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二章 ごく当たり前の日常を掴む為に
9 試し打ち
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スライムの姿を確認した俺達は各々構えを取る。
アリサはナイフを構え、俺はカタナを鞘から抜いた。
恐らくこの後魔獣と戦う事になる事を考えれば、その前に軽くでも戦闘を熟しておきたかった。
リハビリ兼ウォーミングアップだ。
「二匹か」
「凄い勢いで向かってきますね」
「無茶苦茶弱いのにやたら好戦的なんだよなアイツら」
それ故に戦闘経験の全くない冒険者からの印象は怖いだそうだ。
戦ってみれば何とかなるけど、それはもう凄い好戦的に向かってくるからな。そりゃ完全に素人な時に出くわしたら怖いわ。
「とりあえずどうする?」
「どうするもなにも、別に何体で来られてもどうにかできますからね」
「だな。まあとりあえずウォーミングアップと行こうぜ」
一応、試しておきたい事もあるから。
俺は神経を集中させ、体内で術式を構築する。
そうだ。まだ対した事は出来ないけれど、実戦で風以外の魔術を使っておきたかった。
発動させるのは手の平から火を出す初級魔術。
それを応用して手の平に小さな炎の塊を作りだす。
初級魔術の応用、ファイアボール。
流石に魔獣相手にはまだ使える訳がねえが、スライム相手ならどうにかなるだろ!
「おらぁ!」
そしてファイアーボールを跳びかかってきたスライムに向けて放つ。
そして着弾。
ファイアボールはスライムに着弾した瞬間、スライムの体に炎を纏わせその身を焦がし、呻き声と共にやがてスライムは動かなくなる。
……よしよし、初めてにしては上出来じゃないの?
「……よし、じゃあボクも」
どうやらアリサもこの一週間で習得した魔術を試してみる事にしたらしい。
アリサは左手で持っていたナイフを仕舞い、神経を集中させる様な素振りを見せる。
するとアリサの手からはバチバチと稲妻の様な物が発生している。
……なんか見た感じ出力強くね?
「これを……こう」
そしてアリサはその手をナイフに添える。
するとナイフが目に見えて分かる程バチバチと稲妻を纏い始めた。
……なんか応用力初心者のソレじゃなくね?
「そしてこれを打ち込む!」
そして勢いよくスライムに向けて、稲妻を纏わせたナイフを投擲する。
するとナイフが突き刺さったスライムの全身に稲妻が走り、まるで勢いよく稲妻を纏ったようになり……あの、跡形もなく消し飛んだんだけど。
完全にオーバーキルじゃね?
「どうですか? 一週間ちょっと頑張ってみました!」
そうなんか褒めてほしそうな感じでアリサが言う。
でもね、アレだよ。お前に渡したの初級中級編だよ? そういう魔術しか乗ってないよあれ。
それがどうやったらこうなるんですかね。
「……すげえな。完全に実戦で使えるレベルじゃん」
「えへへ」
とりあえずそんな言葉を交わした後、俺は少し冷静になって言う。
「アリサ」
「はい!」
「帰ったら上級編買おうな」
「あ、はい」
コイツは絶対こんな初歩で止めておくべき才能じゃねえ。
多分純粋な魔術師としてもすげえ逸材なんじゃねえかな。
そんでアレだ……俺ももっと頑張ろ。
あの程度で初めてにしてはとか、喜んでる場合じゃねえ。
俺は俺でちゃんと実戦レベルで使える何かにまで持っていかないといけない。
その為にもアレだ。恥を忍んで聞いとこう。
「なあ、アリサ。一応始めたばっかのお前にこんな事聞くのアレだけど……何かコツとかあんの?」
アリサは才能の塊だ。だから何か俺が成長する為の糸口が掴めるかもしれない。
「コツ……ですか」
「そう、コツ。なんかねえかな?」
「そうですね……ボク結構感覚でやってる所ありますから。やってる事説明しようにもシュっとやってサッてやってズガガンってなってボーンって感じですかね」
「うんうん……ごめん全然分かんねえや」
だって魔術発動までの工程でそんな擬音発生するタイミング無いよね? もしあったらアリサの体の中でおかしな事起きてない?
俺だって結構感覚派だけど……えぇ……?
「……すみません」
「あーうん、いいよ。独学で頑張ってみる。ほら、風の魔術だってそれでどうにかしたし」
これはもう完全にそうするしかない奴だ。下手に話聞いてると訳わからなくなって、かえってまともに魔術を使えなくなる奴だ。
しかし……ちょっとへこむな。一週間で此処まで差がでんの? えぇ……。
……だけど一つ、希望が持てた。
アリサはあの教本で、このレベルの魔術を習得した。
つまりは同じ魔術でも。あの程度の入門向けの教本に乗っている魔術でも、使い手次第で化けるんだ。
実戦レベルにまで持っていけるんだ。
だから……そのリーナって子がアリサと同じ一週間という期間でそのレベルにまで到達していれば。
到達していれば、アリサの様な近接戦闘能力を持ち合わせていないとしても、魔獣と遭遇し戦闘になる様な事態に陥っていたとしても無事な可能性が出てくる。
願わくば、そうであってほしい所だ。
「まあ魔術云々の話は後にしよう」
「……ですね。とにかくまずはリーナさんを探しましょう」
そして俺達はスライムとの戦闘を終え、リーナの探索へと再び動きだした。
アリサはナイフを構え、俺はカタナを鞘から抜いた。
恐らくこの後魔獣と戦う事になる事を考えれば、その前に軽くでも戦闘を熟しておきたかった。
リハビリ兼ウォーミングアップだ。
「二匹か」
「凄い勢いで向かってきますね」
「無茶苦茶弱いのにやたら好戦的なんだよなアイツら」
それ故に戦闘経験の全くない冒険者からの印象は怖いだそうだ。
戦ってみれば何とかなるけど、それはもう凄い好戦的に向かってくるからな。そりゃ完全に素人な時に出くわしたら怖いわ。
「とりあえずどうする?」
「どうするもなにも、別に何体で来られてもどうにかできますからね」
「だな。まあとりあえずウォーミングアップと行こうぜ」
一応、試しておきたい事もあるから。
俺は神経を集中させ、体内で術式を構築する。
そうだ。まだ対した事は出来ないけれど、実戦で風以外の魔術を使っておきたかった。
発動させるのは手の平から火を出す初級魔術。
それを応用して手の平に小さな炎の塊を作りだす。
初級魔術の応用、ファイアボール。
流石に魔獣相手にはまだ使える訳がねえが、スライム相手ならどうにかなるだろ!
「おらぁ!」
そしてファイアーボールを跳びかかってきたスライムに向けて放つ。
そして着弾。
ファイアボールはスライムに着弾した瞬間、スライムの体に炎を纏わせその身を焦がし、呻き声と共にやがてスライムは動かなくなる。
……よしよし、初めてにしては上出来じゃないの?
「……よし、じゃあボクも」
どうやらアリサもこの一週間で習得した魔術を試してみる事にしたらしい。
アリサは左手で持っていたナイフを仕舞い、神経を集中させる様な素振りを見せる。
するとアリサの手からはバチバチと稲妻の様な物が発生している。
……なんか見た感じ出力強くね?
「これを……こう」
そしてアリサはその手をナイフに添える。
するとナイフが目に見えて分かる程バチバチと稲妻を纏い始めた。
……なんか応用力初心者のソレじゃなくね?
「そしてこれを打ち込む!」
そして勢いよくスライムに向けて、稲妻を纏わせたナイフを投擲する。
するとナイフが突き刺さったスライムの全身に稲妻が走り、まるで勢いよく稲妻を纏ったようになり……あの、跡形もなく消し飛んだんだけど。
完全にオーバーキルじゃね?
「どうですか? 一週間ちょっと頑張ってみました!」
そうなんか褒めてほしそうな感じでアリサが言う。
でもね、アレだよ。お前に渡したの初級中級編だよ? そういう魔術しか乗ってないよあれ。
それがどうやったらこうなるんですかね。
「……すげえな。完全に実戦で使えるレベルじゃん」
「えへへ」
とりあえずそんな言葉を交わした後、俺は少し冷静になって言う。
「アリサ」
「はい!」
「帰ったら上級編買おうな」
「あ、はい」
コイツは絶対こんな初歩で止めておくべき才能じゃねえ。
多分純粋な魔術師としてもすげえ逸材なんじゃねえかな。
そんでアレだ……俺ももっと頑張ろ。
あの程度で初めてにしてはとか、喜んでる場合じゃねえ。
俺は俺でちゃんと実戦レベルで使える何かにまで持っていかないといけない。
その為にもアレだ。恥を忍んで聞いとこう。
「なあ、アリサ。一応始めたばっかのお前にこんな事聞くのアレだけど……何かコツとかあんの?」
アリサは才能の塊だ。だから何か俺が成長する為の糸口が掴めるかもしれない。
「コツ……ですか」
「そう、コツ。なんかねえかな?」
「そうですね……ボク結構感覚でやってる所ありますから。やってる事説明しようにもシュっとやってサッてやってズガガンってなってボーンって感じですかね」
「うんうん……ごめん全然分かんねえや」
だって魔術発動までの工程でそんな擬音発生するタイミング無いよね? もしあったらアリサの体の中でおかしな事起きてない?
俺だって結構感覚派だけど……えぇ……?
「……すみません」
「あーうん、いいよ。独学で頑張ってみる。ほら、風の魔術だってそれでどうにかしたし」
これはもう完全にそうするしかない奴だ。下手に話聞いてると訳わからなくなって、かえってまともに魔術を使えなくなる奴だ。
しかし……ちょっとへこむな。一週間で此処まで差がでんの? えぇ……。
……だけど一つ、希望が持てた。
アリサはあの教本で、このレベルの魔術を習得した。
つまりは同じ魔術でも。あの程度の入門向けの教本に乗っている魔術でも、使い手次第で化けるんだ。
実戦レベルにまで持っていけるんだ。
だから……そのリーナって子がアリサと同じ一週間という期間でそのレベルにまで到達していれば。
到達していれば、アリサの様な近接戦闘能力を持ち合わせていないとしても、魔獣と遭遇し戦闘になる様な事態に陥っていたとしても無事な可能性が出てくる。
願わくば、そうであってほしい所だ。
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