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三章 人間という生き物の本質
80 勝つ為の作戦を
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「……わ、分かった!」
言われて必死に状況を打破する為の策を考え始める。
今このままアリサの所に向かったとして、ただでさえアリサが自分と同格かもしれない相手と戦っているのに、そこにコイツを連れて行く事になる。
だから必然的にコイツを何とかする。倒す必要がある。
……俺達三人で、コイツを。
だけどリーナの言う通り、真正面からぶつかっても勝てない。
そもそも近づくのが困難な上、今こうしてこちらを追ってきているフィジカルを見ると、間違いなく近接戦闘もできるタイプの魔術師だから。
例え目の前に到達できても叩き潰されて終わるだけかもしれないから。
……だから練るんだ、作戦を。
正攻法から外れたような作戦を。
「向こうが魔術打ち終わった所で立ち止って突っ込むか!? どうせ今は向こうから距離詰めてきてんだ」
「多分こっちが止まれば向こうもそれに合わせて動いてくんだろ。俺らより早い動きで距離取られて魔術を打ち込んでくる!」
俺の考えにグレンはそう否定的な事を言うが、それでも軌道修正するように言う。
「いや……向こうより早く動ければなんとかなるのか?」
「……」
グレンが何を言いたいのかは理解できた。
俺とグレンには、連発できるものではないがそれが可能な秘策がある。
……だけど。
だけど当てられるのか? 格上でフィジカルも高い相手に真正面からあの技使ったとして。
「……駄目だ」
多分それでも目の前の敵との差は埋まらない。その程度の意表を突く作戦では。
「……それだけじゃ足りねえ。もっと奇襲染みた攻撃じゃねえと駄目だ」
それだけではどうにもならない。
意表を突いた奇襲でなければ突破できない。
だけど逆に言えば、それさえできれば。
「……そうだ」
今の自分にできる事。グレンとリーナにできる事。
持ってきた手荷物。それら全てで打開策を探して一つ辿り着いた博打。
それを実行する為に、唯一の懸念材料を潰す。
「グレン。お前の衝撃を操作する魔術使えば、リーナの結界を壊さずに刀を突きたてる事はできるか?」
「お前、何突拍子もねえ事言って……」
グレンは一瞬意味が分からないという風にそう言うが、流石俺の親友だ。
俺がやりたい事を。打とうとした博打を察してくれたらしい。
「ああ、やれる筈だ。後『衝牙』の方の強度も心配すんな。倶利伽羅シリーズの名刀だ。一発位はどうにかなる」
「わりいな、こんな雑な使い方して」
「構うかよ、仲間の命に勝る物はねえ」
そんなやり取りに対し、魔術を躱しながら全力で走るリーナが言う。
「なんか二人で盛り上がってるっすけど、それどんな作戦っすか!?」
「向こうに聞かれても困るから詳細はパスだ。とにかくお前は俺達のこれから指定する場所で結界張って……後は、悪いけど、俺達の馬鹿みてえな博打に一緒に命懸ける覚悟を決めてくれ」
「了解っす」
「……いいのかよ、そんな簡単に命懸けて」
「いいんすよ」
リーナは言う。
「元よりいつ死んでもおかしくない状況っすから……それに、先輩達が考えた博打なら、
別にいいっす!」
「……助かるよ」
リーナが言ってくれた言葉に静かにそう答えると、リーナが言う。
「で、どこ向かえばいいんすか!?」
「この先に洞穴がある筈だ。案内するからそこに向かってくれ」
「洞穴って……自分から追い込まれに行くんすか!?」
「そうだ。だけどそれでいい。そう思わねえかグレン」
「ああ……予想通りだし俺もそう思う。この状況下でアレを決めるには絶好の場だ」
「な、なんか分かんないっすけど分かったっす! 信じるっすよ二人の事!」
そう叫ぶリーナの声を聞きながらグレンに言う。
多分グレンが想像している、俺の考えとほぼ合致している作戦。
その作戦の最終局面の分岐点を。
「グレン。知っての通り俺の体はこんな状態だ。そんでそれ考慮しても多分この作戦でもまだ足りねえかもしれねえ。つまり多分俺じゃ決められねえ」
だから。
「俺が道を作る。お前が決めてくれ、グレン」
「……」
グレンは俺の言葉の意味を考えるように少しだけ間を空け、そして言う。
「分かった。やりてえ事は分かったよ。しっかり決めてやる」
そして一拍空けてからグレンは言う。
「だからお前もしくじんな。ちゃんと最後着地しろよ。そんな怪我だからその辺だけはどんな作戦になろうと念押しで言っときたかった」
「任せろ。頑張ってみるよ」
そして俺達の三位一体の迎撃作戦がスタートする。
言われて必死に状況を打破する為の策を考え始める。
今このままアリサの所に向かったとして、ただでさえアリサが自分と同格かもしれない相手と戦っているのに、そこにコイツを連れて行く事になる。
だから必然的にコイツを何とかする。倒す必要がある。
……俺達三人で、コイツを。
だけどリーナの言う通り、真正面からぶつかっても勝てない。
そもそも近づくのが困難な上、今こうしてこちらを追ってきているフィジカルを見ると、間違いなく近接戦闘もできるタイプの魔術師だから。
例え目の前に到達できても叩き潰されて終わるだけかもしれないから。
……だから練るんだ、作戦を。
正攻法から外れたような作戦を。
「向こうが魔術打ち終わった所で立ち止って突っ込むか!? どうせ今は向こうから距離詰めてきてんだ」
「多分こっちが止まれば向こうもそれに合わせて動いてくんだろ。俺らより早い動きで距離取られて魔術を打ち込んでくる!」
俺の考えにグレンはそう否定的な事を言うが、それでも軌道修正するように言う。
「いや……向こうより早く動ければなんとかなるのか?」
「……」
グレンが何を言いたいのかは理解できた。
俺とグレンには、連発できるものではないがそれが可能な秘策がある。
……だけど。
だけど当てられるのか? 格上でフィジカルも高い相手に真正面からあの技使ったとして。
「……駄目だ」
多分それでも目の前の敵との差は埋まらない。その程度の意表を突く作戦では。
「……それだけじゃ足りねえ。もっと奇襲染みた攻撃じゃねえと駄目だ」
それだけではどうにもならない。
意表を突いた奇襲でなければ突破できない。
だけど逆に言えば、それさえできれば。
「……そうだ」
今の自分にできる事。グレンとリーナにできる事。
持ってきた手荷物。それら全てで打開策を探して一つ辿り着いた博打。
それを実行する為に、唯一の懸念材料を潰す。
「グレン。お前の衝撃を操作する魔術使えば、リーナの結界を壊さずに刀を突きたてる事はできるか?」
「お前、何突拍子もねえ事言って……」
グレンは一瞬意味が分からないという風にそう言うが、流石俺の親友だ。
俺がやりたい事を。打とうとした博打を察してくれたらしい。
「ああ、やれる筈だ。後『衝牙』の方の強度も心配すんな。倶利伽羅シリーズの名刀だ。一発位はどうにかなる」
「わりいな、こんな雑な使い方して」
「構うかよ、仲間の命に勝る物はねえ」
そんなやり取りに対し、魔術を躱しながら全力で走るリーナが言う。
「なんか二人で盛り上がってるっすけど、それどんな作戦っすか!?」
「向こうに聞かれても困るから詳細はパスだ。とにかくお前は俺達のこれから指定する場所で結界張って……後は、悪いけど、俺達の馬鹿みてえな博打に一緒に命懸ける覚悟を決めてくれ」
「了解っす」
「……いいのかよ、そんな簡単に命懸けて」
「いいんすよ」
リーナは言う。
「元よりいつ死んでもおかしくない状況っすから……それに、先輩達が考えた博打なら、
別にいいっす!」
「……助かるよ」
リーナが言ってくれた言葉に静かにそう答えると、リーナが言う。
「で、どこ向かえばいいんすか!?」
「この先に洞穴がある筈だ。案内するからそこに向かってくれ」
「洞穴って……自分から追い込まれに行くんすか!?」
「そうだ。だけどそれでいい。そう思わねえかグレン」
「ああ……予想通りだし俺もそう思う。この状況下でアレを決めるには絶好の場だ」
「な、なんか分かんないっすけど分かったっす! 信じるっすよ二人の事!」
そう叫ぶリーナの声を聞きながらグレンに言う。
多分グレンが想像している、俺の考えとほぼ合致している作戦。
その作戦の最終局面の分岐点を。
「グレン。知っての通り俺の体はこんな状態だ。そんでそれ考慮しても多分この作戦でもまだ足りねえかもしれねえ。つまり多分俺じゃ決められねえ」
だから。
「俺が道を作る。お前が決めてくれ、グレン」
「……」
グレンは俺の言葉の意味を考えるように少しだけ間を空け、そして言う。
「分かった。やりてえ事は分かったよ。しっかり決めてやる」
そして一拍空けてからグレンは言う。
「だからお前もしくじんな。ちゃんと最後着地しろよ。そんな怪我だからその辺だけはどんな作戦になろうと念押しで言っときたかった」
「任せろ。頑張ってみるよ」
そして俺達の三位一体の迎撃作戦がスタートする。
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