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本編こぼれ話 2(3巻書籍化御礼の小話)
【3巻御礼】現パロ4-6: 婚約者を説得するのは大変です編
高雄は初音を抱きしめたまま、小さくうなった。
「初音がそう言うのなら、とは思う。だが……」
高雄はそう言って、口を閉じた。
そして横目で、ちらりと華代を睨む。
「あれをこのままにしておくのは……」
そう言っている間も、華代の周辺の床ははじけ、砕かれていた。
華代はまだ悲鳴と悪態をつむいでいるが、男子生徒たちはとっくに気を失っているようで、声もしない。
(このままだと、華代たちは地獄への穴へ落ちてしまう……)
どうしよう、と初音が困っていると。
「こら、高雄様。初音様が困っていらっしゃるじゃろう」
初音たちのすぐそばに、すずやかな声がした。
「雪姫……」
声のほうを見た高雄は、嫌そうに顔をしかめる。
そのせいか、高雄の威圧も強くなったようで、華代は「ぐぇっ」とうめいていた。
けれど高雄がうまれる前から見守ってきて「祖母のようなものじゃ」と公言する雪姫は、そんな高雄の顔や威圧にひるむことなく、あきれたようにため息をついた。
「初音様のためと言いながら、初音様を困らせてどうするのじゃ?」
「しかし雪姫。この娘たちは、初音を傷つけたのだぞ……!」
「そうじゃな。それは、我とて許せぬと思う。まず当たり前のことじゃが、学校で他の生徒に害を与えようとすること自体がダメじゃ。その上それが、我らが次期統領の婚約者とあっては……。かくりよへの宣戦布告とみなし、徹底的に潰すべきじゃろうな」
雪姫は、顎に手をあてて、うむ、とうなずく。
高雄は、我が意を得たりとうなずいた。
「雪姫もそう思うだろう、だったら」
「じゃが、それは初音様のお気持ちをさしおいてまでしなくてはいけないことか? まぁあまりにも大勢の前でされたなら、見せしめにする必要はあるじゃろうが、ここにおる程度の人数なら、口止めも可能じゃ。じゃったら、優先すべきは、初音様のお気持ちではないのかえ?」
「そ、それは……」
高雄は、ぐっと唇をかんだ。
そして自分の腕の中にいる初音に目を落とした。
初音は、雪姫のおかげで高雄を止められそうだと、ほっとしていた。
涙でうるんだ瞳で高雄を見上げ、「お願いです」と高雄に訴える。
「このままでは、私は階段からちょっと突き落とされただけで、血のつながった妹を地獄へ葬った恐ろしい娘として世間で蔑まれるでしょう。高雄様を慮って面と向かって誹謗する者はいなくても、きっと陰ではおぞましい娘と呼ばれることになります。お願いです、高雄様。私のためだと思って、華代たちをこのうつしよに止めてください」
初音は一生懸命に考えて、高雄に効きそうな言葉を並べた。
高雄は尚も苦渋の表情をうかべていたが、再度初音に「お願いです」と言われ、しぶしぶうなずいた。
「わかった。初音が、それを望むのなら……」
高雄がそう言うと、華代たちの周囲に空いていた穴がみるみるふさがっていった。
そして、数秒もしないうちに、階段の床はもとのとおりに戻っていった。
「あ、あぁ……」
華代は、力尽きたように床に崩れ落ちた。
はぁはぁと大きな息をつきながら、うずくまっている。
それを高雄に抱きしめられたまま、上から見ている初音は、しんとした気持ちになっていた。
高雄が突拍子もないことばかり言うので、先ほどまでの恐怖や怒りは、一時的に静まっていた。
そして同時に、もう自分は華代を恐れなくてもいいのだという実感を、じわりと感じていた。
安堵と、静かな歓喜、それに高雄へのくすぐったい気持ちが胸に湧く。
そして少し落ち着いたからだろうか、急に周囲の音が耳に入ってきた。
ぱたぱたという小さな足音と、その後に続くもう少し大きな足音。
それから「こちらです」という女生徒の声と、苦し気な大人の男性の呼吸。
(誰か来る?)
目の前では、華代たちがまだ床に倒れたままだ。
誰かが来てこの光景を目撃したら、驚くだろう。
さてなんと説明すべきかと初音は思いながら、足音のほうへ目をやった。
ちょうどその時、ひとりの少女と、複数の先生方が階段の下にたどり着いていた。
「こちらです、校長先生!」
先生たちを先導してきた少女は、初音を見て、ほっとしたように声をあげた。
つやつやとした黒髪が印象的な、おとなし気な少女だ。
その顔には、見覚えがあった。
(あれは、同じクラスの高田万智子様だわ。それに、そういえば……)
そして遅れて、先ほどいつのまにか増えたと思った少女も、同じクラスの少女だと気づいた。
いつもは楽し気に笑っているイメージだったので気づくのが遅れたが、同じクラスの上村千鶴だ。
先ほどは少し離れた場所にいた彼女は、今は百合子にぴったり寄り添うように階段の中頃に立っている。
(もしかすると、百合子様といっしょにいらしていたのかしら)
初音たちに声をかけてくれたのは百合子だけだったから気づかなかったが、あの時から千鶴も一緒にいたのかもしれない。
そして校長を呼んできた万智子も、百合子たちの存在を目撃する前から認識していたようで、到着してすぐに百合子たちと視線を交わしている。
(百合子様達が三人でいる時に、私が危険なことに気づいて、二手に分かれて止めようとしてくれた、とか?)
百合子以外のふたりとも、初音は話したこともなかった。
ふたりも初音に対して悪意を向けてきたことはないが、そっと距離をとられていると思っていた。
それなのに、このふたりも初音を助けるために動いてくれたのだろうか。
じわり、と初音の胸に、またあたたかなものが注ぎ込まれる。
一方で、万智子に連れてこられた校長先生たちは、この光景に驚いているようだった。
「高雄様……、それに西園寺様に、東峰寺様。これは、いったいどうしたことでしょうか」
額に汗を浮かべながら、華厳校長が言う。
その困惑した顔に、高雄はあでやかに笑いかけた。
「それは、今からじっくり説明してやろう。なに、焦ることはない。雪姫がそなたらに、俺の威圧を緩める術をかけたようだ。そなたらが気を失う心配もないから、ゆっくりと話せる場所まで、案内するがよい」
華厳校長は、この名門うつしよ学院の校長を務めるだけあって、名家出身で霊力も強く、政府の要職も兼務している人物だった。
そんな校長に対する高雄の不遜な物言いに、初音はぎょっとする。
けれど華厳校長は、あきらめたようにため息をついた。
「かしこまりました。では、校長室へ参りましょう。ご案内いたします」
「初音がそう言うのなら、とは思う。だが……」
高雄はそう言って、口を閉じた。
そして横目で、ちらりと華代を睨む。
「あれをこのままにしておくのは……」
そう言っている間も、華代の周辺の床ははじけ、砕かれていた。
華代はまだ悲鳴と悪態をつむいでいるが、男子生徒たちはとっくに気を失っているようで、声もしない。
(このままだと、華代たちは地獄への穴へ落ちてしまう……)
どうしよう、と初音が困っていると。
「こら、高雄様。初音様が困っていらっしゃるじゃろう」
初音たちのすぐそばに、すずやかな声がした。
「雪姫……」
声のほうを見た高雄は、嫌そうに顔をしかめる。
そのせいか、高雄の威圧も強くなったようで、華代は「ぐぇっ」とうめいていた。
けれど高雄がうまれる前から見守ってきて「祖母のようなものじゃ」と公言する雪姫は、そんな高雄の顔や威圧にひるむことなく、あきれたようにため息をついた。
「初音様のためと言いながら、初音様を困らせてどうするのじゃ?」
「しかし雪姫。この娘たちは、初音を傷つけたのだぞ……!」
「そうじゃな。それは、我とて許せぬと思う。まず当たり前のことじゃが、学校で他の生徒に害を与えようとすること自体がダメじゃ。その上それが、我らが次期統領の婚約者とあっては……。かくりよへの宣戦布告とみなし、徹底的に潰すべきじゃろうな」
雪姫は、顎に手をあてて、うむ、とうなずく。
高雄は、我が意を得たりとうなずいた。
「雪姫もそう思うだろう、だったら」
「じゃが、それは初音様のお気持ちをさしおいてまでしなくてはいけないことか? まぁあまりにも大勢の前でされたなら、見せしめにする必要はあるじゃろうが、ここにおる程度の人数なら、口止めも可能じゃ。じゃったら、優先すべきは、初音様のお気持ちではないのかえ?」
「そ、それは……」
高雄は、ぐっと唇をかんだ。
そして自分の腕の中にいる初音に目を落とした。
初音は、雪姫のおかげで高雄を止められそうだと、ほっとしていた。
涙でうるんだ瞳で高雄を見上げ、「お願いです」と高雄に訴える。
「このままでは、私は階段からちょっと突き落とされただけで、血のつながった妹を地獄へ葬った恐ろしい娘として世間で蔑まれるでしょう。高雄様を慮って面と向かって誹謗する者はいなくても、きっと陰ではおぞましい娘と呼ばれることになります。お願いです、高雄様。私のためだと思って、華代たちをこのうつしよに止めてください」
初音は一生懸命に考えて、高雄に効きそうな言葉を並べた。
高雄は尚も苦渋の表情をうかべていたが、再度初音に「お願いです」と言われ、しぶしぶうなずいた。
「わかった。初音が、それを望むのなら……」
高雄がそう言うと、華代たちの周囲に空いていた穴がみるみるふさがっていった。
そして、数秒もしないうちに、階段の床はもとのとおりに戻っていった。
「あ、あぁ……」
華代は、力尽きたように床に崩れ落ちた。
はぁはぁと大きな息をつきながら、うずくまっている。
それを高雄に抱きしめられたまま、上から見ている初音は、しんとした気持ちになっていた。
高雄が突拍子もないことばかり言うので、先ほどまでの恐怖や怒りは、一時的に静まっていた。
そして同時に、もう自分は華代を恐れなくてもいいのだという実感を、じわりと感じていた。
安堵と、静かな歓喜、それに高雄へのくすぐったい気持ちが胸に湧く。
そして少し落ち着いたからだろうか、急に周囲の音が耳に入ってきた。
ぱたぱたという小さな足音と、その後に続くもう少し大きな足音。
それから「こちらです」という女生徒の声と、苦し気な大人の男性の呼吸。
(誰か来る?)
目の前では、華代たちがまだ床に倒れたままだ。
誰かが来てこの光景を目撃したら、驚くだろう。
さてなんと説明すべきかと初音は思いながら、足音のほうへ目をやった。
ちょうどその時、ひとりの少女と、複数の先生方が階段の下にたどり着いていた。
「こちらです、校長先生!」
先生たちを先導してきた少女は、初音を見て、ほっとしたように声をあげた。
つやつやとした黒髪が印象的な、おとなし気な少女だ。
その顔には、見覚えがあった。
(あれは、同じクラスの高田万智子様だわ。それに、そういえば……)
そして遅れて、先ほどいつのまにか増えたと思った少女も、同じクラスの少女だと気づいた。
いつもは楽し気に笑っているイメージだったので気づくのが遅れたが、同じクラスの上村千鶴だ。
先ほどは少し離れた場所にいた彼女は、今は百合子にぴったり寄り添うように階段の中頃に立っている。
(もしかすると、百合子様といっしょにいらしていたのかしら)
初音たちに声をかけてくれたのは百合子だけだったから気づかなかったが、あの時から千鶴も一緒にいたのかもしれない。
そして校長を呼んできた万智子も、百合子たちの存在を目撃する前から認識していたようで、到着してすぐに百合子たちと視線を交わしている。
(百合子様達が三人でいる時に、私が危険なことに気づいて、二手に分かれて止めようとしてくれた、とか?)
百合子以外のふたりとも、初音は話したこともなかった。
ふたりも初音に対して悪意を向けてきたことはないが、そっと距離をとられていると思っていた。
それなのに、このふたりも初音を助けるために動いてくれたのだろうか。
じわり、と初音の胸に、またあたたかなものが注ぎ込まれる。
一方で、万智子に連れてこられた校長先生たちは、この光景に驚いているようだった。
「高雄様……、それに西園寺様に、東峰寺様。これは、いったいどうしたことでしょうか」
額に汗を浮かべながら、華厳校長が言う。
その困惑した顔に、高雄はあでやかに笑いかけた。
「それは、今からじっくり説明してやろう。なに、焦ることはない。雪姫がそなたらに、俺の威圧を緩める術をかけたようだ。そなたらが気を失う心配もないから、ゆっくりと話せる場所まで、案内するがよい」
華厳校長は、この名門うつしよ学院の校長を務めるだけあって、名家出身で霊力も強く、政府の要職も兼務している人物だった。
そんな校長に対する高雄の不遜な物言いに、初音はぎょっとする。
けれど華厳校長は、あきらめたようにため息をついた。
「かしこまりました。では、校長室へ参りましょう。ご案内いたします」
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