ひな*恋 〜童顔ひな子の年の差恋愛(ノベル版)

むらさ樹

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陽が長い夏場は、早いうちから主婦たちでごった返す、惣菜屋さん。


だけどそんなピークも過ぎて閉店間際のラスト1時間になると、会社帰りのリーマンたちは必ず同じくらいの時間に足を運ぶの。


だってどんなに陽は長くても、会社の勤務時間は変わらないもんね。




「ありがとうございます。お気を付けてお帰り下さいねっ」



今日は珍しくメイクアップした私なんですよ!

…と意気込んでレジをやっていても、お客さんの反応は特別変わった様子もなしっ


別に褒めてほしいとか、そんな事は期待しちゃいないんだけどね。


だけど化粧なんて結局してもしなくても変わらないんだったら、面倒な分しない方が楽かもしれないなぁ。



…なんて!
いつまでもそんな事ばっか言ってたら、どんどん女子力下がっちゃうよねっ


そしてオトナな女になれないまま、きっとオヤヂ化しちゃったりして…





「こんばんは」

「ゎあっ!
す、すみませんっ
いらっしゃいませ、こんばんはっ」



なんてバカな事を考えてたら、目の前に来たお客さんに気付かずにボーっとしていた。


いけない いけないっ
今は仕事中だよっ!


「…って、あっ」



急いで営業スマイルをしながら顔を上げてお客さんを見たら、同じ常連さんでもいつもマニュアル接客で見送っているような人じゃなかった。



「お久し振りです。
あれからも、帰りは大丈夫ですか?」


「あ はい、大丈夫です!
あの時は、本当にありがとうございました!!」


「良かった。
ずっと毎日心配だったんですよ」



そう言ってホッとため息をついたこのお客さんは、以前仕事が終わって1人で帰っている時、例のナンパしてくるおっさんから私を守ってくれたスーツ姿の会社員風の男性だ。



ずっと毎日うちの惣菜を買いに来てくれてたのが、会社の関係でうちの営業時間に間に合わず、しばらくご無沙汰だったんだけどね。



「今日はお仕事、早く終わったんですか?」


「えぇ、ようやく一段落ついたので、先日からまたこちらに通わせてもらってます。
お世話になります」


「わぁ、ありがとうございまーす!」




そうまでしてうちで買ってくれるって、常連さんってありがたいよね。

だからこそ、お客さんの期待には応えたいって思うんだよ。




「では、お会計…………あれ?」



早速、お客さんがカウンターに持ってきた惣菜のバーコードを通そうとしたんだけれど。


このお客さんは、確かいつも5~6種類くらいは買ってくれる人だった筈だ。


小山さんが予想するように、台所に立てないような親と同居しているのか、奥さんと離婚してるのか。

それは知らないけれど、少なくとも最近まで代わりにお使いに来ていたらしい子どもさんがいるくらいだから、それなりに食べる量はいるんだろうと思っていた。


だけど今このお客さんがカウンターに持ってきたのは、何故かたった1つだけ。


しかもこれは今日久保店長が考案した、から揚げ肉で作った鶏カツ、タルタルソース付きだ。



「…食べたいものが、もうあんまり残ってなかったですか?」



チラリ

そっと陳列棚の方を見てみたけれど、そんなにガラガラな程でもないようには見える。



「あー…いえ。
今日はちょっと、これだけで」


「そうですか。
では、お会計失礼しまーす」



まさか、家族の誰からも見捨てられ、とうとうこのお客さんも1人きりになっちゃったとか…!?



って!
だから余計な詮索しすぎなんだってばぁ!!

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