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本編こぼれ話(書籍化御礼の小話)
わたくしは悪いことなどしていないのに 下(華代の後日譚)
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※「上」の注意書をご確認のうえ、おすすめください。
波の音から逃れるように、華代は屋敷の奥にある自室へ戻った。
部屋には、簡素な寝台がひとつと、小さな衣装棚がひとつある。
だが目を楽しませるような美しい小間物や、身支度を整えるのに必要な鏡台はおろか、腰をかける椅子ひとつすらない。
せめて畳敷きであれば、と思いながら、華代は寝台に腰掛けた。
(お腹が空いたわ……)
無意識にお腹に手を当てて、華代はぐったりとうなだれた。
空腹が、こんなに辛いものだとは思わなかった。
これまでとて、学校の授業中やパーティで長時間、食事ができない時間はあった。
そんな時は、空腹のせいで無性にいらいらし、初音に当たっていたと思う。
けれどあの時は、少し待てば食事できることはわかっていた。
長くとも数時間後には、なにかを口にすることができた。
それがあたりまえで、そのことをありがたいとも思っていなかった。
だが、今は……。
華代は、昨日のことを思い出して、身震いした。
この島の長の男には、息子がひとりいる。
いかにも田舎者らしいごつごつした体つきの、日に焼けた野卑な男だ。
これまで華代のまわりにいた風雅な男たちとは、同じ男と思えない、獣のような匂いのする田舎の男。
その男は、よりにもよって華代に気があるようなのだ。
当初、華代はそのことに気づかなかった。
侯爵令嬢として育った華代にとって、平民など同じ人間だと思ったこともなかった。
女学校に通っている富裕な娘たちであっても、貴族ではないという時点で、同じ世界に生きていると思うこともなかった。
ましてやこんな小さな、美しいものといえば自然の海ばかりしかない島で、食べ物を育てたり、海で魚を採って暮らすような田舎者など、どうして同じ人間だと思えようか。
彼らは、人と獣の間の、なにかだ。
華代と同じ人間と言われても嗤うしかない。
そんな相手が。
まさか、自分に想いを寄せていようとは……。
(あぁ、気持ちが悪い)
男が華代を見るぎらついた目を思い出すだけで、総毛立つ。
男から手渡される野菜や握り飯は、華代の身分や美しさを賛美するがための貢ぎ物だと思って受け取っていただけだ。
それなのにあの男は、そうではない、と言ったのだ。
あれらの食糧は、華代を神のごとく崇め奉り貢ぎ物として捧げたわけではなく、華代を嫁にしたいという下心あっての贈り物だと。
人間未満の獣に、そんなことを言われた華代は、当然、怒り狂った。
そもそも華代のような貴族の令嬢は、平民の男が話しかけられるような相手ではないのだ。
そこを曲げて、貢ぎ物を受け取ってやったのだ。
男は、それで満足すべきだと、華代は思う。
それなのにあの男は、厚かましくも華代を嫁にしたい、などと言った。
そして華代が「ここが都なら、お前のような身の程知らずの獣は、下男に棒で打たせて追い出すところだ」と言うと、呆れたように嗤ったのだ。
「ここは都じゃないし、お前はもう貴族の娘でもない。俺を追い出すための下男もいない。元お貴族様の父親だって、頭がおかしくなっちまったんだろ。頼る人間なんて、どこにもいねぇ。……なぁ、認めろよ。それどころか、獣だと見下す男から食べ物を貰わねぇと、食うにも困る身の上だってことをさぁ」
男は、華代の顔ぎりぎりまで自分の顔を近づけて嗤いながら言った。
「どこまで意地をはれるだろうなぁ。言っとくが、俺に泣きつくなら、はやいほうがいいぜ? 後になればなるほど、対価は高くなる。お前が俺の女になるのが遅くなれば、俺の嫁になるどころか、夜の相手をして握り飯ひとつ、ってとこまでその身の価値を落とすかもなぁ」
誰がそんなことをするか、と華代はきっぱりと断った。
美しく身分も高い自分にふさわしいのは、同じように美しく身分の高い男だ。
誰が、こんな獣のような男の嫁などなるものか。
ましてや、握り飯ひとつで、こんな男に身を捧げようはずもない。
そう言って、男の頬をぶてば、男はますますにやにやと嗤った。
「いいねぇ、その威勢がいつまで続くのか楽しみだな。だが今は、こんな男にもらった食糧なんざ、獣臭くて食べられないだろうから、今日のこれは持って帰ろうか」
男はそういって、握り飯と漬物が入った包みを華代の目の前で揺らした。
華代ののどが、ごくりと鳴る。
気のせいか白米のよい香りがする気がした。
けれど必死の矜持で、華代は「いらない」と言った。
すると華代の虚勢を見透かしたように、男は嗤って握り飯を持って帰ってしまった。
……あの時の絶望感。
あんな男の嫁になるなど、ありえない。
こんな小さな島で、獣のような男の嫁になる?
高貴な身分の、美しい自分が?
あの姉でさえ、あやかしのとはいえ、美しい統領の嫁に選ばれたというのに……。
だけれど。
華代は、暗い気持ちに目を閉じた。
このままの日々が続けば、いつかきっと自分は空腹に負けて、あの男の言いなりになるだろう。
空腹とは、それほどに恐ろしい。
人間の矜持など、食べられるものがない恐ろしさの前では、ちっぽけなものになってしまう。
これまでの自分の生き方や名誉や地位さえも忘れさせ、ただこの飢えを満たしたいと思ってしまう。
それを最近の華代は、毎日のように思い知らされている。
いつか空腹に負けて、あの男に助けを乞う日が、来てしまうかもしれない。
その日が来るかもしれないことを思えば、気が狂いそうだ。
「……どうして、どうして、どうしてなのっ? わたくしはなにも悪いことなどしていない! なのに、どうしてこんな辛い想いをしなくてはならないの……?」
絶望の中で思い出すのは、数ヶ月前までの幸せな日々。
いつだって、華代は大切にされてきた。
その身にふさわしい扱いを受けてきたのに……。
「わたくしがこんなに辛い目に合うのは、ぜんぶお姉様のせいよ! お姉様があんな男に目をつけられず、これまでどおり死んだように生きていれば、わたくしはきっと今も幸せだったのに……!」
怒りと絶望。
思いの丈をこめて、華代が叫んだ。
憤怒にあふれたその声は、けれど聞く人もないまま消えていく……、はずだった。
だが。
「見つけた。その血に宿った力……。間違いない。そなた、あのあやかしの統領、高雄の婚約者の身内だな」
突如として現れた男が、華代の怨嗟に満ちた声に気づいた。
金色の髪の、長身の、見たことがない男だった。
自室に突然現れた見知らぬ男に、華代は悲鳴をあげかけた。
だが、声が出ない。
「叫ぶな。お前の耳障りな声など聞きたくない」
凍えるように冷たい目をした男に鬱陶しげに睨まれただけで、華代は声も出せなくなった。
叫んでも、その口からはただ空気が漏れるばかりだ。
ひゅうひゅうと口から声のない怒りの声をあげる華代に、男はただ眉をひそめた。
「……本当に高雄の婚約者の身内なのか? 血に宿る力はそれと示しているが、あまりにも魂の色が違う。なんとおぞましい色だ。だが」
男は華代の目を見て、小さくうなずいた。
「これなら、利用して壊しても問題あるまい。……お前の姉を手に入れるため、せいぜい役に立ってくれ」
男は、ひどく嬉しそうに笑う。
その時はじめて、華代は男が非常に美しい顔立ちをしていることに気づいた。
だが男の目はどこまでも冷たく、華代の心は浮き立つどころか恐ろしくてならなかった。
(こわい……)
華代は、身震いした。
こんなふうに身体が本能的に恐ろしさを察知するのは、はじめてだった。
否。
初音の婚約者の、あのあやかしの統領だとかいう男に睨まれた時も、こうだった。
自分には太刀打ちできない、絶対強者に睨まれたあの恐怖。
華代は男の手から逃れようとしたが、身体は動かなかった。
男が、華代に手を伸ばす。
華代は、男に捉えられ……。
そして、その屋敷から姿を消した。
波の音から逃れるように、華代は屋敷の奥にある自室へ戻った。
部屋には、簡素な寝台がひとつと、小さな衣装棚がひとつある。
だが目を楽しませるような美しい小間物や、身支度を整えるのに必要な鏡台はおろか、腰をかける椅子ひとつすらない。
せめて畳敷きであれば、と思いながら、華代は寝台に腰掛けた。
(お腹が空いたわ……)
無意識にお腹に手を当てて、華代はぐったりとうなだれた。
空腹が、こんなに辛いものだとは思わなかった。
これまでとて、学校の授業中やパーティで長時間、食事ができない時間はあった。
そんな時は、空腹のせいで無性にいらいらし、初音に当たっていたと思う。
けれどあの時は、少し待てば食事できることはわかっていた。
長くとも数時間後には、なにかを口にすることができた。
それがあたりまえで、そのことをありがたいとも思っていなかった。
だが、今は……。
華代は、昨日のことを思い出して、身震いした。
この島の長の男には、息子がひとりいる。
いかにも田舎者らしいごつごつした体つきの、日に焼けた野卑な男だ。
これまで華代のまわりにいた風雅な男たちとは、同じ男と思えない、獣のような匂いのする田舎の男。
その男は、よりにもよって華代に気があるようなのだ。
当初、華代はそのことに気づかなかった。
侯爵令嬢として育った華代にとって、平民など同じ人間だと思ったこともなかった。
女学校に通っている富裕な娘たちであっても、貴族ではないという時点で、同じ世界に生きていると思うこともなかった。
ましてやこんな小さな、美しいものといえば自然の海ばかりしかない島で、食べ物を育てたり、海で魚を採って暮らすような田舎者など、どうして同じ人間だと思えようか。
彼らは、人と獣の間の、なにかだ。
華代と同じ人間と言われても嗤うしかない。
そんな相手が。
まさか、自分に想いを寄せていようとは……。
(あぁ、気持ちが悪い)
男が華代を見るぎらついた目を思い出すだけで、総毛立つ。
男から手渡される野菜や握り飯は、華代の身分や美しさを賛美するがための貢ぎ物だと思って受け取っていただけだ。
それなのにあの男は、そうではない、と言ったのだ。
あれらの食糧は、華代を神のごとく崇め奉り貢ぎ物として捧げたわけではなく、華代を嫁にしたいという下心あっての贈り物だと。
人間未満の獣に、そんなことを言われた華代は、当然、怒り狂った。
そもそも華代のような貴族の令嬢は、平民の男が話しかけられるような相手ではないのだ。
そこを曲げて、貢ぎ物を受け取ってやったのだ。
男は、それで満足すべきだと、華代は思う。
それなのにあの男は、厚かましくも華代を嫁にしたい、などと言った。
そして華代が「ここが都なら、お前のような身の程知らずの獣は、下男に棒で打たせて追い出すところだ」と言うと、呆れたように嗤ったのだ。
「ここは都じゃないし、お前はもう貴族の娘でもない。俺を追い出すための下男もいない。元お貴族様の父親だって、頭がおかしくなっちまったんだろ。頼る人間なんて、どこにもいねぇ。……なぁ、認めろよ。それどころか、獣だと見下す男から食べ物を貰わねぇと、食うにも困る身の上だってことをさぁ」
男は、華代の顔ぎりぎりまで自分の顔を近づけて嗤いながら言った。
「どこまで意地をはれるだろうなぁ。言っとくが、俺に泣きつくなら、はやいほうがいいぜ? 後になればなるほど、対価は高くなる。お前が俺の女になるのが遅くなれば、俺の嫁になるどころか、夜の相手をして握り飯ひとつ、ってとこまでその身の価値を落とすかもなぁ」
誰がそんなことをするか、と華代はきっぱりと断った。
美しく身分も高い自分にふさわしいのは、同じように美しく身分の高い男だ。
誰が、こんな獣のような男の嫁などなるものか。
ましてや、握り飯ひとつで、こんな男に身を捧げようはずもない。
そう言って、男の頬をぶてば、男はますますにやにやと嗤った。
「いいねぇ、その威勢がいつまで続くのか楽しみだな。だが今は、こんな男にもらった食糧なんざ、獣臭くて食べられないだろうから、今日のこれは持って帰ろうか」
男はそういって、握り飯と漬物が入った包みを華代の目の前で揺らした。
華代ののどが、ごくりと鳴る。
気のせいか白米のよい香りがする気がした。
けれど必死の矜持で、華代は「いらない」と言った。
すると華代の虚勢を見透かしたように、男は嗤って握り飯を持って帰ってしまった。
……あの時の絶望感。
あんな男の嫁になるなど、ありえない。
こんな小さな島で、獣のような男の嫁になる?
高貴な身分の、美しい自分が?
あの姉でさえ、あやかしのとはいえ、美しい統領の嫁に選ばれたというのに……。
だけれど。
華代は、暗い気持ちに目を閉じた。
このままの日々が続けば、いつかきっと自分は空腹に負けて、あの男の言いなりになるだろう。
空腹とは、それほどに恐ろしい。
人間の矜持など、食べられるものがない恐ろしさの前では、ちっぽけなものになってしまう。
これまでの自分の生き方や名誉や地位さえも忘れさせ、ただこの飢えを満たしたいと思ってしまう。
それを最近の華代は、毎日のように思い知らされている。
いつか空腹に負けて、あの男に助けを乞う日が、来てしまうかもしれない。
その日が来るかもしれないことを思えば、気が狂いそうだ。
「……どうして、どうして、どうしてなのっ? わたくしはなにも悪いことなどしていない! なのに、どうしてこんな辛い想いをしなくてはならないの……?」
絶望の中で思い出すのは、数ヶ月前までの幸せな日々。
いつだって、華代は大切にされてきた。
その身にふさわしい扱いを受けてきたのに……。
「わたくしがこんなに辛い目に合うのは、ぜんぶお姉様のせいよ! お姉様があんな男に目をつけられず、これまでどおり死んだように生きていれば、わたくしはきっと今も幸せだったのに……!」
怒りと絶望。
思いの丈をこめて、華代が叫んだ。
憤怒にあふれたその声は、けれど聞く人もないまま消えていく……、はずだった。
だが。
「見つけた。その血に宿った力……。間違いない。そなた、あのあやかしの統領、高雄の婚約者の身内だな」
突如として現れた男が、華代の怨嗟に満ちた声に気づいた。
金色の髪の、長身の、見たことがない男だった。
自室に突然現れた見知らぬ男に、華代は悲鳴をあげかけた。
だが、声が出ない。
「叫ぶな。お前の耳障りな声など聞きたくない」
凍えるように冷たい目をした男に鬱陶しげに睨まれただけで、華代は声も出せなくなった。
叫んでも、その口からはただ空気が漏れるばかりだ。
ひゅうひゅうと口から声のない怒りの声をあげる華代に、男はただ眉をひそめた。
「……本当に高雄の婚約者の身内なのか? 血に宿る力はそれと示しているが、あまりにも魂の色が違う。なんとおぞましい色だ。だが」
男は華代の目を見て、小さくうなずいた。
「これなら、利用して壊しても問題あるまい。……お前の姉を手に入れるため、せいぜい役に立ってくれ」
男は、ひどく嬉しそうに笑う。
その時はじめて、華代は男が非常に美しい顔立ちをしていることに気づいた。
だが男の目はどこまでも冷たく、華代の心は浮き立つどころか恐ろしくてならなかった。
(こわい……)
華代は、身震いした。
こんなふうに身体が本能的に恐ろしさを察知するのは、はじめてだった。
否。
初音の婚約者の、あのあやかしの統領だとかいう男に睨まれた時も、こうだった。
自分には太刀打ちできない、絶対強者に睨まれたあの恐怖。
華代は男の手から逃れようとしたが、身体は動かなかった。
男が、華代に手を伸ばす。
華代は、男に捉えられ……。
そして、その屋敷から姿を消した。
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