秘密の生徒会室 君とふたりきり

むらさ樹

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「…だよね。
ま、副会長がその気になってくれてたんなら、話は早いや」

そう言った更科はまたわたしに抱きついてきた。
それから手をわたしの身体に伸ばし、触ってくる。

「ゃだ!何するんですか…っ」

「好きならいいじゃんよ。
て言うか、結構いい匂いしてんね、副会長」

気持ち悪っ!
更科の奴、大人しくしてると思って好き勝手な事言ってくれちゃって!

だけど、抵抗できない。
否定したら、わたしと桐生珪に恋愛行為があった事がバレちゃうものっ


「待って!更科先輩!
今はダメだからっ
わたしの提案書を職員室に持って行った生徒会長が、すぐここに戻って来るんです!」

「…マジで?」

しぶしぶ手を離した更科は生徒会室のドアの方に行き、外の様子を見ようと開けた。

「わっ、更科先輩?」

「おっと…」

言った通り、ドアを開けたと同時に桐生珪は戻ってきたみたいだった。

あぁ、しまった。
今の現場を見られてた方が、更科を校則違反に陥れる事が出来てたかもしれないのに。

「生徒会長、今日は何かする事あるわけ?」

「あぁ。とりあえずこっちの仕事は済んだ事だし、そろそろ文化祭の企画立てないといけないな。
と言っても、去年と同じ感じだからな」

職員室から戻ってきた桐生珪は、更科にそう返しながらわたしの隣の席に着いた。

「先生には出しておいたよ、榊さん」

例の提案書の事だ。
じゃあ私の役目も終わったんだ。これで今日を以て生徒会のメンバーからは外れよう。
そうすればここには居られなくなるから、更科にも断りを入れる理由になるし…。

「あの、わたし…」

「遅くなりましたー。
今日はどうしますか?」

残りのメンバー、伊集院先輩と相良君が生徒会室に集まってきた。

みんな揃ったんなら、ちょうどいいよね。
挨拶して、今日で終わりにしよう。

「お疲れさん。
じゃあ今日からは、文化祭の企画を立てようか」

「はーい。
文化祭なら会計の仕事、忙しそうねぇ」

「僕も出来る事は手伝いますから、何でも言って下さいね」

「なぁ、今年は何か燃えるような催しやらねぇか?」

メンバーたちみんな自分の定位置である机に着くと、早速和気あいあいと話し始めた。

文化祭の話に入る前に、挨拶しときたかったんだけどな。あー…今更話しづらい…。

「……」

だけどそれでわたしが副会長辞めたら、次に票が多かった伊集院先輩が副会長になるのかな。
それとも、また選挙をやり直すとか…
って、そんなわけないよね。
多分伊集院先輩が、今後は桐生珪の右腕になって……

…みんなが文化祭の話に熱が入ってる間、そんな事を考えていてなんかちょっと嫌な気分になった。

わたしのポジションだったのが、誰かに奪われたみたい。

「じゃあ例年通りクラスごとに1つずつ出し物を決めてもらって、それから予算を立てようか。
各クラスで話し合ってもらうように、クラスを受け持つ先生にお願いしとこう」

「本格的な話し合いはそれからですね。
今日は前年の広報をよく読んでおきます」

「そうそう、広報は書記の2人が中心に宜しく頼むよ」


各々仕事を見つけると、みなそれぞれに取りかかる為の準備を確認した。

「じゃ、とりあえず今日は帰って資料読んでおきます」

「また明日、集まって話そう。
いきなり大変だけど、頑張ろう!」

ようやくみんな集まったのに、メンバーたちは資料を持って部屋から出て行った。

「あ…」

挨拶…出来なかったなぁ。
また明日来て言わなきゃいけないじゃないの…。

そうしてみんなが生徒会室から出て行く際、更科は一旦わたしの側に来た。
身をかがめてわたしの耳元に近付くと、誰にも聞こえないような声でそっと囁いた。

「…また時間見つけて、続きしような…
じゃ、お先ーっス!」

ポンとわたしの肩に手を置くと、そう言って更科は生徒会室から出て行った。

耳元の囁き声が悪寒となって走り、背中の方からゾクゾクとする。

つ、続きだなんてっ冗談じゃないってのよ!!
ま、どうせわたしがここに居られるのも、今日か明日までだもんねっ

校則が恋愛禁止になっていて、この時ばっかりは良かったかもしれないな…。

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