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「はい、ちょうど頂きます。
レシートのお返しでーす」
「ありがとう」
会計を済ませると、惣菜をレジ袋に包みお客さんに手渡した。
いつもはちょっと大きな袋だけど、今日は1つだけだから一番小さいレジ袋だね。
「お気を付けて、お帰り下さいね。
ありがとうございまーす」
だけどもし本当に本当の独り身になっちゃったんだとしたら、何だかかわいそうだなぁ。
こんな優しそうな人なのに、プライベートじゃいろいろ苦労してるのかもしれない。
とりあえず他に理由が思い浮かばないんだけど、でもどうかこのお客さんが家に帰って、1人ぼっちで鶏カツを食べなきゃいいな…。
「…………あの」
「ぁ、は、はいっ」
うわわっ
まさか今の私の思考が読まれちゃったとか、ないよねっ
勝手に独り身なんて思っちゃって、ごめんなさーい!!
「…もうすぐ、帰られるんですよね」
「え?
…あー…そうですね」
厨房にある時計を見上げてみると、もうすく閉店時間だ。
他のスタッフは掃除をしていて、閉店と共にすぐあがれるようになっている。
陳列棚にはまだまだ惣菜は残っているけど、今日も私の晩ご飯はあの中のどれかだな。
…とか、ぼんやり思ってしまった。
「あの、帰り…本当に気を付けて下さいね。
なるべく明るくて人の多い所を通るようにして、何かあってもすぐに助けを呼べるような…」
「あ、はい…っ」
そうか、この前のナンパおっさんの件を心配してくれているんだろうな。
確かにあの時は怖かったし、もしこのお客さんがいなかったら声をかけられていただろうなとは思う。
そういえばあのナンパおっさんは、あれ以来うちの店にも姿を見せなくなったなぁ。
常連さんが来なくなったのは、店的に売り上げが減っちゃうわけでもあるかもしれないけど…でも私的にはホッとしちゃってたりする。
「本当は見送ってあげたい気持ちはあるんですが、あいにく今日は早く帰らないといけなくて…」
「わわっ
私なら大丈夫ですよ!
心配してくれて、ありがとうございますーっ」
そんなに本気で心配してくれるなんて、何だか嬉しいな。
だけど帰らないといけないって言ったって事は、家で待ってる人がいるって事かな?
うわーっ
独り身だなんて、やっぱり予想はハズれてましたーっ
「では、本当に気を付けて下さいね。
それじゃあ……」
「あ、はい。
ありがとうございますっ」
ペコリ そのお客さんに頭を下げると、私はいつもの営業スマイルで見送ろうとした。
「………………っ」
「………………?」
…のだけど。
いつまでも帰ろうとせずジッと私の顔を不安げに見ているので、私もどう反応していいかわからず営業スマイルのまま見返した。
「え…っと…?」
そうしているうちに夜も9時になったようで、やがてデパート自体が閉館となり、閉店案内のアナウンスと共に照明が1つ小さくなった。
デパートが閉館になれば、当然中の“デリカ popo”も同時に閉店となる。
つまり、今のでうちの店の営業は終わった事になったのだ。
「…すみません、閉店になっちゃいました。
早く出ないと、ドア閉まっちゃいますよ」
「あ…そうですね。
それじゃあ、妹尾さん」
「…えっ!
どうして私の名前を…」
と言って、胸元のネームプレートを見て納得した。
そっか。
従業員はみんな名前を掲げて仕事してるもんね。
「そう言う僕は、イチゴバラといいます。面白い名前でしょう?
では妹尾さん、今日は特に綺麗だから、本当に気を付けて帰って下さいね。
じゃ、また──」
「…………………っ//」
そう言ってお客さんは小さくお辞儀をすると、薄くなった照明の中を帰って行った。
イチゴ バラ…さん?
それって、苗字だよね。
でも、イチゴとバラ?
珍しい苗字に驚く事よりも、私はむしろその後の言葉にドキンとした。
──『今日は特に綺麗だから』
たとえ常連さんであっても、お客さんたちは誰も突っ込んでくれなかった私の化粧を褒めてくれた。
しかも、キレイにって…。
「若い」とか「かわいい」とかは言われる事が多かった。
だけど「綺麗」だなんて言われたのは、もしかしたら初めてかもしれない。
「イチゴバラ…さん…」
そのワードから、あの真っ赤な果物と花を頭の中で連想しつつも、あの優しそうな顔をまた思い出してしまった。
(…キレイ…かぁ。
そんな風に見てもらえるなら、明日からもまた化粧はしようかなぁ)
まるで私をオトナな女扱いしてくれたその言葉に、私はしばらく胸の奥が熱くなっていたの。
レシートのお返しでーす」
「ありがとう」
会計を済ませると、惣菜をレジ袋に包みお客さんに手渡した。
いつもはちょっと大きな袋だけど、今日は1つだけだから一番小さいレジ袋だね。
「お気を付けて、お帰り下さいね。
ありがとうございまーす」
だけどもし本当に本当の独り身になっちゃったんだとしたら、何だかかわいそうだなぁ。
こんな優しそうな人なのに、プライベートじゃいろいろ苦労してるのかもしれない。
とりあえず他に理由が思い浮かばないんだけど、でもどうかこのお客さんが家に帰って、1人ぼっちで鶏カツを食べなきゃいいな…。
「…………あの」
「ぁ、は、はいっ」
うわわっ
まさか今の私の思考が読まれちゃったとか、ないよねっ
勝手に独り身なんて思っちゃって、ごめんなさーい!!
「…もうすぐ、帰られるんですよね」
「え?
…あー…そうですね」
厨房にある時計を見上げてみると、もうすく閉店時間だ。
他のスタッフは掃除をしていて、閉店と共にすぐあがれるようになっている。
陳列棚にはまだまだ惣菜は残っているけど、今日も私の晩ご飯はあの中のどれかだな。
…とか、ぼんやり思ってしまった。
「あの、帰り…本当に気を付けて下さいね。
なるべく明るくて人の多い所を通るようにして、何かあってもすぐに助けを呼べるような…」
「あ、はい…っ」
そうか、この前のナンパおっさんの件を心配してくれているんだろうな。
確かにあの時は怖かったし、もしこのお客さんがいなかったら声をかけられていただろうなとは思う。
そういえばあのナンパおっさんは、あれ以来うちの店にも姿を見せなくなったなぁ。
常連さんが来なくなったのは、店的に売り上げが減っちゃうわけでもあるかもしれないけど…でも私的にはホッとしちゃってたりする。
「本当は見送ってあげたい気持ちはあるんですが、あいにく今日は早く帰らないといけなくて…」
「わわっ
私なら大丈夫ですよ!
心配してくれて、ありがとうございますーっ」
そんなに本気で心配してくれるなんて、何だか嬉しいな。
だけど帰らないといけないって言ったって事は、家で待ってる人がいるって事かな?
うわーっ
独り身だなんて、やっぱり予想はハズれてましたーっ
「では、本当に気を付けて下さいね。
それじゃあ……」
「あ、はい。
ありがとうございますっ」
ペコリ そのお客さんに頭を下げると、私はいつもの営業スマイルで見送ろうとした。
「………………っ」
「………………?」
…のだけど。
いつまでも帰ろうとせずジッと私の顔を不安げに見ているので、私もどう反応していいかわからず営業スマイルのまま見返した。
「え…っと…?」
そうしているうちに夜も9時になったようで、やがてデパート自体が閉館となり、閉店案内のアナウンスと共に照明が1つ小さくなった。
デパートが閉館になれば、当然中の“デリカ popo”も同時に閉店となる。
つまり、今のでうちの店の営業は終わった事になったのだ。
「…すみません、閉店になっちゃいました。
早く出ないと、ドア閉まっちゃいますよ」
「あ…そうですね。
それじゃあ、妹尾さん」
「…えっ!
どうして私の名前を…」
と言って、胸元のネームプレートを見て納得した。
そっか。
従業員はみんな名前を掲げて仕事してるもんね。
「そう言う僕は、イチゴバラといいます。面白い名前でしょう?
では妹尾さん、今日は特に綺麗だから、本当に気を付けて帰って下さいね。
じゃ、また──」
「…………………っ//」
そう言ってお客さんは小さくお辞儀をすると、薄くなった照明の中を帰って行った。
イチゴ バラ…さん?
それって、苗字だよね。
でも、イチゴとバラ?
珍しい苗字に驚く事よりも、私はむしろその後の言葉にドキンとした。
──『今日は特に綺麗だから』
たとえ常連さんであっても、お客さんたちは誰も突っ込んでくれなかった私の化粧を褒めてくれた。
しかも、キレイにって…。
「若い」とか「かわいい」とかは言われる事が多かった。
だけど「綺麗」だなんて言われたのは、もしかしたら初めてかもしれない。
「イチゴバラ…さん…」
そのワードから、あの真っ赤な果物と花を頭の中で連想しつつも、あの優しそうな顔をまた思い出してしまった。
(…キレイ…かぁ。
そんな風に見てもらえるなら、明日からもまた化粧はしようかなぁ)
まるで私をオトナな女扱いしてくれたその言葉に、私はしばらく胸の奥が熱くなっていたの。
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