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四章 冒険者達の休日
18 異常事態の末に
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「F!? アリサがFランク!?」
「ははは……もっと頑張らないとって事ですかね」
「いやいやいや、ちょ……おかしいっすよこれ!?」
「アリサでFとか、俺やクルージは一体どうな……ってうそだろクルージお前Sランクかよ!?」
「それはそれでなんかおかし…………くないっすね……いえーい先輩つよつよじゃないっすかー」
「いや良いよ無理にフォロー入れなくて。おかしいの俺も分かってっから」
……とにかく。
「とにかく俺もアリサも……なんだったらリーナだっておかしいだろこれ」
アリサは不運スキルの影響を受けなくなった今、ギルドの冒険者の中でもトップクラスの実力を持っている。
本当に複雑な事はなく、分かりやすくシンプルに無茶苦茶強いんだ。
そしてリーナだってもう実力は駆け出しの域を大きく飛び越えていて。
力を得るに至った経緯はともかく、攻守共に一定の威力を誇る結界に、俺達全員の身体能力を上げる補助魔術。
それだけでも一番下から二番目なんてのは不当だと思うし、そこに緊急時の逃走を可能にするSランクの逃避スキル。
そして……その力を使うような状況に陥らせてはいけないのだけれど……最悪な状況下でのポテンシャルはアリサ以上だ。
とにかく……二人の評定は無茶苦茶なんだ。
「はい、おかしいんです」
俺達の主張に受付嬢さんは素直に頷く。
「このランク付けは殆ど実績しか見られていないんです」
「実績……」
改めて自分の会員証に刻まれたアルファベットに視線を落とす。
俺はアレックス達と共にAランクやSランクの依頼を受けてきた。
そしてアリサはずっと薬草採取のような依頼を受け続けていて、リーナは駆け出しだ。
……確かに単純な実績で言えばその通りなのかもしれない。
……いや。
「でもそれだとアリサよりリーナのランクが高いのはおかしいと思うんだけど」
「そうっすね……私より冒険者歴長いわけっすから……」
「つーか俺の持ってきた依頼三人で受けてるし、それより前にもアリサはクルージとアホみてえな数の魔獣倒した事もある筈だ。その実績あればFとかEってのはねえだろ」
「ほぼですよ、ほぼ」
受付嬢さんは言う。
「今回のアリサさんの場合、不運スキルの影響が大きいです。それが評定に響いて……結果リーナさんよりも下のランクに。後はクルージさんの幸運スキルですね」
「俺の?」
「簡単に言えば……実績の無い二人を連れて依頼を達成できたのは、高い実績とSSランクの幸運スキルのおかげでって事になってるんです」
……マジか。
「二人共、なんかごめん……」
「いや、クルージさんは悪くないですって!」
「悪いのはギルドの方っすから……あ、いやいや、お姉さんは別に悪くないっすよ!」
「いや、多分だがギルドの誰も悪くねえんじゃねえのか?」
フォローを入れるリーナの間に入るようにグレンが言う。
「それまで現場に重きが置かれていた訳だろ? それでずっとうまくやってきた筈だ。だけど今の対極も良いところじゃねえか。舵切るにしても普通はもうちょい緩やかになると思うんだが……ここまでガラリと変わるんだとすりゃ……なんか外部の人間絡んでんじゃねえのか?」
「……ッ!」
グレンのその指摘に受付嬢さんは図星というような表情を浮かべる。
「す、凄いですねグレンさん。大当たりです」
「正解か」
……す、すげえグレン。
ほんと真面目な時は頭回るな、マジですげえわ。
結果オーライだったけど、物件契約したりとかの私生活でもそれ発揮してくれ!
……でだ。
「えーっと……外部の人間って……なんでそんな事に?」
「それは……」
俺がそう問いかけると、少し言いにくそうに間を空けて……それでも答えてくれた。
「その……最近色々あったじゃないですか。魔獣魔獣魔獣魔獣……挙げ句の果てに黒い霧の化物まで出たそうじゃないですか」
「で、出ましたね」
「それで……まあ、普段では考えられない位に怪我人が出まして……」
そして一拍空けてから受付嬢さんは言う。
「公的機関から……監査が入りました」
なんか凄い生々しい話を。
「ははは……もっと頑張らないとって事ですかね」
「いやいやいや、ちょ……おかしいっすよこれ!?」
「アリサでFとか、俺やクルージは一体どうな……ってうそだろクルージお前Sランクかよ!?」
「それはそれでなんかおかし…………くないっすね……いえーい先輩つよつよじゃないっすかー」
「いや良いよ無理にフォロー入れなくて。おかしいの俺も分かってっから」
……とにかく。
「とにかく俺もアリサも……なんだったらリーナだっておかしいだろこれ」
アリサは不運スキルの影響を受けなくなった今、ギルドの冒険者の中でもトップクラスの実力を持っている。
本当に複雑な事はなく、分かりやすくシンプルに無茶苦茶強いんだ。
そしてリーナだってもう実力は駆け出しの域を大きく飛び越えていて。
力を得るに至った経緯はともかく、攻守共に一定の威力を誇る結界に、俺達全員の身体能力を上げる補助魔術。
それだけでも一番下から二番目なんてのは不当だと思うし、そこに緊急時の逃走を可能にするSランクの逃避スキル。
そして……その力を使うような状況に陥らせてはいけないのだけれど……最悪な状況下でのポテンシャルはアリサ以上だ。
とにかく……二人の評定は無茶苦茶なんだ。
「はい、おかしいんです」
俺達の主張に受付嬢さんは素直に頷く。
「このランク付けは殆ど実績しか見られていないんです」
「実績……」
改めて自分の会員証に刻まれたアルファベットに視線を落とす。
俺はアレックス達と共にAランクやSランクの依頼を受けてきた。
そしてアリサはずっと薬草採取のような依頼を受け続けていて、リーナは駆け出しだ。
……確かに単純な実績で言えばその通りなのかもしれない。
……いや。
「でもそれだとアリサよりリーナのランクが高いのはおかしいと思うんだけど」
「そうっすね……私より冒険者歴長いわけっすから……」
「つーか俺の持ってきた依頼三人で受けてるし、それより前にもアリサはクルージとアホみてえな数の魔獣倒した事もある筈だ。その実績あればFとかEってのはねえだろ」
「ほぼですよ、ほぼ」
受付嬢さんは言う。
「今回のアリサさんの場合、不運スキルの影響が大きいです。それが評定に響いて……結果リーナさんよりも下のランクに。後はクルージさんの幸運スキルですね」
「俺の?」
「簡単に言えば……実績の無い二人を連れて依頼を達成できたのは、高い実績とSSランクの幸運スキルのおかげでって事になってるんです」
……マジか。
「二人共、なんかごめん……」
「いや、クルージさんは悪くないですって!」
「悪いのはギルドの方っすから……あ、いやいや、お姉さんは別に悪くないっすよ!」
「いや、多分だがギルドの誰も悪くねえんじゃねえのか?」
フォローを入れるリーナの間に入るようにグレンが言う。
「それまで現場に重きが置かれていた訳だろ? それでずっとうまくやってきた筈だ。だけど今の対極も良いところじゃねえか。舵切るにしても普通はもうちょい緩やかになると思うんだが……ここまでガラリと変わるんだとすりゃ……なんか外部の人間絡んでんじゃねえのか?」
「……ッ!」
グレンのその指摘に受付嬢さんは図星というような表情を浮かべる。
「す、凄いですねグレンさん。大当たりです」
「正解か」
……す、すげえグレン。
ほんと真面目な時は頭回るな、マジですげえわ。
結果オーライだったけど、物件契約したりとかの私生活でもそれ発揮してくれ!
……でだ。
「えーっと……外部の人間って……なんでそんな事に?」
「それは……」
俺がそう問いかけると、少し言いにくそうに間を空けて……それでも答えてくれた。
「その……最近色々あったじゃないですか。魔獣魔獣魔獣魔獣……挙げ句の果てに黒い霧の化物まで出たそうじゃないですか」
「で、出ましたね」
「それで……まあ、普段では考えられない位に怪我人が出まして……」
そして一拍空けてから受付嬢さんは言う。
「公的機関から……監査が入りました」
なんか凄い生々しい話を。
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