35 / 52
⑥
しおりを挟む
「…ん…ぁ…桐生く…っ」
長い長い乱暴なキスから解放されると、わたしは乱れた呼吸を整える為に肩で息をした。
胸もドキドキバクバク高鳴って、身体全体が熱くて苦しい。
「…嫌なら嫌って、何で抵抗しないんだよ!」
「…桐生…君…?」
息を乱すわたしに、桐生珪は真剣な顔付きで言った。
でも桐生珪の乱暴なキスにビックリはしたけど、嫌悪感は感じなかったよ。
「別に、嫌だったわけじゃ…」
ただ、こんな事したって…っ
「じゃあ言えばいいだろ?
オレは榊が好きなんだって!
榊はオレの事どう思ってんだよっ!」
「それは…」
言ってどうなるの?
この学校は恋愛禁止。この秘密の生徒会室にすら居られなくなったわたしに、今更そんな事を言ってどうなるって言うのよ!
そんなの、ただ苦しくなるだけじゃない!
だったらいっそ…
「榊っ!」
肩を掴まれ、強引に身体を揺さぶられる。
わたしと桐生珪の視線が繋がり、離せない。
「…わたし……」
はらはらと頬を伝って涙がこぼれ落ちる。
それに伴って目の前の桐生珪の姿が歪んで見えた。
「わたしも……桐生君が……………好き……」
ようやく口から出たわたしの本音。
言った直後にギュッと抱き寄せられた身体。
「やっと、聞けた。…榊の気持ち」
そう言った桐生珪は、今度は優しい優しいキスをしてくれた。
想いを口にして初めて気付く。
わたしと桐生珪は心が繋がったんだって。
でも、いつの間に桐生珪を好きになってたのかは自分でもわからない。
気が付いたらいつも頭の中にいて、いつも声が聞こえていた。
なのにそれが何て感情なのかわからなくて、ずっとイライラしてたんだ。
「榊…」
「…何?」
「執行部、本当に辞めるのか?」
「うん…しょうがないわよ。
ママは生徒会長じゃないと意味ないって思ってるんだもん」
わたしにいきいきした高校生活を送ってほしいわけじゃなく、単に名誉の為だけだもんね。
2票差だろうと100票差だろうと関係ない。
トップでいる事に意味があるの。
「だからここに居られるのも、これで最後。
アンタとこうしていられるのも、これで…」
いくらやっと想いを口にしても、行き着く先の現実はこうなんだ。
「も…帰ろ。
日が暮れるの早いんだから、暗くなっちゃうよ」
ここから出てしまえば、わたしたちは校則に従って一切の恋愛を許されなくなる。
どんなに気持ちは通じあっていても、規則には逆らえないんだ。
「…榊」
「ん?」
「オレ思ったんだけどさ。
この先、もし榊がここに来れなくなるんだったら…」
ドキッとした。
来れなくなるんだったら、わたしたちの関係もこれで終わりにしようって事?
そりゃそうよね。
そうするしかないんだもん。
だったら、こんな想い口にしなきゃ良かった…!
「待って!桐生君。…ごめん、わかってるから。
でも、今は聞きたくないの。
さ、帰ろ」
どうせそうなる運命なら、せめてまだ副会長でいる今のうちに浸っていたい。…彼氏彼女の関係でいる事を。
ふたり一緒に生徒会室を出てカギを閉めた。
「わたし、先生に副会長辞めさせてもらうように言ってくるから。
先に行って」
「あぁ。
オレ荷物持って昇降口で待ってるよ」
「え、でも…」
男子と女子が一緒に帰るとか、うちの学校じゃあ…
「同じ通学路だろ。
た ま た ま 一緒になってるだけ、だから」
「……あはっ、たまたまね。
わかった、偶然一緒って事ね」
手を振ると、わたしは職員室へ。
桐生君は教室に荷物を取りに階段を下りた。
生徒会室から廊下をまっすぐ行くと、左手側に職員室がある。
放課後からだいぶ時間も経って、廊下には生徒は誰もいない。
わたしは職員室のドアの前まで行くと、ソワソワする胸を押さえ自身を落ち着けようとした。
深呼吸1つして、ドアに手をかける。
先生に言えば、副会長も今日でおしまいに…
「…副会長」
誰もいないと思っていた廊下で、誰かがわたしを呼んだ。
わたしはドアにかけた手を離し、声がした方へと振り向いた。
そこには…
「更科…先輩…?」
一旦メンバー全員で生徒会室に集まった後、他の2人と一緒に下校したものだと思っていた更科がまだ学校に残っていたみたいだ。しかも、何だか気味の悪い笑みを浮かべてわたしを見ている。
「…まさか相手が生徒会長だったとはねぇ」
全身にゾクゾクっと悪寒が走った。
まさか
まさか…!
「あの、…なんの話…?」
「とぼけたって無駄だよ。
ドア越しにみんな聞いてたからね」
「………………っ」
「生徒会長と副会長が生徒会室で仲良くイチャッてたなんてバレたら…どうなるんだろうね?」
とうとう誰にも知られていないと思っていたわたしと桐生君の関係が…よりによって更科に知られてしまったんだ…!
長い長い乱暴なキスから解放されると、わたしは乱れた呼吸を整える為に肩で息をした。
胸もドキドキバクバク高鳴って、身体全体が熱くて苦しい。
「…嫌なら嫌って、何で抵抗しないんだよ!」
「…桐生…君…?」
息を乱すわたしに、桐生珪は真剣な顔付きで言った。
でも桐生珪の乱暴なキスにビックリはしたけど、嫌悪感は感じなかったよ。
「別に、嫌だったわけじゃ…」
ただ、こんな事したって…っ
「じゃあ言えばいいだろ?
オレは榊が好きなんだって!
榊はオレの事どう思ってんだよっ!」
「それは…」
言ってどうなるの?
この学校は恋愛禁止。この秘密の生徒会室にすら居られなくなったわたしに、今更そんな事を言ってどうなるって言うのよ!
そんなの、ただ苦しくなるだけじゃない!
だったらいっそ…
「榊っ!」
肩を掴まれ、強引に身体を揺さぶられる。
わたしと桐生珪の視線が繋がり、離せない。
「…わたし……」
はらはらと頬を伝って涙がこぼれ落ちる。
それに伴って目の前の桐生珪の姿が歪んで見えた。
「わたしも……桐生君が……………好き……」
ようやく口から出たわたしの本音。
言った直後にギュッと抱き寄せられた身体。
「やっと、聞けた。…榊の気持ち」
そう言った桐生珪は、今度は優しい優しいキスをしてくれた。
想いを口にして初めて気付く。
わたしと桐生珪は心が繋がったんだって。
でも、いつの間に桐生珪を好きになってたのかは自分でもわからない。
気が付いたらいつも頭の中にいて、いつも声が聞こえていた。
なのにそれが何て感情なのかわからなくて、ずっとイライラしてたんだ。
「榊…」
「…何?」
「執行部、本当に辞めるのか?」
「うん…しょうがないわよ。
ママは生徒会長じゃないと意味ないって思ってるんだもん」
わたしにいきいきした高校生活を送ってほしいわけじゃなく、単に名誉の為だけだもんね。
2票差だろうと100票差だろうと関係ない。
トップでいる事に意味があるの。
「だからここに居られるのも、これで最後。
アンタとこうしていられるのも、これで…」
いくらやっと想いを口にしても、行き着く先の現実はこうなんだ。
「も…帰ろ。
日が暮れるの早いんだから、暗くなっちゃうよ」
ここから出てしまえば、わたしたちは校則に従って一切の恋愛を許されなくなる。
どんなに気持ちは通じあっていても、規則には逆らえないんだ。
「…榊」
「ん?」
「オレ思ったんだけどさ。
この先、もし榊がここに来れなくなるんだったら…」
ドキッとした。
来れなくなるんだったら、わたしたちの関係もこれで終わりにしようって事?
そりゃそうよね。
そうするしかないんだもん。
だったら、こんな想い口にしなきゃ良かった…!
「待って!桐生君。…ごめん、わかってるから。
でも、今は聞きたくないの。
さ、帰ろ」
どうせそうなる運命なら、せめてまだ副会長でいる今のうちに浸っていたい。…彼氏彼女の関係でいる事を。
ふたり一緒に生徒会室を出てカギを閉めた。
「わたし、先生に副会長辞めさせてもらうように言ってくるから。
先に行って」
「あぁ。
オレ荷物持って昇降口で待ってるよ」
「え、でも…」
男子と女子が一緒に帰るとか、うちの学校じゃあ…
「同じ通学路だろ。
た ま た ま 一緒になってるだけ、だから」
「……あはっ、たまたまね。
わかった、偶然一緒って事ね」
手を振ると、わたしは職員室へ。
桐生君は教室に荷物を取りに階段を下りた。
生徒会室から廊下をまっすぐ行くと、左手側に職員室がある。
放課後からだいぶ時間も経って、廊下には生徒は誰もいない。
わたしは職員室のドアの前まで行くと、ソワソワする胸を押さえ自身を落ち着けようとした。
深呼吸1つして、ドアに手をかける。
先生に言えば、副会長も今日でおしまいに…
「…副会長」
誰もいないと思っていた廊下で、誰かがわたしを呼んだ。
わたしはドアにかけた手を離し、声がした方へと振り向いた。
そこには…
「更科…先輩…?」
一旦メンバー全員で生徒会室に集まった後、他の2人と一緒に下校したものだと思っていた更科がまだ学校に残っていたみたいだ。しかも、何だか気味の悪い笑みを浮かべてわたしを見ている。
「…まさか相手が生徒会長だったとはねぇ」
全身にゾクゾクっと悪寒が走った。
まさか
まさか…!
「あの、…なんの話…?」
「とぼけたって無駄だよ。
ドア越しにみんな聞いてたからね」
「………………っ」
「生徒会長と副会長が生徒会室で仲良くイチャッてたなんてバレたら…どうなるんだろうね?」
とうとう誰にも知られていないと思っていたわたしと桐生君の関係が…よりによって更科に知られてしまったんだ…!
0
あなたにおすすめの小説
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
12年目の恋物語
真矢すみれ
恋愛
生まれつき心臓の悪い少女陽菜(はるな)と、12年間同じクラス、隣の家に住む幼なじみの男の子叶太(かなた)は学校公認カップルと呼ばれるほどに仲が良く、同じ時間を過ごしていた。
だけど、陽菜はある日、叶太が自分の身体に責任を感じて、ずっと一緒にいてくれるのだと知り、叶太から離れることを決意をする。
すれ違う想い。陽菜を好きな先輩の出現。二人を見守り、何とか想いが通じるようにと奔走する友人たち。
2人が結ばれるまでの物語。
第一部「12年目の恋物語」完結
第二部「13年目のやさしい願い」完結
第三部「14年目の永遠の誓い」←順次公開中
※ベリーズカフェと小説家になろうにも公開しています。
クラスで3番目に可愛い無口なあの子が実は手話で話しているのを俺だけが知っている
夏見ナイ
恋愛
俺のクラスにいる月宮雫は、誰も寄せ付けないクールな美少女。そのミステリアスな雰囲気から『クラスで3番目に可愛い子』と呼ばれているが、いつも一人で、誰とも話さない。
ある放課後、俺は彼女が指先で言葉を紡ぐ――手話で話している姿を目撃してしまう。好奇心から手話を覚えた俺が、勇気を出して話しかけた瞬間、二人だけの秘密の世界が始まった。
無口でクール? とんでもない。本当の彼女は、よく笑い、よく拗ねる、最高に可愛いおしゃべりな女の子だったのだ。
クールな君の本当の姿と甘える仕草は、俺だけが知っている。これは、世界一甘くて尊い、静かな恋の物語。
背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)
MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。
しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。
母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。
その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。
純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。
交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる