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私の婚約者(王子)がお馬鹿すぎる。……でも好き、っていうこの羞恥に満ちた状況について
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婚約破棄という言葉は、自分では口にできなかった。
けれど王子は、あっさりと私が婚約の解消を了承したと思ったのだろう。
あわてて私に駈け寄る。
「そんなこと、私は父から聞いていないぞ!」
あらまぁ、王子。
そんなに動揺をあらわにしては、普段の俺様王子っぷりが泣くわよ?
少しだけ溜飲がさがるけれど、私の怒りはこんなものでは収まらない。
「わたくしの言葉をお疑いになるのでしたら、王にご確認くださいませ」
感情を押し殺して、顔を伏せて言う。
すると、王子は私の腕に縋り付いてぼうぜんとつぶやいた。
「そ、そんな…。エリザベス、本当なのか?」
「わたくしは、自国の王の発言を偽るような不敬者ではございません」
きっぱりと言い放つ。
すると、王子はようやく自分の発言の重みを知ったかのように、顔色をなくす。
そんなエドワード王子の狼狽ぶりに、カインズ男爵令嬢が不思議そうに首をかしげ、あまったるい声音で言う。
「なにを戸惑っていらっしゃるのです? ブラッドリ侯爵令嬢は、王子との婚約解消に応じてくださったのです。なにも王子を煩わせることはなくなったのですよ?」
にっこりと笑うカインズ男爵令嬢を見て、私は苦々しい気持ちでいっぱいになった。
近くで見ても、彼女はとてもかわいらしかった。
小さな女の子が大切にしているお人形のように、無垢なかわいらしさに満ちていた。
この愛らしさなら、どんな淫らな噂があっても、そんな噂など信じず、彼女を心から愛する男もいるだろう。
だけど、彼女は、あまりにも何も見えていないようだ。
私たちを見ている周囲の貴族たちの呆れた表情も、先ほどからの私の冷ややかな態度も。
なにより、彼女が愛し、愛されているはずの王子の、本当の気持ちも。
「ねぇ、王子。いいじゃありませんか。ブラッドリ侯爵令嬢との婚約は解消できたのです。お楽しみは、これからですわ」
カインズ男爵令嬢は、その大きな目をうるませて王子に囁き、形のいい胸を王子の腕におしつけた。
けれど、そんな男爵令嬢の態度に、王子は激昂するだけだった。
「君はなにを言っているんだ?カインズ男爵令嬢。エリザベスが! 本当に私との婚約を破棄すると言っているんだぞ!?」
「え…、えぇ。ですから、王子はわたくしとたっぷりお楽しみいただけましてよ」
「わけがわからないな、カインズ男爵令嬢。現状を見れば、君のあまりよくない頭でも、『婚約破棄をすると言って驚かせてエリザベスに愛してるって言ってもらおう作戦』が失敗したことはわかるだろう…! それどころか、このままだと本当にエリザベスと婚約破棄……い、いやだっ!」
エドワード王子は、青くなって、赤くなって、それから真っ白になった。
わー、人間の顔色って、こんなに変わるものなのね。
ぱちぱちぱち。
なんて、現実逃避したくなっちゃう。
なにその『婚約破棄をすると言って驚かせてエリザベスに愛してるって言ってもらおう作戦』って。
馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけど、本当に、予想の数百倍レベルで馬鹿王子です。
これが私の婚約者ですと。
信じたくないわー。
ないわー。
王子は、涙目で私の前に膝をつく。
そして地面にへばりつくように体を折り、涙ながらに許しを乞うた。
けれど王子は、あっさりと私が婚約の解消を了承したと思ったのだろう。
あわてて私に駈け寄る。
「そんなこと、私は父から聞いていないぞ!」
あらまぁ、王子。
そんなに動揺をあらわにしては、普段の俺様王子っぷりが泣くわよ?
少しだけ溜飲がさがるけれど、私の怒りはこんなものでは収まらない。
「わたくしの言葉をお疑いになるのでしたら、王にご確認くださいませ」
感情を押し殺して、顔を伏せて言う。
すると、王子は私の腕に縋り付いてぼうぜんとつぶやいた。
「そ、そんな…。エリザベス、本当なのか?」
「わたくしは、自国の王の発言を偽るような不敬者ではございません」
きっぱりと言い放つ。
すると、王子はようやく自分の発言の重みを知ったかのように、顔色をなくす。
そんなエドワード王子の狼狽ぶりに、カインズ男爵令嬢が不思議そうに首をかしげ、あまったるい声音で言う。
「なにを戸惑っていらっしゃるのです? ブラッドリ侯爵令嬢は、王子との婚約解消に応じてくださったのです。なにも王子を煩わせることはなくなったのですよ?」
にっこりと笑うカインズ男爵令嬢を見て、私は苦々しい気持ちでいっぱいになった。
近くで見ても、彼女はとてもかわいらしかった。
小さな女の子が大切にしているお人形のように、無垢なかわいらしさに満ちていた。
この愛らしさなら、どんな淫らな噂があっても、そんな噂など信じず、彼女を心から愛する男もいるだろう。
だけど、彼女は、あまりにも何も見えていないようだ。
私たちを見ている周囲の貴族たちの呆れた表情も、先ほどからの私の冷ややかな態度も。
なにより、彼女が愛し、愛されているはずの王子の、本当の気持ちも。
「ねぇ、王子。いいじゃありませんか。ブラッドリ侯爵令嬢との婚約は解消できたのです。お楽しみは、これからですわ」
カインズ男爵令嬢は、その大きな目をうるませて王子に囁き、形のいい胸を王子の腕におしつけた。
けれど、そんな男爵令嬢の態度に、王子は激昂するだけだった。
「君はなにを言っているんだ?カインズ男爵令嬢。エリザベスが! 本当に私との婚約を破棄すると言っているんだぞ!?」
「え…、えぇ。ですから、王子はわたくしとたっぷりお楽しみいただけましてよ」
「わけがわからないな、カインズ男爵令嬢。現状を見れば、君のあまりよくない頭でも、『婚約破棄をすると言って驚かせてエリザベスに愛してるって言ってもらおう作戦』が失敗したことはわかるだろう…! それどころか、このままだと本当にエリザベスと婚約破棄……い、いやだっ!」
エドワード王子は、青くなって、赤くなって、それから真っ白になった。
わー、人間の顔色って、こんなに変わるものなのね。
ぱちぱちぱち。
なんて、現実逃避したくなっちゃう。
なにその『婚約破棄をすると言って驚かせてエリザベスに愛してるって言ってもらおう作戦』って。
馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけど、本当に、予想の数百倍レベルで馬鹿王子です。
これが私の婚約者ですと。
信じたくないわー。
ないわー。
王子は、涙目で私の前に膝をつく。
そして地面にへばりつくように体を折り、涙ながらに許しを乞うた。
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