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毎日の溜まったストレスを解消する為、身体を張って稼いだお金を巡り巡って最終的に流れ着くホストクラブへと持って行く。
時には商売道具である自分の身体をエステで磨いたり、キレいで華やかな雰囲気を出す為に高くて良いドレスを買ったりする__。
__土曜日の昼。
休みを取ってるあたしは夜の“club-shion”の為に、新しい服を着て行こうかと買い物に出た。買い物が済んだら、のんびりエステにも通う。
仕事の為だけじゃない、自分の為にも少しでもキレイになるのよ。
開店記念なら、昔から紫苑を知る古い常連客も来るだろう。そんな女たちに、安く見られるわけにもいかないものね。
あたしだって、“club-shion”の常連客なんだから!
__夜の8時になる頃、あたしは昼間に買った新しい服を着て“club-shion”に来た。
「いらっしゃいませー!」
「いらっしゃいませ!
今夜は“club-shion”の3周年記念。
どうぞゆっくり楽しんで下さい!!」
ウエルカムホストたちは、スーツに赤いバラを胸に挿してあたしを中に誘導した。
中は立食パーティーのように、テーブルにフルーツやオードブルが並んでいた。
「今日は飲み物以外は、サービスになってるんだ」
そうあたしに教えてくれたのは、他のホストと同じく赤いバラを胸に挿した煌だった。
「今夜は特別みたいだよ。
イベントはおれも初めてだから緊張してんだけど、一緒についててもいい?」
「煌…!
うん、一緒に飲もっか」
紫苑は既にあちこち席を移動し、お客にあいさつして回っている。
オーナーだもの、忙しいわよね。
さすが開店記念だけあって、あたしがお店に来てから既に2回はタワーやらドンペリコールが行われた。
相変わらずのビールを注文しては、あたしは煌と一緒にその様子を見ている。
「煌もそろそろ、ドンペリデビューしたいでしょ」
「デビューって!
あー…まぁ、こうやって見てるとね…」
「いくらするの?」
「一番下ランクの白で、5万かな…」
「うん、わかった」
「えっ」
あたしは早速、煌の為にそのドンペリの白を注文してあげた。
まさか入店して2ヵ月にも満たない新人にドンペリの注文があるとは思わなかったのだろうか。注文を受けたヘルプのホストも、ちょっと目を丸くしていた。
「ありがとうございまーす!
新人煌に白ドン入りましたー!!」
さすがに何十万もするお酒ではなかったので、ドンペリコールも簡単なマイクパフォーマンスだけだったけど。
「すげー!
やったな、煌!」
「大出世じゃんよ!
って、まだまだ最初の一歩だけどな!」
他のヘルプや先輩ホストたちにまで肩を叩かれながら、煌は運ばれてきた初めてのドンペリを豪快に飲んだ。
「今日はおれの新しいスタートの日だ!
ありがとう、愛さん!」
何人かのホストに拍手を受けながら、煌の顔はキラキラ輝いていた。
そうやって、トップへ向かって行くんだね。
頑張れ、煌!
「おめでとう、煌」
そんな中、あちこちあいさつに回っていた紫苑がいよいよあたしの席にも回ってきた。
「紫苑さん!」
「愛さんも、今日は来てくれてありがとう。
煌の事、気に入ってくれてるみたいで僕も嬉しいよ」
「うん…紫苑…」
やれNGワードを連発したり、やれ出張が何なのかわからなくてお客を呆れさせたり。煌には、随分新人教育としての指導をしたんじゃないかと思う。
そんな煌の成果が目に見えれば、オーナーである紫苑もさぞ気分が良いかもしれないな。
「僕にも、何か戴いていいかな?」
「もちろんよ」
あたしは煌よりも1つランクの高いドンペリのピンク、ピンドンを紫苑に注文した。
5万円の白に対して、ピンクは12万。
「ありがとう!」
…これが、ホストクラブの遊び方。
無駄にお金をかけてるようだけどね。
でも遊びは、どこまでも粋でなくちゃ…!
時には商売道具である自分の身体をエステで磨いたり、キレいで華やかな雰囲気を出す為に高くて良いドレスを買ったりする__。
__土曜日の昼。
休みを取ってるあたしは夜の“club-shion”の為に、新しい服を着て行こうかと買い物に出た。買い物が済んだら、のんびりエステにも通う。
仕事の為だけじゃない、自分の為にも少しでもキレイになるのよ。
開店記念なら、昔から紫苑を知る古い常連客も来るだろう。そんな女たちに、安く見られるわけにもいかないものね。
あたしだって、“club-shion”の常連客なんだから!
__夜の8時になる頃、あたしは昼間に買った新しい服を着て“club-shion”に来た。
「いらっしゃいませー!」
「いらっしゃいませ!
今夜は“club-shion”の3周年記念。
どうぞゆっくり楽しんで下さい!!」
ウエルカムホストたちは、スーツに赤いバラを胸に挿してあたしを中に誘導した。
中は立食パーティーのように、テーブルにフルーツやオードブルが並んでいた。
「今日は飲み物以外は、サービスになってるんだ」
そうあたしに教えてくれたのは、他のホストと同じく赤いバラを胸に挿した煌だった。
「今夜は特別みたいだよ。
イベントはおれも初めてだから緊張してんだけど、一緒についててもいい?」
「煌…!
うん、一緒に飲もっか」
紫苑は既にあちこち席を移動し、お客にあいさつして回っている。
オーナーだもの、忙しいわよね。
さすが開店記念だけあって、あたしがお店に来てから既に2回はタワーやらドンペリコールが行われた。
相変わらずのビールを注文しては、あたしは煌と一緒にその様子を見ている。
「煌もそろそろ、ドンペリデビューしたいでしょ」
「デビューって!
あー…まぁ、こうやって見てるとね…」
「いくらするの?」
「一番下ランクの白で、5万かな…」
「うん、わかった」
「えっ」
あたしは早速、煌の為にそのドンペリの白を注文してあげた。
まさか入店して2ヵ月にも満たない新人にドンペリの注文があるとは思わなかったのだろうか。注文を受けたヘルプのホストも、ちょっと目を丸くしていた。
「ありがとうございまーす!
新人煌に白ドン入りましたー!!」
さすがに何十万もするお酒ではなかったので、ドンペリコールも簡単なマイクパフォーマンスだけだったけど。
「すげー!
やったな、煌!」
「大出世じゃんよ!
って、まだまだ最初の一歩だけどな!」
他のヘルプや先輩ホストたちにまで肩を叩かれながら、煌は運ばれてきた初めてのドンペリを豪快に飲んだ。
「今日はおれの新しいスタートの日だ!
ありがとう、愛さん!」
何人かのホストに拍手を受けながら、煌の顔はキラキラ輝いていた。
そうやって、トップへ向かって行くんだね。
頑張れ、煌!
「おめでとう、煌」
そんな中、あちこちあいさつに回っていた紫苑がいよいよあたしの席にも回ってきた。
「紫苑さん!」
「愛さんも、今日は来てくれてありがとう。
煌の事、気に入ってくれてるみたいで僕も嬉しいよ」
「うん…紫苑…」
やれNGワードを連発したり、やれ出張が何なのかわからなくてお客を呆れさせたり。煌には、随分新人教育としての指導をしたんじゃないかと思う。
そんな煌の成果が目に見えれば、オーナーである紫苑もさぞ気分が良いかもしれないな。
「僕にも、何か戴いていいかな?」
「もちろんよ」
あたしは煌よりも1つランクの高いドンペリのピンク、ピンドンを紫苑に注文した。
5万円の白に対して、ピンクは12万。
「ありがとう!」
…これが、ホストクラブの遊び方。
無駄にお金をかけてるようだけどね。
でも遊びは、どこまでも粋でなくちゃ…!
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