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二章 ごく当たり前の日常を掴む為に
30 まさかの緊急事態 下
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……やべー。なんか着替え貸すって言っておきながら、貸せる奴ないじゃん。
いやいやいやいや、マジでどーすんのこれ。もうリーナシャワー浴びに行っちゃってるよ? もう言った発言撤回できねえよ!?
選択肢としてぱっと浮かんだのが、今俺が履いているジャージを貸すという選択肢。
だけどそれはそれでマジでヤバイ。
何がヤバイって、俺が今この下何も履いていないという最悪な状況に陥っているという事である。
当然故意ではない。こうなったのは事故だ。
持っていたパンツは三枚、だったのは今は昔の話。
一枚びしょ濡れ。もう一枚外干ししててびしょ濡れ。そしてもう一枚。もう一枚は先日なんか破れて死んだ。そもそも今日の外出は日用品などを買いに行く筈だったので、それをすっかり忘れていた今、我が家にはパンツは二枚しかない訳だ。
そんな状況でジャージをリーナに渡してみろ?
女の子二人を家に連れ込んで下半身露出している完全に変態のヤベー奴に成り下がる。それはあまりにもマズイ。
……だけど、だったらどうすればいい。どうすればこの絶望的な状況を脱する事ができる。
何か……何か手立ては……ッ。
そしてその瞬間、脳裏に電撃が走った様な感覚があった。
ある。このクローゼットの中で可能性。この状況を乗り切れる最有力アイテム……ッ。
そして俺は半ばやけくそ気味にそれを手にし、脱衣場へと向かう。
……そしてまだシャワーの音が聞こえる事を確認。タイミング悪く鉢合わせるというか事態は回避。
そして脱衣場に入り、棚の上にそのアイテムを置いた。
「とりあえず着替え前の棚の上に置いとくぞ」
「あざっす先輩」
そしてそのまま退出。脱ぎ捨てられた衣服には極力視線を合わせないデリカシーしかない無駄のない動き。
「……よし」
ひとまずこれでミッションコンプリートである。
……さて、切り替えよう。ピンチは脱した。人間切り替えが大事である。
「聞かなくてもなんとなく分かるけど、コーヒー砂糖入れるよな」
「はい、それでお願いします」
とまあそんな確認を取ってコーヒーを入れる。
ちなみにこれこの前アリサからお裾分け来てもらったギフトセットの奴である。とてもいい奴マジおいしい。
さて、そんなコーヒーを用意して着席。
「おまたせ」
そう言ってアリサにコーヒーを渡す。
「ありがとうございます」
「おう。まあお前からの貰い物だけどな」
そしてお互い一口コーヒーを飲んで、一息付いた所で、俺はアリサに言う。
「なあ、アリサ」
「どうしました?」
「その……悪かったな。俺の勝手な判断でリーナにお前の隠し事喋っちまって」
俺とアリサが二人のタイミングでまず真っ先にやらないといけない事が何かと言えば、アリサの隠し事を無断で喋ってしまった事だろう。
状況的にも結果論で言っても、あの時の判断が間違いだったとは思わない。思わないけど……それとこれとは話しは別だろう。
とにかくそれは、謝っておかないといけない。
「いいですよ、別に」
そしてアリサは俺の謝罪に、特に怒ったような様子を見せずにそう言った。
「……怒らねえんだな。結果的にはうまく行ったけど、そうならなかった可能性もあるわけだし……人の隠し事勝手に喋るって怒られても仕方ないと思うんだけど」
「そりゃまあリーナさんが不運スキルの事を知ってた時、なんで話しちゃったんだって思いましたよ。あの時あの瞬間はちょっと怒ってたかもしれません」
だけど、とアリサは言う。
「でもだとしても、かもしれないって言わないといけないような曖昧な物です。その程度なんですよ」
そしてアリサは笑みを浮かべて言う。
「クルージさんがリーナさんに話したのなら、多分それがクルージさんの中で一番良い選択です。だったらその……ちゃんとボクの事を考えてくれての判断だって思いますから。そう思える位には、信頼してますよ、クルージさんの事」
と、そこまで言ってからアリサは少し顔を赤らめ視線を反らす。
「……うん、ありがとな、信頼してくれて」
そして俺も頬を掻きながら視線を反らした。
……うん、嬉しいけどね。やっぱり面と向かってそういう事言ったり言われるのはなんかこう……恥ずかしいよね。
と、その時だった。
部屋の扉が開かれ……リーナが恐る恐るという様な表情で。そして顔を少し赤らめて部屋に入ってきた。
……その瞬間思ったよ。全然ミッションコンプリートしてない。盛大に大失敗してるって。
「……え、リーナさん……な、なんでそんな格好……」
「せ、先輩に聞いてほしいっす……いやぁ、いい趣味してるっすね先輩」
アリサは状況に付いていけない様な表情を浮かべ、リーナもそう言って顔を赤らめながら苦笑いしている。
そりゃそうなるよ。だって大失敗だったもん。
なんかこう……この前サイズ間違えて買ったデカイYシャツあったなーって。
結果隠れるところは隠れてるけど、まあとにかくアレだ。
これ完全に大失敗じゃねえかああああああああああああッ!
いやいやいやいや、マジでどーすんのこれ。もうリーナシャワー浴びに行っちゃってるよ? もう言った発言撤回できねえよ!?
選択肢としてぱっと浮かんだのが、今俺が履いているジャージを貸すという選択肢。
だけどそれはそれでマジでヤバイ。
何がヤバイって、俺が今この下何も履いていないという最悪な状況に陥っているという事である。
当然故意ではない。こうなったのは事故だ。
持っていたパンツは三枚、だったのは今は昔の話。
一枚びしょ濡れ。もう一枚外干ししててびしょ濡れ。そしてもう一枚。もう一枚は先日なんか破れて死んだ。そもそも今日の外出は日用品などを買いに行く筈だったので、それをすっかり忘れていた今、我が家にはパンツは二枚しかない訳だ。
そんな状況でジャージをリーナに渡してみろ?
女の子二人を家に連れ込んで下半身露出している完全に変態のヤベー奴に成り下がる。それはあまりにもマズイ。
……だけど、だったらどうすればいい。どうすればこの絶望的な状況を脱する事ができる。
何か……何か手立ては……ッ。
そしてその瞬間、脳裏に電撃が走った様な感覚があった。
ある。このクローゼットの中で可能性。この状況を乗り切れる最有力アイテム……ッ。
そして俺は半ばやけくそ気味にそれを手にし、脱衣場へと向かう。
……そしてまだシャワーの音が聞こえる事を確認。タイミング悪く鉢合わせるというか事態は回避。
そして脱衣場に入り、棚の上にそのアイテムを置いた。
「とりあえず着替え前の棚の上に置いとくぞ」
「あざっす先輩」
そしてそのまま退出。脱ぎ捨てられた衣服には極力視線を合わせないデリカシーしかない無駄のない動き。
「……よし」
ひとまずこれでミッションコンプリートである。
……さて、切り替えよう。ピンチは脱した。人間切り替えが大事である。
「聞かなくてもなんとなく分かるけど、コーヒー砂糖入れるよな」
「はい、それでお願いします」
とまあそんな確認を取ってコーヒーを入れる。
ちなみにこれこの前アリサからお裾分け来てもらったギフトセットの奴である。とてもいい奴マジおいしい。
さて、そんなコーヒーを用意して着席。
「おまたせ」
そう言ってアリサにコーヒーを渡す。
「ありがとうございます」
「おう。まあお前からの貰い物だけどな」
そしてお互い一口コーヒーを飲んで、一息付いた所で、俺はアリサに言う。
「なあ、アリサ」
「どうしました?」
「その……悪かったな。俺の勝手な判断でリーナにお前の隠し事喋っちまって」
俺とアリサが二人のタイミングでまず真っ先にやらないといけない事が何かと言えば、アリサの隠し事を無断で喋ってしまった事だろう。
状況的にも結果論で言っても、あの時の判断が間違いだったとは思わない。思わないけど……それとこれとは話しは別だろう。
とにかくそれは、謝っておかないといけない。
「いいですよ、別に」
そしてアリサは俺の謝罪に、特に怒ったような様子を見せずにそう言った。
「……怒らねえんだな。結果的にはうまく行ったけど、そうならなかった可能性もあるわけだし……人の隠し事勝手に喋るって怒られても仕方ないと思うんだけど」
「そりゃまあリーナさんが不運スキルの事を知ってた時、なんで話しちゃったんだって思いましたよ。あの時あの瞬間はちょっと怒ってたかもしれません」
だけど、とアリサは言う。
「でもだとしても、かもしれないって言わないといけないような曖昧な物です。その程度なんですよ」
そしてアリサは笑みを浮かべて言う。
「クルージさんがリーナさんに話したのなら、多分それがクルージさんの中で一番良い選択です。だったらその……ちゃんとボクの事を考えてくれての判断だって思いますから。そう思える位には、信頼してますよ、クルージさんの事」
と、そこまで言ってからアリサは少し顔を赤らめ視線を反らす。
「……うん、ありがとな、信頼してくれて」
そして俺も頬を掻きながら視線を反らした。
……うん、嬉しいけどね。やっぱり面と向かってそういう事言ったり言われるのはなんかこう……恥ずかしいよね。
と、その時だった。
部屋の扉が開かれ……リーナが恐る恐るという様な表情で。そして顔を少し赤らめて部屋に入ってきた。
……その瞬間思ったよ。全然ミッションコンプリートしてない。盛大に大失敗してるって。
「……え、リーナさん……な、なんでそんな格好……」
「せ、先輩に聞いてほしいっす……いやぁ、いい趣味してるっすね先輩」
アリサは状況に付いていけない様な表情を浮かべ、リーナもそう言って顔を赤らめながら苦笑いしている。
そりゃそうなるよ。だって大失敗だったもん。
なんかこう……この前サイズ間違えて買ったデカイYシャツあったなーって。
結果隠れるところは隠れてるけど、まあとにかくアレだ。
これ完全に大失敗じゃねえかああああああああああああッ!
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