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返したいんです!返して下さい!①
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いくら多少なら遅くなってもって思っていたとは言えだ。
ここからまた実家に戻って更に電車で2時間かけてアパートに帰らなきゃならない事を考えると、20時過ぎはさすがに帰らなきゃならない時間だった。
20時からは更にお客さんが増えまだまだ高梨さんへのご指名はあったのだけど、私が帰りたい旨を他のホストさんに伝えてもらうと、上手く切り上げてお店を出る事ができた。
「ごめんね、相川さん。
もしかしたら疲れさせてしまっただけだったかな」
「あ、いえ。
あれが高梨さんのお仕事なんですものね。
ホント、お疲れさまです」
「……………っ
…ありがとう……」
お店に入る時に比べても、すっかり暗くなってしまった空。
立体駐車場まで戻ると、また高梨さんの車に乗せてもらった。
「…あれ?
高梨さん、さっきお酒飲んだんじゃあ…?」
お客さんに高いお酒を頼んでもらっては、それを一緒に飲むのがホストさんのお仕事だ。
あんなにいろんな席を回っていたら、相当飲んでるハズだよね…?
いくら車で来ちゃっても、お酒を飲んでしまっては飲酒運転になっちゃう。
お仕事でお酒を飲まなきゃならないホストさんだけども、それは……
「大丈夫だよ、胃の中は空っぽになってるから」
「空っぽ?」
他のお客さんの席でも何か飲んでいたような気がするんだけど、お酒じゃないにしたって空っぽって事は…?
「相川さんは心配しなくても、ちゃんと僕が安全に家まで送ってあげるよ」
「あ…はい…」
確かに、高梨さんは全然酔ってる風には見えない。
あれはお酒じゃなかったのかなぁ。
車で来たんだから、ちゃんと帰る事まで考えてたのかもしれないな。
だけど胃の中が空っぽの意味は、わかんないや。
そうして、ようやく車はうちの実家の前にたどり着いた。
「ありがとうございました。
何だかとても楽しかったです」
「うん、僕も相川さんと一緒で楽しかった。
ありがとう」
シートベルトを外し膝の上に乗せていたショルダーバッグを肩にかけると、私は車のドアを開けようと手をのばした。
「…相川さん」
「はい?」
名前を呼ばれて高梨さんの方を振り向いた。
すると高梨さんは後部座席から何かを取り出して私の前に見せた。
今日一緒に歩いて、私が選んだシュシュが入っている包みだ。
薄いピンク色のビニール製の袋に、赤いリボンが付いている。
「相川さんに、プレゼントだよ」
「ほぇ?」
なんてマヌケな声が出たんだろう。
だって、あまりにも意外な言葉だったから、すぐに意味がわからなかったんだもん。
「あの…どういう…?」
「だから、僕から相川さんへのプレゼントなんだって。
こういうのが好きなんだろ?
さぁ、どうぞ」
確かに、このプレゼントのシュシュは私が選んだもの。
だって、高梨さんが私の気に入ったものを選んでって言うからそうしただけ。
でもそれは多分、一般的な女の子目線で選んでほしかったからだと思っていたんだけど…?
「あの、でも私がもらっちゃったら、高梨さんがプレゼントしようとした方への物がなくなっちゃうんじゃあ…」
「僕がプレゼントしたかったのは、相川さんなんだよ。
だから、遠慮なんかしなくていいんだ」
「え?
でも高梨さん、想い人さんに…」
「そんな人、初めからいないよ」
…どういう事?
高梨さんには想い人さんがいて、その人の為にプレゼントしたくて私にお買い物を付き合わせたんじゃなかったの?
「ごめんね。
嘘をつくつもりはなかったんだけど、あのお見合いの席で相川さんに話を合わせようとして咄嗟に出たんだ」
あのお見合いの席で。
私と同じように、好きな人がいながら親の為にお見合いをしたって話だ。
「じゃあ…無理やりお見合いをさせられたってのは…」
「あぁ、それは本当だよ。
母さんは僕に、早くまともな女性と結婚してほしかったみたいだから」
だったら…なんでわざわざ私に話を合わせる為にあんな事を言ったんだろう。
自分から結婚する気がないんだったら、お見合いだけして私みたいにお断りを入れるって事だって出来ただろうに…。
「仕事柄、これまで女性との縁に困る事はなかったよ。中には僕に本気になって結婚を申し込んできた人もいた。
だけど、どの女性もみんな同じに見えた。
僕の容姿、身分、財産。目的はみんなそこだったんだ」
「______…」
ここからまた実家に戻って更に電車で2時間かけてアパートに帰らなきゃならない事を考えると、20時過ぎはさすがに帰らなきゃならない時間だった。
20時からは更にお客さんが増えまだまだ高梨さんへのご指名はあったのだけど、私が帰りたい旨を他のホストさんに伝えてもらうと、上手く切り上げてお店を出る事ができた。
「ごめんね、相川さん。
もしかしたら疲れさせてしまっただけだったかな」
「あ、いえ。
あれが高梨さんのお仕事なんですものね。
ホント、お疲れさまです」
「……………っ
…ありがとう……」
お店に入る時に比べても、すっかり暗くなってしまった空。
立体駐車場まで戻ると、また高梨さんの車に乗せてもらった。
「…あれ?
高梨さん、さっきお酒飲んだんじゃあ…?」
お客さんに高いお酒を頼んでもらっては、それを一緒に飲むのがホストさんのお仕事だ。
あんなにいろんな席を回っていたら、相当飲んでるハズだよね…?
いくら車で来ちゃっても、お酒を飲んでしまっては飲酒運転になっちゃう。
お仕事でお酒を飲まなきゃならないホストさんだけども、それは……
「大丈夫だよ、胃の中は空っぽになってるから」
「空っぽ?」
他のお客さんの席でも何か飲んでいたような気がするんだけど、お酒じゃないにしたって空っぽって事は…?
「相川さんは心配しなくても、ちゃんと僕が安全に家まで送ってあげるよ」
「あ…はい…」
確かに、高梨さんは全然酔ってる風には見えない。
あれはお酒じゃなかったのかなぁ。
車で来たんだから、ちゃんと帰る事まで考えてたのかもしれないな。
だけど胃の中が空っぽの意味は、わかんないや。
そうして、ようやく車はうちの実家の前にたどり着いた。
「ありがとうございました。
何だかとても楽しかったです」
「うん、僕も相川さんと一緒で楽しかった。
ありがとう」
シートベルトを外し膝の上に乗せていたショルダーバッグを肩にかけると、私は車のドアを開けようと手をのばした。
「…相川さん」
「はい?」
名前を呼ばれて高梨さんの方を振り向いた。
すると高梨さんは後部座席から何かを取り出して私の前に見せた。
今日一緒に歩いて、私が選んだシュシュが入っている包みだ。
薄いピンク色のビニール製の袋に、赤いリボンが付いている。
「相川さんに、プレゼントだよ」
「ほぇ?」
なんてマヌケな声が出たんだろう。
だって、あまりにも意外な言葉だったから、すぐに意味がわからなかったんだもん。
「あの…どういう…?」
「だから、僕から相川さんへのプレゼントなんだって。
こういうのが好きなんだろ?
さぁ、どうぞ」
確かに、このプレゼントのシュシュは私が選んだもの。
だって、高梨さんが私の気に入ったものを選んでって言うからそうしただけ。
でもそれは多分、一般的な女の子目線で選んでほしかったからだと思っていたんだけど…?
「あの、でも私がもらっちゃったら、高梨さんがプレゼントしようとした方への物がなくなっちゃうんじゃあ…」
「僕がプレゼントしたかったのは、相川さんなんだよ。
だから、遠慮なんかしなくていいんだ」
「え?
でも高梨さん、想い人さんに…」
「そんな人、初めからいないよ」
…どういう事?
高梨さんには想い人さんがいて、その人の為にプレゼントしたくて私にお買い物を付き合わせたんじゃなかったの?
「ごめんね。
嘘をつくつもりはなかったんだけど、あのお見合いの席で相川さんに話を合わせようとして咄嗟に出たんだ」
あのお見合いの席で。
私と同じように、好きな人がいながら親の為にお見合いをしたって話だ。
「じゃあ…無理やりお見合いをさせられたってのは…」
「あぁ、それは本当だよ。
母さんは僕に、早くまともな女性と結婚してほしかったみたいだから」
だったら…なんでわざわざ私に話を合わせる為にあんな事を言ったんだろう。
自分から結婚する気がないんだったら、お見合いだけして私みたいにお断りを入れるって事だって出来ただろうに…。
「仕事柄、これまで女性との縁に困る事はなかったよ。中には僕に本気になって結婚を申し込んできた人もいた。
だけど、どの女性もみんな同じに見えた。
僕の容姿、身分、財産。目的はみんなそこだったんだ」
「______…」
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