BLゲームの悪役サイドとか普通に無理

どくりんご

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悪役サイドとか普通に無理!

婚約者はイケボでした

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 リリス・レティシオンは婚約者と対面していた。婚約者ーー敵キャラであるケリー様と。冷や汗が止まらない。怒った様な様子の彼からの言葉を待つ。

「もう一度聞く。お前は誰だ」

 初めて聞いたときに思った「ふわゎぁぁ!!イケボすぎてヤバイよ、死んじゃうぅー」という気持ちにはなれなかった。「怒ったときも声がイケボって…倒れそう(色んな意味で)」と思っていた。

 何故こんな状況になっているのか。それは数十分前にさかのぼる。(え?時間あんまりたってなくない?なんてことはないですよ!ないったらない!)





「大丈夫だった?リリスちゃん。魔力が空っぽになって倒れたって聞いたけど」
 
「大丈夫です。フィリア様。ご迷惑かけてごめんなさい」

「迷惑なんかじゃないわ」

 数十分前、私はフィリア様ーーケリー様のお母様とお話をしていた。といってもその場にはケリー様はいたが話さなかっただけだ。元々あまり仲が良かったわけじゃないので特に気にしない。

 フィリア様は公爵夫人であり、身分を鼻にかけず誰にでも手を差し伸べてしまうほど優しいかた。水色の髪はふわふわとしていてボブほどの長さと貴族にしては珍しい髪である。水色は水色でも透き通るような感じで彼女の性格を表すようなたれ目なのも特徴。
 =マジかわいい。好き

 それに比べ、ケリーは公爵の遺伝子をまるまる引き継いだ感じだ。髪の色しかり、目の色しかり。穏和な母の遺伝子どこにある?と聞きたい。
 目が合ったので瞬時に目をそらした。
 すると、フィリア様が手を口元に当てて、ふふふっと可愛らしく微笑んだ。…が次に言った言葉はひどいものだった。

「ごめんね。ケリーと二人で話したかったわよね。お邪魔虫は退散するわ」

 花が綻ぶような笑みでスキップしてどこかに行ってしまうフィリア様には私の絶望したような表情は見えなかったらしい。

 ずーんと落ち込む私の気持ちは「将来殺してくる奴とお話しても…」という気持ちだった。そんな私に構わず彼は私に話しかけてきた。

「君は誰だ」

「へ?」

 うええぇー!なにその声!私がはまった少年漫画の声優さんに似てる!めっちゃイケボ!その声優さんを越えるかも(?)知れないほど私はこの声に感動&驚愕していた。現実にこんな声の人居たの!?あれ、ここって現実だっけ?ヤバイ、死にそう。成仏できちゃいそう。手を合わせたい。

「ケリー様。それはどういう…」

「リリスは俺のことをケリーと呼んでいた。俺のことを見て、間違っても嫌そうな顔をしない」

 確信したかのように話す彼に冷や汗が止まらない。
 あれ?そうだったっけ?
 緊張しててわすれちゃった。 
 てゆうかリリス、呼び捨てで呼んでたの?この人のこと。すごい度胸だね。
 ヤバイ。ミスっちゃった。怖いんですけど。やらかしちゃった?

「もう一度聞く。お前は誰だ」

 こんな怒ってる時でもイケボですね。なんてアホなこと考えながらプレッシャーにまけて倒れそうになる足を踏ん張って、頑張っていた。誰か褒めてぇー!誰か助けてぇー!
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