発達障害の長男と母としての私

遥彼方

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忘れられない悲しい出来事

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もう一つ、忘れられない出来事があります。

次男を産んでまもなく、長男は手足口病になりました。免疫の低い小さい子特有の病気で、その名の通り、手足と口に発疹がでます。大した病気ではなく、手足の発疹は問題ないのですが、口の中に出来る発疹が厄介です。

口の中に口内炎が沢山できる。食べたり飲んだりすると非常に痛い。
その為、長男は常に不機嫌。

次男は産まれたばかりですし、母乳育児でしたので、母乳をあげるときには、長男を姑にお願いしていました。しかし、長男の機嫌は最悪です。

わんわん泣いて、暴れて、私に行くなと袖を引っ張って離さない。このままだと危なくて母乳をあげられない。なんとか姑がご機嫌を取ろうとするも、全く駄目。言って聞かそうとしても駄目、怒ってみても駄目。

とうとう姑がキレました。
「言うことをちっとも聞きやしない、お前なんか、鬼だ!次男は仏様みたいじゃないか!お前なんか死ね!死んでしまえ!」
そう言って次男を抱いて、他の部屋へ行ってしまいました。

私は悲しくて悲しくて涙が止まらなくなった。

姑はとても優しい人です。普段から長男の面倒をよく見てくれていました。あんな言葉を言う人じゃない。言わざるをえなかった、姑の気持ちを思うと、悲しくて。言わせてしまったことが申し訳なくて。

そして、そんな決定的なことを言われたのに、何にも分からないで、相変わらず泣きわめいている 長男が、不憫でならなかった。

さっきの出来事が、この子の未来を象徴している気がしました。身近な人の理解さえ得られないで、孤独で独りぼっちの、この子の未来。

悲しくて悲しくて、いつまでも涙が止まりませんでした。

でも、どうしたらいいのか分からなかった。どうにかしてやれる自信もなかった。

肝心の長男は、空気など読めるはずもなく、いつも通りでした。いつも通りに涙に暮れる私の前で、遊んだんだっけ?忘れちゃったな。

姑の言葉と、長男を憐れに思ったこと、悲しくて堪らなかったことだけが、強烈に残って他は朧です。
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