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もう初めから、答えは決まってたんだ①
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_________
____________
_________…
――『もぉ、お母さん!
今日のお弁当のおかず、から揚げに冷凍コロッケにきんぴらとウインナーって何なのよ!』
――『何なのとは何なのよ!』
――『全部茶色系ばっかりだったじゃない!
お昼休みにみんなの前でお弁当広げるの恥ずかしかったんだからね!』
――『何が恥ずかしいよ、食べるのは同じでしょ!』
――『同じじゃないわよ!
見た目だって重要な要素なんだからぁ。
もっと彩りよく、かわいいお弁当にしてよね!』
――『何偉そうに文句言ってんのよ。
だったら優、あんたが自分で作ればいいでしょ。
お弁当ぐらい自分で作れなきゃ、嫁の貰い手がいなくなるわよ』
――『何よそれぇ!
その時になったらお弁当でも何でも自分でやるわよ!』
自分でご飯だって作るし、お母さんの世話にはならないんだからぁ…!
嫁の貰い手だなんて…
もぉ、お母さんったらぁ……
…………………
…………………
朝
開店の前に今日発売の雑誌を陳列する。
通常の開店準備もしながら立ち読み防止用のビニール梱包作業もしていると、平日の暇な時でもあっという間に時間は経っていく。
「おはようございまーす」
10時になる少し前を知らせるように、パートの和泉さんがお店にやってきた。
「あ、和泉さん!」
続いて一緒に新人の常盤さんも入ってきた。
「おはようございます。
えっと、今日は何からしたらいいですか?」
ちょうど良かった。
私はビニール梱包作業をザッと常盤さんに教えると、代わりにやってもらった。
そして手が空いたのを良い事に、レジまわりのチェックをしている和泉さんのもとまで駆けった。
「和泉さん、相談があるの」
「相談?
あ、まさか例のイケメン社長の事?」
ようやく和泉さんに生の声を聞く事が出来る。
結婚前に赤ちゃんが出来てしまった為に、授かり婚をしたっていう和泉さんの生の体験談を。
「えっ、妊娠?」
和泉さんは私の人生の目標であり大先輩って感じ。
こんな主婦になれたらいいなぁと思っていたし、偶然にも結婚前に赤ちゃんが出来た事は同じだ。
前に聞いた時は、ご両親にはヒドく反対されたって言っていたけど、結局は今現在そのままその子を生んで育てているし結婚だってしている。
そこに行き着くまでずいぶん悩んだと思うし、何より相手の男性…つまり今の旦那さんの反応とかがスゴく気になる。
勇さんやうちのお母さんも、和泉さんとこと同じようになるってわけじゃないのはわかってるんだけど、やっぱり参考として聞きたいもんね。
まずは自分の妊娠について、相手の男性はどう思うものなのか。
それに対して、自分はどう考えたか。
おろす手段だって、和泉さんも一度は考えたんだろうなぁ…。
「…そうなんだ。
あのイケメン社長、そんな事を言ってきたんだ」
「うん、だから私…どうしたらいいかわからなくて…」
ようやく勇さんの口から結婚という言葉は出てくれたんだけど、だからってすぐに結婚したってわけじゃない。
どちらにしてもお母さんには勇さんと一緒にあいさつに行くし、それよりも先に赤ちゃんの事は話さないといけないかな。
「わからないって…相川さん、どうして悩んでるの?」
「えっ」
あまりに意外な返答だったので、逆に私も意味がわからなかった。
私の説明の仕方が悪かったのかな。
それとも、和泉さんじゃなくて勇さんに直線相談しろって意味なのかも。
「だって私…まさか自分が妊娠しちゃうなんて思わなくてっ
こんな時どうしたらいいかわからなかったから…っ」
「そうじゃなくて、相川さんはどうしたいの?」
「どう…したい?」
相談を持ちかけているのに、私は逆に和泉さんに質問されてしまった。
私は、どうしたいか…?
「びっくりしたってのもあるだろうけど、相川さんは自分の妊娠をどう感じた?」
「え、私は…」
これまで私は、勇さんとの結婚の事は何となく意識しちゃってた所があったけど、赤ちゃんの事までは考えもしなかった。
できちゃった結婚なんてテレビの中の人だけの話であって、自分とは縁もないって。
だけど実際に起こってしまい、他人事ではなくなってしまった。
だからこそ、どうしようどうしようと悩んでばかりいたのよ。
だけど…いざ自分のお腹に赤ちゃんがいるって事がわかったあの日、驚いてあたふたする前に………ほんの一瞬、感じた。
…嬉しい って。
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――『もぉ、お母さん!
今日のお弁当のおかず、から揚げに冷凍コロッケにきんぴらとウインナーって何なのよ!』
――『何なのとは何なのよ!』
――『全部茶色系ばっかりだったじゃない!
お昼休みにみんなの前でお弁当広げるの恥ずかしかったんだからね!』
――『何が恥ずかしいよ、食べるのは同じでしょ!』
――『同じじゃないわよ!
見た目だって重要な要素なんだからぁ。
もっと彩りよく、かわいいお弁当にしてよね!』
――『何偉そうに文句言ってんのよ。
だったら優、あんたが自分で作ればいいでしょ。
お弁当ぐらい自分で作れなきゃ、嫁の貰い手がいなくなるわよ』
――『何よそれぇ!
その時になったらお弁当でも何でも自分でやるわよ!』
自分でご飯だって作るし、お母さんの世話にはならないんだからぁ…!
嫁の貰い手だなんて…
もぉ、お母さんったらぁ……
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朝
開店の前に今日発売の雑誌を陳列する。
通常の開店準備もしながら立ち読み防止用のビニール梱包作業もしていると、平日の暇な時でもあっという間に時間は経っていく。
「おはようございまーす」
10時になる少し前を知らせるように、パートの和泉さんがお店にやってきた。
「あ、和泉さん!」
続いて一緒に新人の常盤さんも入ってきた。
「おはようございます。
えっと、今日は何からしたらいいですか?」
ちょうど良かった。
私はビニール梱包作業をザッと常盤さんに教えると、代わりにやってもらった。
そして手が空いたのを良い事に、レジまわりのチェックをしている和泉さんのもとまで駆けった。
「和泉さん、相談があるの」
「相談?
あ、まさか例のイケメン社長の事?」
ようやく和泉さんに生の声を聞く事が出来る。
結婚前に赤ちゃんが出来てしまった為に、授かり婚をしたっていう和泉さんの生の体験談を。
「えっ、妊娠?」
和泉さんは私の人生の目標であり大先輩って感じ。
こんな主婦になれたらいいなぁと思っていたし、偶然にも結婚前に赤ちゃんが出来た事は同じだ。
前に聞いた時は、ご両親にはヒドく反対されたって言っていたけど、結局は今現在そのままその子を生んで育てているし結婚だってしている。
そこに行き着くまでずいぶん悩んだと思うし、何より相手の男性…つまり今の旦那さんの反応とかがスゴく気になる。
勇さんやうちのお母さんも、和泉さんとこと同じようになるってわけじゃないのはわかってるんだけど、やっぱり参考として聞きたいもんね。
まずは自分の妊娠について、相手の男性はどう思うものなのか。
それに対して、自分はどう考えたか。
おろす手段だって、和泉さんも一度は考えたんだろうなぁ…。
「…そうなんだ。
あのイケメン社長、そんな事を言ってきたんだ」
「うん、だから私…どうしたらいいかわからなくて…」
ようやく勇さんの口から結婚という言葉は出てくれたんだけど、だからってすぐに結婚したってわけじゃない。
どちらにしてもお母さんには勇さんと一緒にあいさつに行くし、それよりも先に赤ちゃんの事は話さないといけないかな。
「わからないって…相川さん、どうして悩んでるの?」
「えっ」
あまりに意外な返答だったので、逆に私も意味がわからなかった。
私の説明の仕方が悪かったのかな。
それとも、和泉さんじゃなくて勇さんに直線相談しろって意味なのかも。
「だって私…まさか自分が妊娠しちゃうなんて思わなくてっ
こんな時どうしたらいいかわからなかったから…っ」
「そうじゃなくて、相川さんはどうしたいの?」
「どう…したい?」
相談を持ちかけているのに、私は逆に和泉さんに質問されてしまった。
私は、どうしたいか…?
「びっくりしたってのもあるだろうけど、相川さんは自分の妊娠をどう感じた?」
「え、私は…」
これまで私は、勇さんとの結婚の事は何となく意識しちゃってた所があったけど、赤ちゃんの事までは考えもしなかった。
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だけど実際に起こってしまい、他人事ではなくなってしまった。
だからこそ、どうしようどうしようと悩んでばかりいたのよ。
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…嬉しい って。
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