91 / 110
本編こぼれ話 2(3巻書籍化御礼の小話)
【3巻御礼】現パロ3-1: 高雄推しモブが出会いシーンの写真をSNSで見た時編
※語り手はモブ(社会人・高雄推し)です
※お遊び色強めです(次回は小説風SNSになります)
※うつしよ学院公式アカウントの管理人は、雪姫です。
-------------------------------------------
(今日も疲れた……)
四月。
年度が替わったところだから、残業が長引くのは毎年のことだ。
とはいえ、目が回るような忙しさに、疲れないわけではない。
(なんで引き継ぎだけでも大変なこの時期に、送別会だの歓迎会だのあるんだろ……)
いや、退職する人がいるから引き継ぎが必要なんだし、送別会が開かれるんだし、辞める人がいるなら新しく来る人がいないのは困るんだけど。
わかっているし、職場ではにこにこ笑っているけど、終わった瞬間、表情が「無」になるのは許してほしい。
ぐったりとしながら電車に乗って、ようやく少しほっとする。
幸いと言うのは癪だけど、遅くまで残業していたおかげで電車はすいていた。
端っこの席に座り、バッグからスマホを取り出す。
ささっと急ぎの連絡が来ていないかだけチェックして、SNSのアプリの通知を確認する。
いちばん期待しているのは、写真がメインのSNSの、【うつしよ学院(公式)】アカウントからの新着のお知らせだ。
ここに私の最大の癒しが詰まっている。
(今日、高雄様の写真あがってないかなー)
高雄様、というのが私の最推し。
かくりよというこの世界とは別の世界の、あやかしの統領令息らしい。
めっちゃくちゃ強くて、次期統領で、霊力とかもすごいらしい。知らんけど。
ぶっちゃけ霊力とかは、人間的には貴族とかの偉い人だけ持ってるものって感じで、私みたいな庶民には、あんまり関係ない話だ。
高雄様や、他のかくりよのあやかしの皆様を推してる仲間の中には、そのあたりも突っ込んで勉強している子もいるけど、私はそこまで詳しいことはわからない。
けど、高雄様の霊力の強さはわからなくても、顔面の強さは、ひとめ見たらはっきりわかる。
ほんとやばいんだって!!
顔には、目と口と鼻が完璧な形とバランスで配置されているし、細身なのに筋肉感じる体つきも、ガチでやばい。
顔面国宝だし、顔で天下とれるし、空気とかも浄化していると思う。
マジのマジで、写真見るだけで癒されるし、疲れもとれるし、存在が神すぎる。
いや、高雄様はあやかしだけど。
あやかしの神っていうか。
そんな感じ。
今日みたいにぐったりな日も、高雄様のお写真を拝見したら、HPがチャージされるというもの……。
(あー、でも【うつしよ学院(公式)】の新着はないかぁ……。ん?)
高雄様は、うつしよ学院という中高一貫の学校に通ってるらしいんだけど、特別な教室に通われていて、同じ学校の生徒でも、めったにお姿を拝見できないらしい。
だから写真とかもほぼ【うつしよ学院(公式)】からしか供給ないし、【うつしよ学院(公式)】は学校の公式アカウントだから、高雄様の新規画像の供給は滅多にない。
更新がなかったのはがっかりだけど、いつものことだ。
前に投稿された高雄様の写真を巡回して癒されるか、と気持ちを切り替えていると、短文SNSからの通知がめちゃくちゃ多いことに気づいた。
(え、なに……)
この短文SNSは、私のオタ活用アカウントなので、ここまで大量の通知が来ているのは、天国か地獄かの二択だと思う。
つまり驚くような嬉しい供給があったか、推しがなにかやらかして炎上しているか、だ。
(高雄様に限って、炎上ってことはないと思うけど……)
びくびくしながら短文SNSのアプリを開く。
そして、目の前が真っ暗になった。
画面にずらりと並んだのは、高雄様が跪いて、女の子の手にふれ、その子を見上げている写真だった。
その写真の投稿には「高雄様が好きすぎて、必死で霊力伸ばしてうつしよ学院に入学した初日に、推しのプロポーズ見て泣いている」という短文が添えられている。
その投稿に、たくさんの人が一言コメントをつけて再投稿していて、私のスマホの画面を埋め尽くしていた。
(は……? は……?)
高雄様推しの仲間の悲鳴とか、真偽を問う声とか、そんな私たちを馬鹿にする一般人のコメントとか。
そんなものも目に入っているけど、頭の中は、ただ「は?」ってだけでいっぱいになる。
高雄様の写真って、今までも女子と写っているやつは見たことがある。
いちばん多いのは、同じかくりよ出身の幼馴染っていう樹莉様と雪姫様と一緒の写真だ。
タイプは違うけど、どちらも超のつく美形で、高雄様と一緒に写真撮れるのはめちゃくちゃうらやましいけど、眼福だし、恋愛っぽい雰囲気はない写真だった。
嫉妬とかは、ぶっちゃけあるけど、でもなんか、まぁ、ギリギリ正気を保てるラインだった。
けど、これは。
画像もあらいし、小さい写真だ。
だけどタップして拡大して、高雄様のお顔を見ると、その宝石みたいな金色の目が、女の子のほうを熱っぽく見つめているのがわかる。
それを見てしまって。
ううん、写真を拡大しなくても。
その女の子と一緒の高雄様の写真は、今までとはなんか違っていて。
(プロポーズ、はないにしても……)
その子が、高雄様の、特別なんだとわかってしまった。
見たくない、なのに、目がスマホから離せない。
手が勝手に画面を更新させていて、次々に同じ写真の再投稿と仲間の悲鳴を表示していく。
電車が、降りなくちゃいけない駅についたのに、降りる気にもなれなくて、ただスマホを更新し続けた。
その時。
新たに表示されたのは、この短文SNSでは見たことがなかった「【うつしよ学院(公式)】」のアカウントの投稿だった。
※お遊び色強めです(次回は小説風SNSになります)
※うつしよ学院公式アカウントの管理人は、雪姫です。
-------------------------------------------
(今日も疲れた……)
四月。
年度が替わったところだから、残業が長引くのは毎年のことだ。
とはいえ、目が回るような忙しさに、疲れないわけではない。
(なんで引き継ぎだけでも大変なこの時期に、送別会だの歓迎会だのあるんだろ……)
いや、退職する人がいるから引き継ぎが必要なんだし、送別会が開かれるんだし、辞める人がいるなら新しく来る人がいないのは困るんだけど。
わかっているし、職場ではにこにこ笑っているけど、終わった瞬間、表情が「無」になるのは許してほしい。
ぐったりとしながら電車に乗って、ようやく少しほっとする。
幸いと言うのは癪だけど、遅くまで残業していたおかげで電車はすいていた。
端っこの席に座り、バッグからスマホを取り出す。
ささっと急ぎの連絡が来ていないかだけチェックして、SNSのアプリの通知を確認する。
いちばん期待しているのは、写真がメインのSNSの、【うつしよ学院(公式)】アカウントからの新着のお知らせだ。
ここに私の最大の癒しが詰まっている。
(今日、高雄様の写真あがってないかなー)
高雄様、というのが私の最推し。
かくりよというこの世界とは別の世界の、あやかしの統領令息らしい。
めっちゃくちゃ強くて、次期統領で、霊力とかもすごいらしい。知らんけど。
ぶっちゃけ霊力とかは、人間的には貴族とかの偉い人だけ持ってるものって感じで、私みたいな庶民には、あんまり関係ない話だ。
高雄様や、他のかくりよのあやかしの皆様を推してる仲間の中には、そのあたりも突っ込んで勉強している子もいるけど、私はそこまで詳しいことはわからない。
けど、高雄様の霊力の強さはわからなくても、顔面の強さは、ひとめ見たらはっきりわかる。
ほんとやばいんだって!!
顔には、目と口と鼻が完璧な形とバランスで配置されているし、細身なのに筋肉感じる体つきも、ガチでやばい。
顔面国宝だし、顔で天下とれるし、空気とかも浄化していると思う。
マジのマジで、写真見るだけで癒されるし、疲れもとれるし、存在が神すぎる。
いや、高雄様はあやかしだけど。
あやかしの神っていうか。
そんな感じ。
今日みたいにぐったりな日も、高雄様のお写真を拝見したら、HPがチャージされるというもの……。
(あー、でも【うつしよ学院(公式)】の新着はないかぁ……。ん?)
高雄様は、うつしよ学院という中高一貫の学校に通ってるらしいんだけど、特別な教室に通われていて、同じ学校の生徒でも、めったにお姿を拝見できないらしい。
だから写真とかもほぼ【うつしよ学院(公式)】からしか供給ないし、【うつしよ学院(公式)】は学校の公式アカウントだから、高雄様の新規画像の供給は滅多にない。
更新がなかったのはがっかりだけど、いつものことだ。
前に投稿された高雄様の写真を巡回して癒されるか、と気持ちを切り替えていると、短文SNSからの通知がめちゃくちゃ多いことに気づいた。
(え、なに……)
この短文SNSは、私のオタ活用アカウントなので、ここまで大量の通知が来ているのは、天国か地獄かの二択だと思う。
つまり驚くような嬉しい供給があったか、推しがなにかやらかして炎上しているか、だ。
(高雄様に限って、炎上ってことはないと思うけど……)
びくびくしながら短文SNSのアプリを開く。
そして、目の前が真っ暗になった。
画面にずらりと並んだのは、高雄様が跪いて、女の子の手にふれ、その子を見上げている写真だった。
その写真の投稿には「高雄様が好きすぎて、必死で霊力伸ばしてうつしよ学院に入学した初日に、推しのプロポーズ見て泣いている」という短文が添えられている。
その投稿に、たくさんの人が一言コメントをつけて再投稿していて、私のスマホの画面を埋め尽くしていた。
(は……? は……?)
高雄様推しの仲間の悲鳴とか、真偽を問う声とか、そんな私たちを馬鹿にする一般人のコメントとか。
そんなものも目に入っているけど、頭の中は、ただ「は?」ってだけでいっぱいになる。
高雄様の写真って、今までも女子と写っているやつは見たことがある。
いちばん多いのは、同じかくりよ出身の幼馴染っていう樹莉様と雪姫様と一緒の写真だ。
タイプは違うけど、どちらも超のつく美形で、高雄様と一緒に写真撮れるのはめちゃくちゃうらやましいけど、眼福だし、恋愛っぽい雰囲気はない写真だった。
嫉妬とかは、ぶっちゃけあるけど、でもなんか、まぁ、ギリギリ正気を保てるラインだった。
けど、これは。
画像もあらいし、小さい写真だ。
だけどタップして拡大して、高雄様のお顔を見ると、その宝石みたいな金色の目が、女の子のほうを熱っぽく見つめているのがわかる。
それを見てしまって。
ううん、写真を拡大しなくても。
その女の子と一緒の高雄様の写真は、今までとはなんか違っていて。
(プロポーズ、はないにしても……)
その子が、高雄様の、特別なんだとわかってしまった。
見たくない、なのに、目がスマホから離せない。
手が勝手に画面を更新させていて、次々に同じ写真の再投稿と仲間の悲鳴を表示していく。
電車が、降りなくちゃいけない駅についたのに、降りる気にもなれなくて、ただスマホを更新し続けた。
その時。
新たに表示されたのは、この短文SNSでは見たことがなかった「【うつしよ学院(公式)】」のアカウントの投稿だった。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。