146 / 181
第146話 新たな疑念
しおりを挟む
その部屋には、窓というものが存在しなかった。黒曜石のように冷たく光を吸い込む壁、蝋燭の灯火ですら赤黒く染まって歪む空間。〈黒翼〉幹部たちは巨大な円卓を囲み、影の中にその姿を潜ませていた。
ここは〈黒翼〉の幹部会議──“影の円卓”。光なき世界の主たちが集うその場には、苛立ちと焦燥、そして抑えきれぬ恐れが満ちていた。
「……イーリスは敗れた。あの少年に、な……」
冷たい声が闇を割る。
中央に立つのは、顔の半分を仮面で覆った長身の男。声すらも幾層もの重なりで響いているように聞こえた。名を〈漆黒の導〉アルマ。
「“影の使徒”が……返り討ちにされたと?」
別の幹部が言葉を呑むように問い返す。椅子の影から、爬虫類のような舌がちらりと覗く。
「致命傷こそ避けたが、深い損傷を負った。癒しの術も拒絶し、回復に時間がかかる。……我らが誇る“影の使徒”が、凡俗の血すら引かぬ異端者に──!」
怒りを込めた声が会議の空気を震わせるが、それに応じる声はない。
やがて、別の者が口を開く。ラザフォードと繋がる通信石からの報告を読み上げる女。白骨のような指を組みながら、静かに言葉を紡いだ。
「……聖教国に潜入しているラザフォード枢機卿より。禁書庫への侵入は一部の者に露見。監視が厳しくなり、行動が制限されている模様。また、〈門〉の位置を示す記述や、ベリアナの復活儀式に関する情報は、いまだ得ら──」
報告の声が続く中、黒装束の通信使が駆け込んできた。
「……緊急報告です!! 聖教国に潜入していたラザフォード枢機卿ですが……事が露見した模様です!」
円卓の空気が、瞬時に凍りつく。
「最後の通信の後、転移の術式が発動。ただし──不完全な発動の模様で、転移先は不明。座標の固定がなされぬまま強行されたと推測されます。恐らくは追撃を避けるための即時発動。……さらに、聖教国内に築いていた潜入拠点からも、反応がありません。おそらく、同時に摘発されたものと……」
通信使の報告が終わると同時に、円卓の一角で乾いた音が響いた。誰かが拳を打ち下ろした音だった。
「……長年、長年かけてあの枢機卿の地位を築かせたのだぞ……!」
低く怒気をはらんだ声。だがそれは、氷山の一角に過ぎなかった。
「禁書は? 〈門〉の手がかりはまだ得られていなかったのか?」
「……はい。最終報告では、引き続き調査を、と。しかし、その直後に……」
言葉はそこで途切れた。
一瞬の静寂。
そして次の瞬間、円卓全体に怒号と呪詛めいた呻きが轟く。
禁書の調査──ベリアナを復活させる方法を求めての密命。それを進めていたというのに、すべてが水泡に帰した。誰もが焦っていた。潜入網の壊滅。長年の工作の失敗。そして何より──
「これは偶然ではあるまい。……我らの動きが、何者かに読まれている」
重く静かな声が、円卓の最奥から響いた。その主は、ただ静かに全体を見渡す。幹部の中でもとりわけ〈門〉の解放──ベリアナの復活を強く望む、黒羽ノ令嬢。
「次の一手を急がねばなるまい。一刻も早く〈門〉を突き止めるのだ……神々に代わる時代を、この手で開くためにも」
会議の空気が冷たく沈んだ。
誰もがそれぞれに苛立ちを抱えていた。情報は得られず、動けば痕跡が残る。
◆
会議の終わり際──その場の空気を切り裂くように、誰かの気配が現れた。
「……遅れて申し訳ありません。報告があります」
影の揺らぎの中から現れたのは、一人の幹部。名はザイラス。
かつて、鉱山跡に築かれた邪神の墳墓にて、エリオットを〈鍵〉とした復活の儀式を主導した一人であり、以来、消息を絶っていた男だった。
「ザイラス……貴様、生きていたのか」
複数の幹部が眉をひそめ、驚きの声をあげる。
「王国に捕らわれたと聞いたが――」
「処刑されたはずでは?」
「かろうじて命を拾い、我らが影の手により奪還されました。処刑の寸前まで拷問を受けましたが、私は耐え抜きました……」
ザイラスはゆっくりと跪き、血の滲んだようなローブの端を広げて見せる。
その傷は、実際に受けたものだった。
だが、すべてが“真実”というわけではない。彼が囚われていたのは事実だ。しかし、口を割らなかったというのは──嘘。
恐怖と痛みに屈した彼は、尋問官に本拠地の位置の一部、古い接触経路、諜報員の暗号の一端すら漏らしてしまっていた。〈黒翼〉が本拠地移転をしていなかったら、今頃は組織そのものが追い込まれていたかもしれない。
だが、ここにいる者たちの誰一人として、そのことは知らない。
「……して、報告とは?」
アルマが沈んだ声で問う。
ザイラスは静かに息を整えると、会議の中心へと一歩踏み出した。
「──先日の、鉱山跡での儀式の際のことです」
「儀式? エリオットを媒介にした、邪神復活の試みか」
「はい。その最中……奇妙なことが、ありました」
重く落ちる言葉に、幹部たちの視線が集まる。
「奇妙とは……どういうことだ?」
「レオンが、儀式の場に現れた際のことです。彼は言ったのです。“復活などできない”と。“知っている”と」
幹部たちの間にざわめきが走る。
「……何だと?」
「聞き違いではないのか?」
「はっきりと、言い切っていました。まるで、すべてを知っているかのように。自信と確信に満ちた、あの目……」
ザイラスはその瞬間を思い出し、無意識に喉を鳴らした。
「そして、儀式は失敗しました。力が集まらず、兆しすら現れなかった。私たちは何度も術式を練り直したのです。兆候はあったはず……だが、失敗した」
「つまり……」
「レオンは、本当に“何か”を知っているのではないか、と私は考えています。儀式が成就しない根本的な理由を、あるいは──」
「まさか、奴が封印や復活の仕組みに通じているとでも言うのか?」
懐疑の声が飛ぶ。
「ならば、奴を捕らえて情報を引き出せばよい。力づくでも」
「言うは易し、だ。イーリスですら返り討ちに遭い、いまだ回復にすら至らぬというのに!」
反論の声が上がると、幹部の間で一気に空気が荒れる。
「ではどうする? このまま様子を見るのか?」
「いいや、放置すれば奴はさらなる“真実”に近づく。我らの根幹に触れる前に、手を打つべきだ」
「そもそも、何を知っているというのだ? あれはただの……いや、もはや“ただの”ではないのだろうが……」
「それに、奴が“知っている”と断言したことが、あまりに都合がよすぎる」
「……何が言いたい?」
「裏があるのではないかということだ。誰かが、奴に情報を与えているのではないか。かつて我らが持っていたはずの秘儀、あるいは……異なる系統の知識を」
さらにザイラスが衝撃的な報告をする。
「レオンは……ベリアナの名前まで知っていたのです。つまり、我々の“目的”を知っているということです」
一瞬、空気が凍りついた。
「なぜ奴が知っているのかはわかりませんが……それは偶然ではありえない」
沈黙が広がる。
それは誰もが考え、だが口にすることを恐れていた疑念だった。
(レオンは、何か別の“真理”に触れつつある)
その可能性こそが、〈黒翼〉の最も忌むべき未来だった。
ザイラスはその空気を感じ取りながら、静かに最後の言葉を告げた。
「……奴の行動は、もはや偶然の産物ではないと、私は確信しています。だからこそ、早急に“手”を打たねばならないのです」
その言葉に、誰も即答できなかった。
なぜなら彼ら自身、その“手”が打てる相手かどうか──レオンという存在が、もはやただの人間で済まされない何かに到達しつつあると、無意識に悟り始めていたからだ。
そして、気付かぬまま焦燥と恐怖が、〈黒翼〉という組織の中に静かに広がり始めていた。
ここは〈黒翼〉の幹部会議──“影の円卓”。光なき世界の主たちが集うその場には、苛立ちと焦燥、そして抑えきれぬ恐れが満ちていた。
「……イーリスは敗れた。あの少年に、な……」
冷たい声が闇を割る。
中央に立つのは、顔の半分を仮面で覆った長身の男。声すらも幾層もの重なりで響いているように聞こえた。名を〈漆黒の導〉アルマ。
「“影の使徒”が……返り討ちにされたと?」
別の幹部が言葉を呑むように問い返す。椅子の影から、爬虫類のような舌がちらりと覗く。
「致命傷こそ避けたが、深い損傷を負った。癒しの術も拒絶し、回復に時間がかかる。……我らが誇る“影の使徒”が、凡俗の血すら引かぬ異端者に──!」
怒りを込めた声が会議の空気を震わせるが、それに応じる声はない。
やがて、別の者が口を開く。ラザフォードと繋がる通信石からの報告を読み上げる女。白骨のような指を組みながら、静かに言葉を紡いだ。
「……聖教国に潜入しているラザフォード枢機卿より。禁書庫への侵入は一部の者に露見。監視が厳しくなり、行動が制限されている模様。また、〈門〉の位置を示す記述や、ベリアナの復活儀式に関する情報は、いまだ得ら──」
報告の声が続く中、黒装束の通信使が駆け込んできた。
「……緊急報告です!! 聖教国に潜入していたラザフォード枢機卿ですが……事が露見した模様です!」
円卓の空気が、瞬時に凍りつく。
「最後の通信の後、転移の術式が発動。ただし──不完全な発動の模様で、転移先は不明。座標の固定がなされぬまま強行されたと推測されます。恐らくは追撃を避けるための即時発動。……さらに、聖教国内に築いていた潜入拠点からも、反応がありません。おそらく、同時に摘発されたものと……」
通信使の報告が終わると同時に、円卓の一角で乾いた音が響いた。誰かが拳を打ち下ろした音だった。
「……長年、長年かけてあの枢機卿の地位を築かせたのだぞ……!」
低く怒気をはらんだ声。だがそれは、氷山の一角に過ぎなかった。
「禁書は? 〈門〉の手がかりはまだ得られていなかったのか?」
「……はい。最終報告では、引き続き調査を、と。しかし、その直後に……」
言葉はそこで途切れた。
一瞬の静寂。
そして次の瞬間、円卓全体に怒号と呪詛めいた呻きが轟く。
禁書の調査──ベリアナを復活させる方法を求めての密命。それを進めていたというのに、すべてが水泡に帰した。誰もが焦っていた。潜入網の壊滅。長年の工作の失敗。そして何より──
「これは偶然ではあるまい。……我らの動きが、何者かに読まれている」
重く静かな声が、円卓の最奥から響いた。その主は、ただ静かに全体を見渡す。幹部の中でもとりわけ〈門〉の解放──ベリアナの復活を強く望む、黒羽ノ令嬢。
「次の一手を急がねばなるまい。一刻も早く〈門〉を突き止めるのだ……神々に代わる時代を、この手で開くためにも」
会議の空気が冷たく沈んだ。
誰もがそれぞれに苛立ちを抱えていた。情報は得られず、動けば痕跡が残る。
◆
会議の終わり際──その場の空気を切り裂くように、誰かの気配が現れた。
「……遅れて申し訳ありません。報告があります」
影の揺らぎの中から現れたのは、一人の幹部。名はザイラス。
かつて、鉱山跡に築かれた邪神の墳墓にて、エリオットを〈鍵〉とした復活の儀式を主導した一人であり、以来、消息を絶っていた男だった。
「ザイラス……貴様、生きていたのか」
複数の幹部が眉をひそめ、驚きの声をあげる。
「王国に捕らわれたと聞いたが――」
「処刑されたはずでは?」
「かろうじて命を拾い、我らが影の手により奪還されました。処刑の寸前まで拷問を受けましたが、私は耐え抜きました……」
ザイラスはゆっくりと跪き、血の滲んだようなローブの端を広げて見せる。
その傷は、実際に受けたものだった。
だが、すべてが“真実”というわけではない。彼が囚われていたのは事実だ。しかし、口を割らなかったというのは──嘘。
恐怖と痛みに屈した彼は、尋問官に本拠地の位置の一部、古い接触経路、諜報員の暗号の一端すら漏らしてしまっていた。〈黒翼〉が本拠地移転をしていなかったら、今頃は組織そのものが追い込まれていたかもしれない。
だが、ここにいる者たちの誰一人として、そのことは知らない。
「……して、報告とは?」
アルマが沈んだ声で問う。
ザイラスは静かに息を整えると、会議の中心へと一歩踏み出した。
「──先日の、鉱山跡での儀式の際のことです」
「儀式? エリオットを媒介にした、邪神復活の試みか」
「はい。その最中……奇妙なことが、ありました」
重く落ちる言葉に、幹部たちの視線が集まる。
「奇妙とは……どういうことだ?」
「レオンが、儀式の場に現れた際のことです。彼は言ったのです。“復活などできない”と。“知っている”と」
幹部たちの間にざわめきが走る。
「……何だと?」
「聞き違いではないのか?」
「はっきりと、言い切っていました。まるで、すべてを知っているかのように。自信と確信に満ちた、あの目……」
ザイラスはその瞬間を思い出し、無意識に喉を鳴らした。
「そして、儀式は失敗しました。力が集まらず、兆しすら現れなかった。私たちは何度も術式を練り直したのです。兆候はあったはず……だが、失敗した」
「つまり……」
「レオンは、本当に“何か”を知っているのではないか、と私は考えています。儀式が成就しない根本的な理由を、あるいは──」
「まさか、奴が封印や復活の仕組みに通じているとでも言うのか?」
懐疑の声が飛ぶ。
「ならば、奴を捕らえて情報を引き出せばよい。力づくでも」
「言うは易し、だ。イーリスですら返り討ちに遭い、いまだ回復にすら至らぬというのに!」
反論の声が上がると、幹部の間で一気に空気が荒れる。
「ではどうする? このまま様子を見るのか?」
「いいや、放置すれば奴はさらなる“真実”に近づく。我らの根幹に触れる前に、手を打つべきだ」
「そもそも、何を知っているというのだ? あれはただの……いや、もはや“ただの”ではないのだろうが……」
「それに、奴が“知っている”と断言したことが、あまりに都合がよすぎる」
「……何が言いたい?」
「裏があるのではないかということだ。誰かが、奴に情報を与えているのではないか。かつて我らが持っていたはずの秘儀、あるいは……異なる系統の知識を」
さらにザイラスが衝撃的な報告をする。
「レオンは……ベリアナの名前まで知っていたのです。つまり、我々の“目的”を知っているということです」
一瞬、空気が凍りついた。
「なぜ奴が知っているのかはわかりませんが……それは偶然ではありえない」
沈黙が広がる。
それは誰もが考え、だが口にすることを恐れていた疑念だった。
(レオンは、何か別の“真理”に触れつつある)
その可能性こそが、〈黒翼〉の最も忌むべき未来だった。
ザイラスはその空気を感じ取りながら、静かに最後の言葉を告げた。
「……奴の行動は、もはや偶然の産物ではないと、私は確信しています。だからこそ、早急に“手”を打たねばならないのです」
その言葉に、誰も即答できなかった。
なぜなら彼ら自身、その“手”が打てる相手かどうか──レオンという存在が、もはやただの人間で済まされない何かに到達しつつあると、無意識に悟り始めていたからだ。
そして、気付かぬまま焦燥と恐怖が、〈黒翼〉という組織の中に静かに広がり始めていた。
0
あなたにおすすめの小説
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ホームレスは転生したら7歳児!?気弱でコミュ障だった僕が、気づいたら異種族の王になっていました
たぬきち
ファンタジー
1部が12/6に完結して、2部に入ります。
「俺だけ不幸なこんな世界…認めない…認めないぞ!!」
どこにでもいる、さえないおじさん。特技なし。彼女いない。仕事ない。お金ない。外見も悪い。頭もよくない。とにかくなんにもない。そんな主人公、アレン・ロザークが死の間際に涙ながらに訴えたのが人生のやりなおしー。
彼は30年という短い生涯を閉じると、記憶を引き継いだままその意識は幼少期へ飛ばされた。
幼少期に戻ったアレンは前世の記憶と、飼い猫と喋れるオリジナルスキルを頼りに、不都合な未来、出来事を改変していく。
記憶にない事象、改変後に新たに発生したトラブルと戦いながら、2度目の人生での仲間らとアレンは新たな人生を歩んでいく。
新しい世界では『魔宝殿』と呼ばれるダンジョンがあり、前世の世界ではいなかった魔獣、魔族、亜人などが存在し、ただの日雇い店員だった前世とは違い、ダンジョンへ仲間たちと挑んでいきます。
この物語は、記憶を引き継ぎ幼少期にタイムリープした主人公アレンが、自分の人生を都合のいい方へ改変しながら、最低最悪な未来を避け、全く新しい人生を手に入れていきます。
主人公最強系の魔法やスキルはありません。あくまでも前世の記憶と経験を頼りにアレンにとって都合のいい人生を手に入れる物語です。
※ ネタバレのため、2部が完結したらまた少し書きます。タイトルも2部の始まりに合わせて変えました。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
最強の職業は付与魔術師かもしれない
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。
召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。
しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる――
※今月は毎日10時に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる