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カルダがニコの部屋をノックすると、一瞬中から短い悲鳴が聞こえた。それを聞き逃さなかったカルダは勢い良く扉を開き、中へと飛び込む。
「王妃!」
カルダに続くエイソンともう1人の近衛にも緊張が走った。
しかし、3人の目に入ってきた光景は、3人を酷く困惑させた。
ニコが床にひれ伏し、ベッドの下に頭を突っ込んでいるのだ。ニコがもそもそと出てきて、頭を押さえながら顔を上げると、その様子を凝視していたカルダと目が合い、石のように固まった。
そもそもの発端は、ニコが子猫を飼う許可を貰う為にカルダに連絡を取ったことだった。
カルダに頼みごとをするなど恐れ多いと思っていたニコだが、1つ秘策があった。
"決まったら余に言いなさい。できる範囲で、その望みを叶えよう。"
以前、環獣祭を盛り上げてくれた礼にとカルダから送られた言葉だ。これを切り出せば、子猫を飼うことを許してもらえるだろうと、ニコはそう考えた。
とはいえ、自分からカルダの元を訪れたことが無かった為、まずは訪ねてもいいかどうか使用人を通して伺いを立てることにしたのだ。
まさかニコの方からそんなことを言ってもらえるとは思ってもいなかったカルダは、自分でも驚くほど心が揺れた。
午前は地方で起こった疫病対策の会議が入っていた為、カルダはニコに部屋で待つように伝言を伝え、会議後、昼食に誘おうとしていた。使用人らにもその旨を伝え、ニコには秘密で用意させた。
それらは、先日の件でショックを受けているであろうニコを少しでも元気付ける為と、話やすい場つくりをしようとのカルダの気づかいであった。
王妃は心の整理がついただろうか。余計に怖がられてしまっただろうか。会議後、ニコの元へ向かうカルダの心は、そんな不安と、一緒に昼食を食べられることへの高揚感が入り混じり、ざわざわと胸が落ち着かなかった。
そして、今に至る。
「…王妃、何をしている?」
「も、申し訳ありません王様!お見苦しい姿を…。」
急いで立ち上がるニコにカルダも手を貸し、先ほど押さえていた頭にそっと手を充てた。
「ぶつけたのか?」
近くから降ってきたカルダの低い声に、ニコの心臓がドキリと跳ねる。急に恥ずかしくなって、顔を上げられなくなった。
「…ノック音に驚いて。」
「そうか、すまない。」
「い、いえ…。」
「それで、何をしていたのだ?」
「ええと…。」
「ニー。」
あ、とニコがベッドを見る。それを見て、カルダも目を向ける。
「下に、何かいるのか?」
いきなりバレてしまったとニコは肝を冷やしたが、そもそもこの子を飼う許可を貰う為に来てもらったのだ、と心を決めた。
「あの…子猫が。」
「猫?」
カルダが部屋を訪れる前、子猫がよちよちとベッドの下に入り込んでしまったのだ。
カルダがベッドの下を覗くと、丸い目が2つこちらの様子を窺っていた。そこに手を伸ばし、ニコの手の長さでは届かなかった子猫をひょいと取り出し、手のひらに収めた。
にー、にー、と鳴く子猫に、カルダの目も丸くなる。
「お前、どこから潜り込んだのだ。」
ニコはカルダの手の平から子猫をそっと両手で預かり、その腕に抱いた。
「実は…王様にお話をしたいとお伺いを立てたのは、この子のことなのです。」
「は?」
てっきり先日話したフェリディル事情の件だと思っていたカルダは、180度違う話題に唖然とした。
一方ニコは、そんなカルダの反応にハラハラと落ち着きを失くす。
「あ、あの、以前、望みを叶えてくれると、そう仰って頂けましたよね?」
「あ、あぁ。」
「この子、親を亡くしたらしく、行き場の無いところを使用人が拾ってきたのです。」
「使用人が。」
「それで、その、…私の部屋でこの子を育てる許可を、頂きたいのです。」
「構わんが。」
「え?」
あまりの即答にきょとんとするニコを見て、カルダは、しまったと思った。
ゆっくり話をする為に昼食の準備をさせて誘いに来たのに、この猫のことが本題だとすると、ニコの用件は済んでしまったことになる。
どう誘うべきか悩んで、絞り出すように出てきたセリフは、エイソンも頭を抱えるものだった。
「…猫は、昼食を済ませたのか?」
猫ではなくて王妃だろう!と、カルダも含め、この場にいるニコ以外の全員が頭の中でツッコんだ。
「はい、先ほどミルクを。」
そうか、とその後の言葉が続かないカルダに、エイソンが助け船を出す。
「王様、王様の昼食のご用意もできているとのことですので、王妃様もお誘いしてはいかがでしょうか。」
え、と驚くニコに、カルダはそっと目を向け、軽く咳払いをしてから手を差し伸べた。
「まだだったら、一緒にどうだろうか…。」
まだだという事は知っていた。カルダ自身が使用人にそう指示していたのだから。
それに対し、またそっけない誘い方を、とエイソンは目を瞑ったが、それでもニコは頬をほんのりと赤く染めて微笑みながら、カルダの手を取った。
「お誘い頂けるのなら、喜んで。」
ニコが小食堂に入るのは初めてだった。食事はいつも部屋に運んでもらっていたし、環獣祭での晩餐は大食堂だった。
豪華な装飾や照明の施された大食堂と違い、こじんまりとして落ち着いた雰囲気のある小食堂には、可愛らしい円卓が置かれ、空の食器が並べられているその中心にスノーボールの花が控えめに飾られていた。
ニコはカルダに促されるまま席に着き、どうもカルダのイメージに合わない女性的な部屋を見回した。
「気に入ったか?」
興味深々にあちこち目をやるニコに気づいたカルダが声を掛けると、ニコはびくりと肩を竦ませた。似合わない趣味だ、などと口にできるはずもない。
「はい。洗練された落ち着くお部屋ですね。」
「母の趣味だ。」
カルダの言葉に、ニコは目を瞬かせた。実は、先日ペリュグリスの話を聞いて以来、自分に関すること以外に気になっていることがあった。先代のアイローイ王夫妻がクァンザ族に殺されていた、というものだ。
つまり、カルダもニコ同様に、両親を殺されているということになる。
「…お母様の。」
ああ、と普通に返事を返すカルダ。ニコは踏み込んで聞いていいものかどうか迷い、昼食を用意するようにと言いつけているカルダの様子をそっと窺う。
それに感づいたエイソンが、我々は外で待ちます、と部下を連れて部屋を出て行った。
やはり聞くことを躊躇ったニコは口をつぐみ、カルダも、ニコが先日の件についてどう思っているのか切り出すタイミングを伺っている。
結局、昼食が運ばれてくるまで2人の気まずい静寂は続いた。
カチャカチャと食器の音だけが響く中、カルダは美しい所作で食事を口に運ぶニコを見つめた。
このままではまずい、とカルダも分かっている。ニコの用件はまさかの猫だったわけだが、カルダは別の話をする為に昼食に誘ったのだ。このままでは無言で食事が終わる。
カルダは意を決して口を開いた。
「望みを叶えると言った話、本当にあの猫を飼うことでいいのか?」
ニコはぴたりと手を止めた。突然カルダの気が変わったのかと不安になったのだ。
「い…いけませんでしょうか…。」
「いや、そうではない。…そうではなく、他にはないのか?」
「他に、ですか?」
不安げに考え込むニコに、カルダは本当に心にその考えがないのかと逆に驚く。
「余は、望みを、可能な限りなんでも叶えると言った。」
「…はい。」
「余と…離縁したいとは、思わなかったのか?」
それを聞いたニコは目を大きく見開き、ドクドクと心臓が暴れ出す。静かにカトラリーを置くと、その手を膝の上にしまった。
「…そう……望むべき、でしたか?」
ニコはじわりと視界が滲んだことに、自分でも驚いた。
望んだ婚姻では無かった。1年以上も1人寂しい日々を送った。カルダは両親の仇だし、敵に容赦をしない恐ろしい人物であることに変わりはない。それなのに、"離縁"という言葉を切り出されて、勝手に視界が滲む理由は明白だった。
私はこの人に惹かれている。ニコがそう気づくと涙腺を閉めるのはますます難しく、堪え兼ねた涙が頬を伝った。
「王妃!」
カルダに続くエイソンともう1人の近衛にも緊張が走った。
しかし、3人の目に入ってきた光景は、3人を酷く困惑させた。
ニコが床にひれ伏し、ベッドの下に頭を突っ込んでいるのだ。ニコがもそもそと出てきて、頭を押さえながら顔を上げると、その様子を凝視していたカルダと目が合い、石のように固まった。
そもそもの発端は、ニコが子猫を飼う許可を貰う為にカルダに連絡を取ったことだった。
カルダに頼みごとをするなど恐れ多いと思っていたニコだが、1つ秘策があった。
"決まったら余に言いなさい。できる範囲で、その望みを叶えよう。"
以前、環獣祭を盛り上げてくれた礼にとカルダから送られた言葉だ。これを切り出せば、子猫を飼うことを許してもらえるだろうと、ニコはそう考えた。
とはいえ、自分からカルダの元を訪れたことが無かった為、まずは訪ねてもいいかどうか使用人を通して伺いを立てることにしたのだ。
まさかニコの方からそんなことを言ってもらえるとは思ってもいなかったカルダは、自分でも驚くほど心が揺れた。
午前は地方で起こった疫病対策の会議が入っていた為、カルダはニコに部屋で待つように伝言を伝え、会議後、昼食に誘おうとしていた。使用人らにもその旨を伝え、ニコには秘密で用意させた。
それらは、先日の件でショックを受けているであろうニコを少しでも元気付ける為と、話やすい場つくりをしようとのカルダの気づかいであった。
王妃は心の整理がついただろうか。余計に怖がられてしまっただろうか。会議後、ニコの元へ向かうカルダの心は、そんな不安と、一緒に昼食を食べられることへの高揚感が入り混じり、ざわざわと胸が落ち着かなかった。
そして、今に至る。
「…王妃、何をしている?」
「も、申し訳ありません王様!お見苦しい姿を…。」
急いで立ち上がるニコにカルダも手を貸し、先ほど押さえていた頭にそっと手を充てた。
「ぶつけたのか?」
近くから降ってきたカルダの低い声に、ニコの心臓がドキリと跳ねる。急に恥ずかしくなって、顔を上げられなくなった。
「…ノック音に驚いて。」
「そうか、すまない。」
「い、いえ…。」
「それで、何をしていたのだ?」
「ええと…。」
「ニー。」
あ、とニコがベッドを見る。それを見て、カルダも目を向ける。
「下に、何かいるのか?」
いきなりバレてしまったとニコは肝を冷やしたが、そもそもこの子を飼う許可を貰う為に来てもらったのだ、と心を決めた。
「あの…子猫が。」
「猫?」
カルダが部屋を訪れる前、子猫がよちよちとベッドの下に入り込んでしまったのだ。
カルダがベッドの下を覗くと、丸い目が2つこちらの様子を窺っていた。そこに手を伸ばし、ニコの手の長さでは届かなかった子猫をひょいと取り出し、手のひらに収めた。
にー、にー、と鳴く子猫に、カルダの目も丸くなる。
「お前、どこから潜り込んだのだ。」
ニコはカルダの手の平から子猫をそっと両手で預かり、その腕に抱いた。
「実は…王様にお話をしたいとお伺いを立てたのは、この子のことなのです。」
「は?」
てっきり先日話したフェリディル事情の件だと思っていたカルダは、180度違う話題に唖然とした。
一方ニコは、そんなカルダの反応にハラハラと落ち着きを失くす。
「あ、あの、以前、望みを叶えてくれると、そう仰って頂けましたよね?」
「あ、あぁ。」
「この子、親を亡くしたらしく、行き場の無いところを使用人が拾ってきたのです。」
「使用人が。」
「それで、その、…私の部屋でこの子を育てる許可を、頂きたいのです。」
「構わんが。」
「え?」
あまりの即答にきょとんとするニコを見て、カルダは、しまったと思った。
ゆっくり話をする為に昼食の準備をさせて誘いに来たのに、この猫のことが本題だとすると、ニコの用件は済んでしまったことになる。
どう誘うべきか悩んで、絞り出すように出てきたセリフは、エイソンも頭を抱えるものだった。
「…猫は、昼食を済ませたのか?」
猫ではなくて王妃だろう!と、カルダも含め、この場にいるニコ以外の全員が頭の中でツッコんだ。
「はい、先ほどミルクを。」
そうか、とその後の言葉が続かないカルダに、エイソンが助け船を出す。
「王様、王様の昼食のご用意もできているとのことですので、王妃様もお誘いしてはいかがでしょうか。」
え、と驚くニコに、カルダはそっと目を向け、軽く咳払いをしてから手を差し伸べた。
「まだだったら、一緒にどうだろうか…。」
まだだという事は知っていた。カルダ自身が使用人にそう指示していたのだから。
それに対し、またそっけない誘い方を、とエイソンは目を瞑ったが、それでもニコは頬をほんのりと赤く染めて微笑みながら、カルダの手を取った。
「お誘い頂けるのなら、喜んで。」
ニコが小食堂に入るのは初めてだった。食事はいつも部屋に運んでもらっていたし、環獣祭での晩餐は大食堂だった。
豪華な装飾や照明の施された大食堂と違い、こじんまりとして落ち着いた雰囲気のある小食堂には、可愛らしい円卓が置かれ、空の食器が並べられているその中心にスノーボールの花が控えめに飾られていた。
ニコはカルダに促されるまま席に着き、どうもカルダのイメージに合わない女性的な部屋を見回した。
「気に入ったか?」
興味深々にあちこち目をやるニコに気づいたカルダが声を掛けると、ニコはびくりと肩を竦ませた。似合わない趣味だ、などと口にできるはずもない。
「はい。洗練された落ち着くお部屋ですね。」
「母の趣味だ。」
カルダの言葉に、ニコは目を瞬かせた。実は、先日ペリュグリスの話を聞いて以来、自分に関すること以外に気になっていることがあった。先代のアイローイ王夫妻がクァンザ族に殺されていた、というものだ。
つまり、カルダもニコ同様に、両親を殺されているということになる。
「…お母様の。」
ああ、と普通に返事を返すカルダ。ニコは踏み込んで聞いていいものかどうか迷い、昼食を用意するようにと言いつけているカルダの様子をそっと窺う。
それに感づいたエイソンが、我々は外で待ちます、と部下を連れて部屋を出て行った。
やはり聞くことを躊躇ったニコは口をつぐみ、カルダも、ニコが先日の件についてどう思っているのか切り出すタイミングを伺っている。
結局、昼食が運ばれてくるまで2人の気まずい静寂は続いた。
カチャカチャと食器の音だけが響く中、カルダは美しい所作で食事を口に運ぶニコを見つめた。
このままではまずい、とカルダも分かっている。ニコの用件はまさかの猫だったわけだが、カルダは別の話をする為に昼食に誘ったのだ。このままでは無言で食事が終わる。
カルダは意を決して口を開いた。
「望みを叶えると言った話、本当にあの猫を飼うことでいいのか?」
ニコはぴたりと手を止めた。突然カルダの気が変わったのかと不安になったのだ。
「い…いけませんでしょうか…。」
「いや、そうではない。…そうではなく、他にはないのか?」
「他に、ですか?」
不安げに考え込むニコに、カルダは本当に心にその考えがないのかと逆に驚く。
「余は、望みを、可能な限りなんでも叶えると言った。」
「…はい。」
「余と…離縁したいとは、思わなかったのか?」
それを聞いたニコは目を大きく見開き、ドクドクと心臓が暴れ出す。静かにカトラリーを置くと、その手を膝の上にしまった。
「…そう……望むべき、でしたか?」
ニコはじわりと視界が滲んだことに、自分でも驚いた。
望んだ婚姻では無かった。1年以上も1人寂しい日々を送った。カルダは両親の仇だし、敵に容赦をしない恐ろしい人物であることに変わりはない。それなのに、"離縁"という言葉を切り出されて、勝手に視界が滲む理由は明白だった。
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