ただキミを幸せにする為の物語 SSランクの幸運スキルを持つ俺は、パーティーを追放されたのでSSランクの不幸少女と最強のパーティーを組みます

山外大河

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四章 冒険者達の休日

ex やらなくてはならない事

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「案内してくれてありがとな」

「いえいえ」

「お安い御用っすよ」

 病院を出た後、グレンはアリサとリーナに案内されて宿の前へと辿り着いた。
 不動産でいい物件を見付けるまでの、ひとまずの仮住まいだ。

「……さて、できれば早い所こういう所を使わなくてもいいようにしなくちゃな」

「じゃあ早速明日から不動産巡りっすね」

「そうだな……っていうかマジでやる事死ぬ程あんな。自宅と工房の物件探しに、役所で住民票移す手続きしたり……後怪我の通院か」

 元より負った怪我はクルージ程ではないし、そこからリーナの逃避スキルによる治療も受けている。
 だけどそれでも一応は通院が必要な怪我ではある訳で。
 面倒だが行かなければならない。

(まあ見舞いついでにって思えば、面倒って訳でもねえか)

 そう考えていたグレンに、アリサが言う。

「ああ、後グレンさんも私達と冒険者をやるってっ事なんで、ギルドに登録にも行っておいた方がいいと思います」

「あーそうか。それもやらねえとだな」

 言われてみれば確かにそうだ。
 クルージもアリサもリーナも、ギルドに冒険者としての登録を行っている。
 冒険者を始めるには、まずそれをしなければ始まらない。

「ちなみにギルドの登録って書類書く以外になんか特別な事をやったりするのか?」

「あー、一応簡単なテストみたいなのがあるっすね」

「そういえばそんなのありましたね」

「テスト?」

 首を傾げるグレンに、アリサが言う。

「はい。登録に来るって事は新米冒険者な訳ですけど、まあ多分クルージもそうだっただろうし、グレンさんも間違いなくそうなんですけど……まあ、いますよね。新米って言えないような実力の人」

「そういう人達が早い段階から色々な依頼を受けられるようにっていう奴っすね。どちらにしてもソロなら大した依頼は受けられないっすけど、最低限実力があれば実績のある人達と同行できるっすから」

「つまり駆け出しでも、お前らが受けるような依頼に同行できるようになると」

「逆に実力を示せなかったら止められるっすね。実際私が止められたっす」

「それをその場で凄い魔術を使って覆して……っていうのが、グレンさんからの依頼を受けるまでの過程ですね」

「……なるほど」

(だとすれば下手を打てねえな)

 一体どの位の事をやらされるのかは分からないが、しくじって出鼻を挫かれる訳にはいかないだろう。
 つまり全力をぶつける必要がある。

 ……だとすればだ。

「ならこれは俺の怪我完治した後の方がいいな」

「……提案したボクが言うのもなんですけど、その方が良さそうですね」

「そうっすね」

 とりあえずそれで決まり。

「じゃあ俺はこれで。帰り気を付けてな」

「あ、はい。じゃあまた今度」

「お疲れっすグレンさん」

 そう言葉を返して二人に背を向ける。
 ……本当にやらなくちゃならない事が山程ある。
 役所での手続き。物件探し。それが終われば引っ越し業者に連絡したり、後はギルドの登録。
 そして……。

(……少し位は、やれる事をやっておくか)

 グレン自身、冒険者は副業だ。
 本業は別にある。余裕のあるリソースはそちらに回すべきだ。
 だとしても……今の自分は決して強くはないから。
 クルージは親友で。
 アリサやリーナも友人のような感覚でいる。
 だとすれば少しでも彼ら彼女らが傷付かないように、やれるだけの事はやっておいた方がいい。
 例え副業でも。パーティーに入るという事はつまりそういう事だと思うから。

(……ほんと、やる事が多いな)

 そんな事を考えながら、グレンは宿でチェックインの手続きを始めた。
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