秘密の生徒会室 君とふたりきり

むらさ樹

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校則違反 ~kousoku ihan ➀

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通学カバンに入らないので、結局手で持って帰った生徒会資料のファイル。

家の玄関を開けて入ると、奥からバタバタとママがわたしを出迎えた。

「あ、ただいま。
ママ…」

「千歳!遅かったじゃない!
どこ寄り道してたの?ダメでしょ!」

…寄り道なんかどこもしてないっての。
ちょっといつもより帰宅時間が遅れたからって、ダメだなんて言われても。
わたしは小学生じゃないってのに。

「あの…ごめんなさい、ママ。
今日は急に生徒会の集まりがあって…」

そう言って手に持っていたファイルを何となく見せると、ママは急に表情を変えた。

「あら、じゃあ千歳当選したの?おめでとう!
やったわね、生徒会長だなんて!」

「え、いや、生徒会長じゃ…」

すぐに誤解を解こうとしたけど、機嫌良く舞い上がってるママを見てそれも止めた。

ま、いっか。
会長も副会長も似たようなものだし。




家に帰ると、まずは学校の課題をさっさと片付ける。
それから今日の授業の復習と明日の授業の予習…て、ほんっとわたしってば真面目な性格だと自分でも思う。

それらがあらかた片付くと、だいたいこの辺りで晩ご飯の声がかかってくる。

「千歳、お夕飯できたわよ」

「はぁい」

ママは何でも神経質で、時間通りじゃないと気がすまないんだ。


定時通り晩ご飯を食べると、また自分の部屋に戻り今度はいよいよ例のファイルを1枚1枚…いや一字一句読んでいった。

…これはこれで、骨の折れる作業。
これからしばらくは毎日生徒会活動もこなさなきゃならないかと思うと、泣けてくる。


それに、結局わたしの立案したマニフェストは通らなかったわけだし……

「あれ?」

そういえば今日クラスメイトに、わたしのマニフェストの現実化を生徒会で話してみたいな事を言われたっけ。
それと、2週間後の生徒総会で全校生徒の賛成をもらって成立するみたいな事を桐生珪は言っていた。

そうなんだ。
マニフェストはあくまでもマニフェスト。
当選したからって、いきなり校則化されるわけじゃないんだ!



膨大な資料をとりあえず一通りは読み終えた。
どうやらこの“恋愛禁止令”ってのは、生徒会が設立されて最初の校則として作られたものらしい。

その理由には、勤勉の妨げになるから、と至ってシンプルなもの。

まったくその通りね。初代生徒会長は、多少はマトモな人間だったに違いないわ。

なのに、その校則を取り消そうとするなんて。
桐生珪は私利私欲の為にしか考えてないってのに、もしまだ校則化に間に合うのなら明日の集まりの時に言ってみよう。

わたしのマニフェストだって、桐生珪と2票しか変わらない支持を得たんだもの。
話し合い次第では、何とかなるかもしれない。

何より…
何でもかんでも桐生珪の思い通りになんかならない事、教えてやるんだから!






__翌日の放課後

昨日持って帰ったファイルを手にして生徒会室に向かった。
ドアに手をかけて開けようとするが、カギがかかっていて開かない。


「そっか、カギ…」

昨日桐生珪から預かった生徒会室のカギを制服のポケットから取り出して、ドアのカギ穴に差し込む。
左に半分回すと、カチッと錠が外れる音がした。

抜いたカギをまた制服のポケットに戻すと、再びドアに手をかけてスライドした。

ガラガラって音を立てて生徒会室のドアが開く。

これまで入室を禁止された生徒会室が、自分の意志で出入り自由になったなんて。何て言うかこの感覚、やっぱりちょっと快感って奴かも…。

なんて思いながら後ろ手にドアを閉めた瞬間、目の前の様子にビクッとしてしまった。

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