ただキミを幸せにする為の物語 SSランクの幸運スキルを持つ俺は、パーティーを追放されたのでSSランクの不幸少女と最強のパーティーを組みます

山外大河

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四章 冒険者達の休日

17 歪な評定

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「アルファベットで格付け……スキルみてえだな」

「感覚的には同じような感じに思って頂いて結構です。EXランクは設けていませんが上がSSランク。一番下がFランクになりますね……はい」

「えーっと……なんでそんなに不服そうな感じなんですか?」

 なんで今更そんな制度を? という疑問も浮かんでくるが、いつも真面目に仕事に取り組んでいる受付嬢さんが今まで仕事で浮かべた事のなさそうな表情を浮かべている訳だ。
 ……そりゃ気になるわ。

「いや……だってほら、今まで私達は私達なりのやり方で仕事をしてきた訳じゃないですか。冒険者の皆さんの実績だけじゃなくて依頼受けてた時の状況だとか、色々な事を加味してその人に紹介しても良さそうな依頼を決めたり、無茶な依頼を掲示板で見て受けようとしたりしてる人を止めたりとか……とにかく、自分達なりにうまくやってきたつもりなんですよ」

 確かにギルドはその辺り結構厳しい所がある。
 余程の実力者でなければソロでろくな仕事を受けられなかったり、リーナが最初Bランクの依頼への同行を拒否されたり。
 SSランクの不運スキルで実績も無かった筈のアリサが俺達と組んでBランクやCランクの依頼を受けられたり……多分今の俺ではアレックス達との実績や表面上SSランクの幸運スキルを持っていてもSランクの依頼等は受けられなさそうでだったり。

 完璧だったかどうかは定かでは無いけれど、この人達はちゃんと立派な仕事をしてきたのでは無いかと思う。
 ……思うけど。

「えーっと……でも分かりやすくランク付けされているんだったら、結構仕事しやすいんじゃないっすかね?」

 リーナが俺の疑問を代弁してくれた。
 受付嬢さんが不服そうにしているランク付けの制度は、寧ろ受付嬢さん達の仕事をやり易くしてくれているのではないかと。
 だけどそういう訳ではないらしい。

「……そういう分かりやすい指標をルールとして厳格に決めてしまうと、現場の融通が全く利かないんですよ……柔軟な対応が取れなくなるって事ですね。……まあそれでも、そのランク付けが正しく完璧な物ならば、現場の人間が下手に口出しするより良いのかも知れませんが……とりあえずこれ、どうぞ」

 そう言って受付嬢さんは俺達にカードを三枚差し出してくる。
 多分俺達三人の会員証だ。
 そして俺の名前と顔写真の張られた会員証を受け取って目を通して……なんとなく、受付嬢さんの不服の理由が見えてきた。

「……ッ」

 Sランク

 今の俺がSランク評定な時点で、色々と無茶苦茶な事が起きているという事は簡単に理解できた。

「私はEランクっすか……妥当と言えば妥当っすかね。アリサちゃんは……え? なんすかこれ」

「ちょ、ちょっとアリサの見せてく……………………うそだろ?」

 今のアリサがFランク評定な時点で、酷く歪な事が起きているという事は、痛い程に理解できた。
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