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「千歳」
コンコンとドアをノックすると同時に、ママが部屋に入ってきた。
「夕ご飯出来たんだけど…あら?それは何のお勉強?」
「あ…これは生徒会で決まった新しい校則の案を文書化している途中で…」
デスクの上に広げた資料やらメモ書きを見て機嫌良く寄ってきたママに、わたしは説明する。
学校の勉強の方をしっかりしなきゃって怒られるかな……って、どうしてこんなにママの顔色ばかりうかがわなきゃならないのよ…。
「まぁ、生徒会長は校則まで立てる権利があるのねっ
千歳はどんな校則を考えたの?」
「うん、あのね…」
何だか知らないけど、ママは生徒会長というだけで機嫌が良い。
本当は副会長だという事言えないけど、機嫌良いんなら黙ってる方がいいわよね。
「教員をも左右させるなんて、凄いわ千歳!
さすがね、ママも鼻が高いわ」
「ママったら」
わたしだって…気を遣うの疲れちゃうんだから…。
__翌朝
「ママ、行ってきます」
「あら千歳、今日は早いのね」
「うん、生徒会の仕事やりたいから…」
いつもより早起きして支度を済ませると、わたしはそそくさと家を出た。
「はぁぁー…」
家に居ると息が詰まる。
まだ学校に行ってた方がマシ。
もちろん学校でも仮面少女は演じなくてはならないものの、あそこには唯一息抜きできる場所がある。
それは、生徒会室。
こんな朝早くなら、メンバーたちも来やしない。
誰もいない所に行きたいのもあるけど、例の仕事も終わらせなきゃならないもんね。
朝一に入る教室にはクラスメイトは誰もいない。
通学カバンを机の横にかけると、早速ファイルとカギを持って生徒会室に向かった。
カチャというカギの外れる音の後、ガラガラと生徒会室のドアを開けた。
シンと静まり返った誰もいない生徒会室。
唯一仮面を脱ぎ捨てて裸の自分でいられる場所。
わたしはいつもの場所に座ると、早速ファイルを開いて作業に取りかかった。
_『…好きなんだよ。
榊の事が』
耳の奥で蘇った桐生珪の言葉。
もうあれからずっと桐生珪の事ばかり思い出す。
ダメだ。生徒会室なんかに来たら、余計に思い出しちゃうかも…!
つい昨日この場所で告白され、4回目のキスをした。
誰にも知られていない2人だけの秘密。
握ったシャーペンが、書きかけのルーズリーフの上でずっと止まっている。
頭の中が桐生珪でいっぱいで、何にも集中出来ない。
わたし、どうしたらいいの?
どうしたら楽になれるの?
無理やり頭を空っぽにしながら、やるべき仕事を少しずつでも進めた。
学校と生徒が納得出来る授業のシステム…
最初にわたしが言った、勤勉に励みやすい環境の提供…
_『テスト週間になったら、一緒に勉強しよう』
バカバカ!
だから今は桐生珪の事を考えてる場合じゃ…っ
_ガラガラ…
「っ!!」
急に開けられた生徒会室のドア。
まさか、こんな朝から入ってくる人がいるなんてっ
そんな奴、いるとしたら桐生……
「おはよ、副会長。
朝早くからお疲れさんだね」
「…えっと、更科…先輩?」
この生徒会室に入ってきたのは、桐生珪ではなく書記の更科翼だった。
その軽率な感じが、未だにわたしは慣れない。
「あの、どう…したんですか?こんな朝早く」
メンバーが集まるにしても、普通は放課後だ。
わたしの場合はこの仕事をひとりで集中してやりたくて来ただけだけど。
…結局あんまり集中は出来てないんだけどさ。
「副会長が3階に上がってるとこ見えたから、ついて来ただけだよ」
1年の教室は1階で2年の教室は2階にある。
3年の教室はこの校舎の隣の建物にあるので、1年のわたしが朝から階段を上がれば、どこに向かうのかと思われても不思議はない。
「わたしが自分で出した案なのに、なんか手こずってしまって…。
今日中にはあげてしまう予定なので、もう少し待って下さいね」
そう言って、握ったシャーペンを再びルーズリーフに向けた。
「…1年A組の榊千歳と俺が、同じ執行部になれるなんてなぁ…。
夢にも思わなかったぜ」
わたしの着く机の側に立った更科。
「…なぁ副会長、俺と付き合わね?」
「…………………は…?」
コンコンとドアをノックすると同時に、ママが部屋に入ってきた。
「夕ご飯出来たんだけど…あら?それは何のお勉強?」
「あ…これは生徒会で決まった新しい校則の案を文書化している途中で…」
デスクの上に広げた資料やらメモ書きを見て機嫌良く寄ってきたママに、わたしは説明する。
学校の勉強の方をしっかりしなきゃって怒られるかな……って、どうしてこんなにママの顔色ばかりうかがわなきゃならないのよ…。
「まぁ、生徒会長は校則まで立てる権利があるのねっ
千歳はどんな校則を考えたの?」
「うん、あのね…」
何だか知らないけど、ママは生徒会長というだけで機嫌が良い。
本当は副会長だという事言えないけど、機嫌良いんなら黙ってる方がいいわよね。
「教員をも左右させるなんて、凄いわ千歳!
さすがね、ママも鼻が高いわ」
「ママったら」
わたしだって…気を遣うの疲れちゃうんだから…。
__翌朝
「ママ、行ってきます」
「あら千歳、今日は早いのね」
「うん、生徒会の仕事やりたいから…」
いつもより早起きして支度を済ませると、わたしはそそくさと家を出た。
「はぁぁー…」
家に居ると息が詰まる。
まだ学校に行ってた方がマシ。
もちろん学校でも仮面少女は演じなくてはならないものの、あそこには唯一息抜きできる場所がある。
それは、生徒会室。
こんな朝早くなら、メンバーたちも来やしない。
誰もいない所に行きたいのもあるけど、例の仕事も終わらせなきゃならないもんね。
朝一に入る教室にはクラスメイトは誰もいない。
通学カバンを机の横にかけると、早速ファイルとカギを持って生徒会室に向かった。
カチャというカギの外れる音の後、ガラガラと生徒会室のドアを開けた。
シンと静まり返った誰もいない生徒会室。
唯一仮面を脱ぎ捨てて裸の自分でいられる場所。
わたしはいつもの場所に座ると、早速ファイルを開いて作業に取りかかった。
_『…好きなんだよ。
榊の事が』
耳の奥で蘇った桐生珪の言葉。
もうあれからずっと桐生珪の事ばかり思い出す。
ダメだ。生徒会室なんかに来たら、余計に思い出しちゃうかも…!
つい昨日この場所で告白され、4回目のキスをした。
誰にも知られていない2人だけの秘密。
握ったシャーペンが、書きかけのルーズリーフの上でずっと止まっている。
頭の中が桐生珪でいっぱいで、何にも集中出来ない。
わたし、どうしたらいいの?
どうしたら楽になれるの?
無理やり頭を空っぽにしながら、やるべき仕事を少しずつでも進めた。
学校と生徒が納得出来る授業のシステム…
最初にわたしが言った、勤勉に励みやすい環境の提供…
_『テスト週間になったら、一緒に勉強しよう』
バカバカ!
だから今は桐生珪の事を考えてる場合じゃ…っ
_ガラガラ…
「っ!!」
急に開けられた生徒会室のドア。
まさか、こんな朝から入ってくる人がいるなんてっ
そんな奴、いるとしたら桐生……
「おはよ、副会長。
朝早くからお疲れさんだね」
「…えっと、更科…先輩?」
この生徒会室に入ってきたのは、桐生珪ではなく書記の更科翼だった。
その軽率な感じが、未だにわたしは慣れない。
「あの、どう…したんですか?こんな朝早く」
メンバーが集まるにしても、普通は放課後だ。
わたしの場合はこの仕事をひとりで集中してやりたくて来ただけだけど。
…結局あんまり集中は出来てないんだけどさ。
「副会長が3階に上がってるとこ見えたから、ついて来ただけだよ」
1年の教室は1階で2年の教室は2階にある。
3年の教室はこの校舎の隣の建物にあるので、1年のわたしが朝から階段を上がれば、どこに向かうのかと思われても不思議はない。
「わたしが自分で出した案なのに、なんか手こずってしまって…。
今日中にはあげてしまう予定なので、もう少し待って下さいね」
そう言って、握ったシャーペンを再びルーズリーフに向けた。
「…1年A組の榊千歳と俺が、同じ執行部になれるなんてなぁ…。
夢にも思わなかったぜ」
わたしの着く机の側に立った更科。
「…なぁ副会長、俺と付き合わね?」
「…………………は…?」
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