦はそういう形に落ち着く。
 良くも悪くも。

(……駄目だ、良くないなこれ)

 姉の話を聞きながら思う。
 良くも悪くも、一旦はそういう形に落ち着く。

 ……良くも。
 …………良くも。

(……全部自分の都合の良い様に考えちゃうな)

 都合が良い。
 だってそれはまだ。
 自分の初恋が終わらないでいてくれたという事なのだから。
 とはいえ終わっていないだけ。
 真綿でくびをしめるように、ゆっくりと終わりに向かっていくだけ。
 それどころか。

「なるほど。休みの日のデートで着ていける可愛い服が無い……確かにね」

「今までが今までだったから、ボーイッシュって感じの着こなしが出来る物しか無いんだよね。だから今度の休みの前に学校の帰りにでも見に行こうかなって。滅茶苦茶良い感じの勝って後日サプラーイズ的な」

「良いんじゃないかな……いや、でもちょっと待って」

「ん? どしたの?」

「いっそのこと服を買いに行くデート……とかはどうかな」

「あ、それもアリだ。アリ寄りのアリ。うわー悩むな。サプライズを取るか一緒にあーでもないこーでもないって選ぶのを取るか。悩ましい」

「楽しそうだね」

「楽しいよ……待ってたから、こういうの」

「……そうだね」

 それどころか自分で自分の首を絞めるような言動もしてしまう。
 ……本当に嫌になる。
 二人を祝福したいのは本心で、だからこそ首を絞めるような言動もしてしまっているのに。
 それでも目の前の全部を否定したい自分もいて。だからこそ姉へ掛ける言葉が自傷行為にも感じられてしまって。
 まるで人の不幸を願ってしまうかのような、醜い自分が本当に嫌になる。

 ……目の前で幸せそうに話す姉が、これまでどれだけ苦しんできたかを知っているのに。
 ……とにかく、どう考えようと。
 この先どう転がろうと。

 自分には戦う権利が与えられていない。
 歩み出す為の道は用意されていない。

 分かっているのに。
 ……分かっているのに。
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