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悪役令息といっても小説のライバルポジションです。
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馬車の中一人、メリーはこれからのことについて考えていた。
「(行きたくないよぉー!なんで会いにいかなきゃいけないの?)」
否、考えていたというより行きたくないと思っていただけである。
数日前、お父様から告げられたのは私が彼と婚約したという話と彼とまた、お茶会を行うというお話だった。
彼と言うのは悪役令息……ヘンリー様だ。
当然、拒否したい案件だったが貴族令嬢として拒否できるはずもなかった。
私は外面が非常に良いと思う(自画自賛)
いつの間にかお茶会の日になり馬車に乗せられた。
ここは恋愛小説の中だと思う。この国の皇太子の名前は小説と同じだし、主人公と同じ家名の男爵家があったことを確認した。ほぼ確定と言っても良いだろう。
ヒーローの婚約者に転生して「悪役令嬢」というのはあるかも知れないけど、ヒーローのライバル…悪役令息の婚約者って、なんて悲しいポジションなのかと泣きそうになる。
悪役令嬢というのも小説の中にいた。
重要なキャラクターでその分とてもキレイに書かれていた。
私は伯爵令嬢という微妙な身分で、今更ながら「どうせなら、悪役令嬢が良かったー!!」と悔やんでも仕方がないのである。
名無しの婚約者なんて存在感なさすぎでしょ。
無情にも馬車が止まり外の景色で彼の家(屋敷)に着いたと知らせて来る。
「(あー、こんな短期間に二回も来たくなかったよ)」
我が家より遥かにでかいお屋敷を見て少しびびる。さすが侯爵家。びびるのも仕方ないよ、私は小心者だからね。
「ご案内致します」
「ありがとうございます」
うわぁ!と叫ばなかったのは偉いと思う。忍者みたいに現れたんだもん!
なに?侯爵家はそんな教育も施すの?私の家はそんなことする人いないよ!?
びびりながら庭園(勿論でかい)に案内されてメイドさんが下がる。
席には既に侯爵夫人とヘンリー様が座っていた。
「メリーさん、いらっしゃい。この前は体調が優れなかったらしいけど大丈夫かしら?」
「はい。ご心配をかけて申し訳ございません」
あら、良いのに…と言葉を返してくる侯爵夫人はとても可愛らしい人だ。
金色のふわふわした髪がそれを引き立たせてると言っても良いだろう。
触りたいな~、絶対に言わないけど。
「……でね、あ!そうだ、私確か用事があったわ!ヘンリー、メリーさんをよろしくね~」
色々話終えた後に、わざとらしく「よろしく~」と言いながら去っていく夫人は控えめに言って鬼。
「(まって!置いてかないで!)」
笑顔のままそんなことを考えながら目の前の人を見る。
滅茶苦茶イケメン。これが悪役令息でヒーローじゃないのが信じられない。
「……メリーって呼んでもいい?」
「…えぇ、私もヘンリー様と呼んでも?」
「うん。良いよ」
沈黙が痛い。
いや、漫画でもこんな感じのキャラでしたよ?無口だけど天然だけど主人公の前だと少しだけ強引に攻める人でしたとも!
喋ってくれないかなぁ。現実はやっぱり事情が違うんだよ。
「メリーは……」
「なんでしょうか」
突然喋りだした彼に驚きながらも返事をする。
「どうして、本心を言わないの?」
青色の瞳はしっかりと私を写していた。
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