秘密の生徒会室 君とふたりきり

むらさ樹

文字の大きさ
14 / 52

しおりを挟む
「じゃ、失礼しまーす」

「また明日、頑張りましょう」

次々出て行くメンバーたちに続いて、わたしも生徒会室を出ようとした。

この最近は、放課後はなるべく遅めに集まり、帰りは早々とみんなについて出るようにしている。
カギは桐生珪だって持っているんだから、別に問題ないもんね。

なのに…


「榊さん」

_ドキン

ドアを出ようとした所で、名前を呼ばれた。
最後に残った桐生珪が、そそくさと帰ろうとするわたしを呼び止めたのだ。


「………何?
桐生君…」

なるべく視線を合わせないようにして、用件だけを訊いた。
早くしないと他の3人からどんどん離れてしまう。

コイツとふたりきりになったら、またペースを乱されるから…っ。


「副会長、先に行きますよ?」

3人が一応わたしに声をかけてくれた。

「あ、待って。
すぐにわたしも…」

「帰っていいよ。
オレたちは例の校則の事で、もう少し話す事があるから。
ほら、榊さん」

わたしの言葉を遮るようにして、桐生珪は他の3人を返してわたしを生徒会室に戻した。

ガラガラとドアを閉めて振り返る。


何よ。例の校則の事で、話す事があるって?
あれはあれで一応話はついた筈じゃない!
今更何を…


「…なぁ、何でオレから逃げようとするんだよ」

ドキンと、再び心臓が鳴った。
なるべく避けようとしてた事、やっぱりバレてたんだ。

まともに顔が見れなくて、視線を下げたままわたしは返した。


「べ、別に逃げようとしてたわけじゃ…」

「ウソつくなよ!
だったらオレを見て言えって」

グッと肩を掴まれ、無理やり顔を桐生珪に向けられた。

すぐ目の前には桐生珪の顔。
今はいつもの意地悪そうな表情ではない、珍しく真面目な顔つき。

女子生徒が毎日どこかでキャーキャー喚くだけの事はある、確かなイケメンフェイス。

けれど今、どこまでもわたしのペースを乱すコイツには、もしかしたら恐怖心すらあるかもしれない…。


「怒ってんのか?
この前の事」

「…何の話?」

わかってるけど、わざとすっとぼける。
だってすぐに応えたら、わたしが意識してるのバレちゃうじゃない!

長く目を合わせてられなくてわたしは再び視線を落とそうとすると、それを遮るように桐生珪はわたしをグイッと引っ張り寄せ、またしてもキスをしてきた。


「…んっ……っ
ちょっ、いい加減に…しなさいよっ!
アンタ、わたしをバカにしてんの!?」

わたしは力いっぱい抵抗して、桐生珪を振り払った。

「また…校則違反だってわたしを脅すんでしょ?
そうやってわたしを見下すような真似して、楽しい?
そんなにわたしをバカにして、面白いって腹の内では笑ってるんでしょ!」

人前では大人しく、常に知的でおしとやかに。
そんな仮面を被って生活している事を忘れたように、わたしは大声をあげた。

でも悔しくて…涙も一緒にポロリとこぼれた…。

コイツと会ってからロクな事がない。
どうしてこんな奴の為に競うように生徒会に立候補しちゃったんだろう。

ホント…バカみたいだ…。



「…初めて見た、榊のそんな顔」

「言いたきゃ誰にだって言えばいいじゃない。
榊千歳は猫被ってるだけだって。
きっとみんな笑うわよ」

コイツのせいで今まで築き上げてきたものはみんなパァだわ。

だけど、それもこれもコイツに近付こうとしたわたしが一番悪いってわかってるわよ!


「言わないよ。
前にも言ったろ?ここでの事は誰にもバレやしない。
オレたち2人だけしか知らない、秘密なんだって」

2人だけの、秘密…
桐生珪のその言葉に、胸の中が騒ぐ。

わたしを陥れたいなら、秘密なんかにしなくてもみんなに暴露すればいいのに!

なのに、2人だけの秘密…


「…あのさぁ。
何でオレが恋愛禁止令の解除をしきりに言ってたか、わかる?」


恋愛禁止令の解除を言ってた理由?
そんなの、コイツの私利私欲に決まってるじゃない!

生徒から票を取り、わたしから生徒会長の座を奪い、わたしに無理やり校則違反をさせた。
こんな独占欲の強い自分勝手な奴の考える事なんて…

「わたしが知るわけないじゃない!
バカじゃないのっ!」

わたしはそれだけ言うと、生徒会室を飛び出した。

1人立ち尽くす、桐生珪を残して。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

12年目の恋物語

真矢すみれ
恋愛
生まれつき心臓の悪い少女陽菜(はるな)と、12年間同じクラス、隣の家に住む幼なじみの男の子叶太(かなた)は学校公認カップルと呼ばれるほどに仲が良く、同じ時間を過ごしていた。 だけど、陽菜はある日、叶太が自分の身体に責任を感じて、ずっと一緒にいてくれるのだと知り、叶太から離れることを決意をする。 すれ違う想い。陽菜を好きな先輩の出現。二人を見守り、何とか想いが通じるようにと奔走する友人たち。 2人が結ばれるまでの物語。 第一部「12年目の恋物語」完結 第二部「13年目のやさしい願い」完結 第三部「14年目の永遠の誓い」←順次公開中 ※ベリーズカフェと小説家になろうにも公開しています。

背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)

MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。 しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。 ​母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。  その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。 ​純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。 交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在 唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話 中山加恋(20歳) 二十歳でトオルの妻になる 何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛 中山トオル(32歳) 17歳の加恋に一目ぼれ 加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する 加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる 会社では群を抜くほどの超エリートが、 愛してやまない加恋ちゃんに 振り回されたり落ち込まされたり… そんなイケメンエリートの ちょっと切なくて笑えるお話

処理中です...