タイムスリップ チョコレート

むらさ樹

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厶チ

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投げ損ねたのは、ビックリしたからなだけじゃない。

チョコを持つあたしの手をギュッと掴まれて、柵から引き離されるように引っ張られたのだ。



「あぶないじゃないか!
この河は見た目より、ずっと流れが早いんだぞっ」



「は……………?」



もしかしなくても、どうやら身を投げようと勘違いしたらしいのは、スーツを身にまとった30歳くらいのオジサンだった。


こんな時間だし、きっと仕事上がりの会社員か何かだとは思うけど。

見た目はスゴくあたし好みでかっこいいし、どことなく先輩に似てる気がする。



「…って!
オジサンこそ、いつからそこにいたの!?」



「おいおい。初対面でいきなりオジサンはないだろう」



「だって、オジサンはオジサンでしょ!」



そう返しているうちにお互い向き合って見ると、オジサンはやっぱりあたし好みでかっこいいけど、オジサンには違いなかった。


だって女子高生のあたしからすれば、オジサンはオジサンだもんね!




「…ま、いいよ。俺もどうせ来年には30だしな」



「わ、オジサンって29歳なんだ!
でも、急に手を引っ張るんだもん。ビックリしちゃったよぉっ」



なんて言いながらあらため見ると、オジサンはやっぱり顔は整ってるし、どちらかと言わなくてもイケメンかも。


って!
あたしってば、またオジサンって言っちゃった!



だけどあたしのオジサン発言に対しては、もうそんなに気にしてはいないみたいだった。



「いやいや、俺の方がビックリしたよ。
まだ若いのに身投げなんて、一体どうしたんだい?」



「もぉ、オジサンったらーっ!
あたし身投げなんて、そこまで考えてませんからぁ!!」

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