【作業中】召喚された勇者が望むのは、婚約破棄された騎士令嬢(異世界の婚約破棄から始まる短編小説つめあわせ)

木村 真理

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私の婚約者(王子)がお馬鹿すぎる。……でも好き、っていうこの羞恥に満ちた状況について

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「エリザベス・ブラッドリ侯爵令嬢。君との婚約は破棄させてもらおう」

 衆人環視のパーティの最中、そう言い放ったのは私の婚約者。
そして、この国の第三王子でもあるエドワードだった。

 エドワードの隣には、ストロベリーブロンドのかわいらしい少女…カインズ男爵令嬢が寄り添っている。
超然としたエドワード王子とは対照的に、カインズ男爵令嬢の頬は赤く染まり、恥ずかしそうに眼を伏せている。
そのくせ王子に寄り添う彼女は、なれなれしくも王子の腕に自らの腕を絡めていた。

 あーあ。
私は心中でため息をつく。

 この馬鹿王子、馬鹿だ馬鹿だと思っていたけど、本当に馬鹿だ。
馬鹿すぎる。
どうしていいのかわからないレベルの馬鹿。
どうしよう、私の婚約者が馬鹿すぎて、めまいがする。

 確かに、このところカインズ男爵令嬢と王子がよく一緒にいるという話は耳に入っていた。
下町育ちのカインズ男爵令嬢は、昨年母が亡くなり、正妻との間に子どものなかった父カインズ男爵に引き取られた。
初めは社交界の好奇と同情を集めた彼女だったけど、この一年でその視線は侮蔑と呆れに代わっている。

 カインズ男爵令嬢といえば、社交界では男好きとして知らない者はいない。
未婚の女子にとって厳重に守るべきとされる貞操も貞節も、彼女の辞書には載っていないらしい。
見た目は無垢な愛らしい少女なのに、その男性遍歴はすさまじい。

 ちょっと気に入った貴族の男性ならだれにでも一夜を共にしたいと言いよっている姿を、よく見る。
最近ではお忍びで下町の酒場にまで男を漁りにいっていると聞く。

 彼女の出身は下町だから、そちらは単なる里帰りかもしれない。
だけど、そんなフォローをする気にもなれないくらい彼女の素行は悪かった。

 当初は悪質な噂かと思って、かばっていた子もいたんだけどね。
驚いたことにそれらの耳を覆いたくなるような噂は事実らしく、自分で目撃したことも多々あった。
あまりにも破廉恥な彼女の態度に、近々男爵家には貴族院から厳重注意が行く予定だったりする。

 そんな彼女と王子が親しくしているなんて大問題だ。
私も一度ならず王子にも、彼女にも、交友を慎むようにと言っていたのに。

 その結果が、この「婚約破棄」だ。
あぁ、もう!
なんで私の婚約者ってば、こんなにお馬鹿さんなのよ!

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