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「ねぇ紫苑。いい機会じゃない?
ようやく3周年になった所で、あたしたちもそろそろ結婚してもいいと思うの」
紫苑!?
ちょっ、結婚って!!
一体誰が紫苑とそんな話をしているのか顔を覗かせたい衝動をグッとこらえ、あたしトイレの陰からそっと耳を傾けていた。
「…ありがとう。
君のお陰で、無事に3周年を迎える事ができたよ」
「えぇ、紫苑の為ですもの。
いいえ、あたしたち2人の為かしらね」
ただの常連客にしては、ものすごい大胆で自信過剰な発言。
もしやこの女、相当紫苑にお金をつぎ込んだ、超がつく程の太客エースって奴なのかしら。
だとしても、紫苑に結婚だなんて。
ただのお客じゃなくて、この女は紫苑の恋人なの?
え、紫苑には恋人がいたって事?
「あたしのサインは済んでるの。
後は紫苑がサインしてくれたら、役所にはあたしが出してあげるから。
はい、ここに書いて?」
そう言った女の声の後に、ガサガサと紙を広げる音が聞こえた。
婚姻届!?
えっ、こんな所で書かせる気?
て言うか、この女ちょっと普通じゃなくない?
紫苑、本当に今ここでサインしちゃうの?
「…気持ちは、とても嬉しいよ。
僕も早く落ち着けばいいと思ってる」
「でしょ?
だったらほら、早くっ」
「でもね、僕の“shion”はまだまだ3周年だ。
もっとこれから、更にビッグにしていきたいんだよ」
「わかってるわよ。
結婚したって紫苑は仕事続けてもいいし、あたしも飲みに行くもの。
何も変わりはしないわ」
「…ううん。きっと、変わってしまう。
僕は、まだまだ小さな“shion”を、もっとビッグにしたいんだ。
だから…」
カサカサと、広げられた紙を畳む音が聞こえた。
「これは僕のお守りにしたい。
もっともっと“shion”が大きくなるように。
この婚姻届がきっとそのご利益になるって、僕は信じてる。
だから、僕に預からせてほしいんだ」
「紫苑!またそんな事言って。
もう十分“club-shion”は成長してるわよ!」
そう言って、女はちょっぴり機嫌を損ねたのがわかる。
これはきっと、今までに何回か紫苑に求婚しては、うまく逃げられてきたんだわ。
彼女は紫苑の恋人なんかじゃない。
しつこく追っかけまわしてる、半分ストーカーみたいな自意識過剰女なんだ。
「違うよ。“shion”は必ずもっと大きくなる。
その時の姿を一緒に見たいから、それまで僕を待っててくれるかな?」
「しお……んっ」
途端、女の言葉が詰まった。
と同時に、荒い息遣いや舌と唇の擦れる音が聞こえてくる。
「…ん…ん ぁ…っ
もぉ、紫苑ったらズルい…っ」
「続きは夜って約束だったね。
早くその色っぽい顔治してくれないと、ここで抱いちゃうよ?」
「…あ あたし先に行ってるから!
終わったら早く来てよね!」
カツカツとヒールの音が遠退いていった。
紫苑、上手く丸め込んだんだ!
女が去って行った後、「はぁ…」と言うため息が聞こえた。
ドキン ドキン…
あたし…聞いちゃいけない事を聞いちゃったんだ。
複雑な気持ちのまま動けないでいると、ずっとそこにいるあたしに紫苑が気付いた。
「っ!!
………ずっとそこに居たのかい?」
「ぁ………」
あぁ、しまった。
トイレの奥にでも隠れていたらよかった。ここにいたら、さっきの会話を聞いていた事がバレちゃう……っ
「…ははっ、おかしいだろ?
おんなじ言葉、もう何人の女性に言った事か」
「……………!」
仕事としてじゃない。
紫苑は今、本音を言葉にして出したんだ。
ようやく3周年になった所で、あたしたちもそろそろ結婚してもいいと思うの」
紫苑!?
ちょっ、結婚って!!
一体誰が紫苑とそんな話をしているのか顔を覗かせたい衝動をグッとこらえ、あたしトイレの陰からそっと耳を傾けていた。
「…ありがとう。
君のお陰で、無事に3周年を迎える事ができたよ」
「えぇ、紫苑の為ですもの。
いいえ、あたしたち2人の為かしらね」
ただの常連客にしては、ものすごい大胆で自信過剰な発言。
もしやこの女、相当紫苑にお金をつぎ込んだ、超がつく程の太客エースって奴なのかしら。
だとしても、紫苑に結婚だなんて。
ただのお客じゃなくて、この女は紫苑の恋人なの?
え、紫苑には恋人がいたって事?
「あたしのサインは済んでるの。
後は紫苑がサインしてくれたら、役所にはあたしが出してあげるから。
はい、ここに書いて?」
そう言った女の声の後に、ガサガサと紙を広げる音が聞こえた。
婚姻届!?
えっ、こんな所で書かせる気?
て言うか、この女ちょっと普通じゃなくない?
紫苑、本当に今ここでサインしちゃうの?
「…気持ちは、とても嬉しいよ。
僕も早く落ち着けばいいと思ってる」
「でしょ?
だったらほら、早くっ」
「でもね、僕の“shion”はまだまだ3周年だ。
もっとこれから、更にビッグにしていきたいんだよ」
「わかってるわよ。
結婚したって紫苑は仕事続けてもいいし、あたしも飲みに行くもの。
何も変わりはしないわ」
「…ううん。きっと、変わってしまう。
僕は、まだまだ小さな“shion”を、もっとビッグにしたいんだ。
だから…」
カサカサと、広げられた紙を畳む音が聞こえた。
「これは僕のお守りにしたい。
もっともっと“shion”が大きくなるように。
この婚姻届がきっとそのご利益になるって、僕は信じてる。
だから、僕に預からせてほしいんだ」
「紫苑!またそんな事言って。
もう十分“club-shion”は成長してるわよ!」
そう言って、女はちょっぴり機嫌を損ねたのがわかる。
これはきっと、今までに何回か紫苑に求婚しては、うまく逃げられてきたんだわ。
彼女は紫苑の恋人なんかじゃない。
しつこく追っかけまわしてる、半分ストーカーみたいな自意識過剰女なんだ。
「違うよ。“shion”は必ずもっと大きくなる。
その時の姿を一緒に見たいから、それまで僕を待っててくれるかな?」
「しお……んっ」
途端、女の言葉が詰まった。
と同時に、荒い息遣いや舌と唇の擦れる音が聞こえてくる。
「…ん…ん ぁ…っ
もぉ、紫苑ったらズルい…っ」
「続きは夜って約束だったね。
早くその色っぽい顔治してくれないと、ここで抱いちゃうよ?」
「…あ あたし先に行ってるから!
終わったら早く来てよね!」
カツカツとヒールの音が遠退いていった。
紫苑、上手く丸め込んだんだ!
女が去って行った後、「はぁ…」と言うため息が聞こえた。
ドキン ドキン…
あたし…聞いちゃいけない事を聞いちゃったんだ。
複雑な気持ちのまま動けないでいると、ずっとそこにいるあたしに紫苑が気付いた。
「っ!!
………ずっとそこに居たのかい?」
「ぁ………」
あぁ、しまった。
トイレの奥にでも隠れていたらよかった。ここにいたら、さっきの会話を聞いていた事がバレちゃう……っ
「…ははっ、おかしいだろ?
おんなじ言葉、もう何人の女性に言った事か」
「……………!」
仕事としてじゃない。
紫苑は今、本音を言葉にして出したんだ。
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