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第十五部 敦盛の舞
81 永禄三年五月十九日――それぞれの出陣
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織田信長が、小姓らに甲冑をつけさせていると、帰蝶が湯漬けを持って戻って来た。
帰蝶もその身に緋色の甲冑をまとっていた。
「湯漬けをお持ちしました」
「うむ」
信長は立ったまま、その湯漬けを食べた。
体が温まる。
力がみなぎる。
心も賦活されたように感じ、腹が減ってはいくさはできぬとは、よく言ったものだと思った。
「……そういえば、爺がそう言っていたな」
平手政秀のはにかんだ顔が、ふと見えた気がした。
「……出陣」
「……はい」
織田信長、出陣。
伝えるところによると、それはわずかな小姓衆のみを引き連れ、しばらくは誰にも気取られぬことは無かったという。
*
最初に行動を起こしたのは、森可成である。
「信長さまが、敦盛?」
清洲城下、自邸にいた森可成だったが、城内にいた吉野がそれを知らせに来たと聞いて、跳ね起きた。
「出る」
可成は妻女にそれのみを告げると、手早く鎧を身につけ、十文字槍を手に取り、愛馬にまたがった。
「吉野どの! 他の連中には?」
「わたしの家の馬借たちが」
「手数をかける! では、御免!」
可成が馬上、吉野に一礼すると、手綱を振るって、馬を馳せた。
「ご武運を」
可成の妻女と吉野は、共に手を合わせた。
信長の「敦盛」は出陣を意味し、その際には吉野が家臣たちにそれを伝える手はずになっていた。
……これにより、今川の間者たちは、その出陣を報じることを一手、遅らせることになる。
*
沓掛城。
早朝。
夜来の曇天は解消されず、それどころかますます黒雲が増すばかりで、津々木蔵人は閉口した。
「せっかくの門出が、何てことだ」
新生ともいうべき今の今川義元が、ついに真の意味での覇道を歩むというこの日。
天もまた祝して、快晴を以て応ずべきだろう、と蔵人は思った。
だが現実にはこの、今にも落ちてきそうな黒雲の空。
しかも城中や城内の庭には、昨夜からの酒宴により寝入った者たち――雑兵や農民たち――が、そのまましたとおぼしき、嘔吐や糞便がところどころにあり、お世辞にも良い雰囲気とは言えなかった。
「よいではないか」
当の今川義元は、一向にかまわぬという表情で、青竹の杖をつきながら、足を引きずりながらも、早朝の沓掛城の散策を楽しんでいた。
あれだけしこたま呑んだというのに、気持ちがいい。
やはり、精神が上がると、肉体も上がるというのか。
そう思う義元には、城中がどれだけ汚れていても、特に気にならなかった。
「それにな、蔵人……こういう嘔吐や糞便こそ、生きておる証ではないか」
義元の弟にして蔵人の父、今川氏豊は毒を盛られて意識不明となり、今に至っている。
義元は暇を見つけては氏豊の世話をしていたが、それには当然、下の世話も含まれていた。
「それは決して綺麗ではない。だが、生きておるのだな、と感じる」
そう思うと、まあそういうものだと捉えられるようになり、そういうのを見ると、頑張って生きているのだな、と感じるようになった。
「……なればこそ、こうして立って歩いておるわれらこそ、もっと頑張って生きてみよう、と思えるではないか」
義元は蔵人を思いやり、励ましているつもりなのだろう。
だが、それは他ならぬ義元自身への言葉ではないか、と蔵人は思った。
「おっと」
先を行く義元から、そんな台詞が洩れた。
どうやら、踏んでしまったようだ。
「……まあ、臭くて気持ち悪いことには変わりはないがな」
義元は、ばつの悪そうな笑顔を浮かべた。
*
信長は速い。
動きが速い。
思考が速い。
判断が速い。
……今、こうして駆けている間にも、彼の頭にはいろいろな策が構築され検証され、さらなる策が練り上げられていることだろう。
「…………」
そのすぐうしろを駆ける帰蝶が思うのは、やはり海路、迫ってくる水軍である。
双頭の蛇のひとつの「頭」、美濃は無力化した。
もうひとつの「頭」――つまり本体・今川義元とは、これから戦う。
では。
「海から迫る、服部党、北条水軍はどうすれば……」
つい、口から洩れてしまった。
それだけ、双頭の蛇の胴体部分――水軍は、尾張にとって、織田家にとって、脅威だった。
伊勢と尾張を結ぶ、海上交易の要衝・津島。
これを押さえることにより、織田家は発展した。
それを圧し潰されたら。
長年、尾張と伊勢の国境を根城にした服部党と。
東の海の覇者ともいえる、北条水軍に。
「ひとたまりもないな」
先を行く信長の呟きが聞こえた。
どうやら、先ほどの言葉が、聞こえていたらしい。
「だが――今川義元の首を取れば」
そう。
それなのだ。
いかに服部党と北条水軍とはいえ、全軍の頭である今川義元を討たれれば。
「勝機はある」
北条水軍は、北条氏康と今川義元、そして武田信玄との三国同盟による援軍である。その今川義元が倒れれば、立ち往生する。同盟相手とはいえ、しょせんは戦国大名同士、死んだ相手にまで義理を通して戦うだろうか。
「退く。陸路の負けを知りながら、その負けを取り返すために、海路のみで戦うなど、愚の骨頂」
陸路の今川軍には、義元の嫡子にして現今川家当主・今川氏真は参陣していないとの情報が入っている。
つまり、首魁の義元さえ消せば、後を継ぐ氏真はおらず、今川軍は集団として機能しなくなる。
「ですがもし、海路に今川氏真が……」
「それはありうることだ」
それこそが、真の双頭の蛇なのやもしれぬな、と信長は思った。
だが、ことここまで至っては、もはや戦うのみ。勝つのみ。
「海路の方がただで退いてくれるなどという、僥倖があるわけもない。今はただ、人事を尽くすのみ」
「……はい」
信長はその焦燥感を飲み込んで、自らに言い聞かせるように言い放ち、再び自身の思考に没頭した。
帰蝶はそんな信長の背中を見て思うのだ。
父・斎藤道三、義父・織田信秀、そして平手政秀に、どうか信長さまをお守りください、と。
*
熱田。
現代で言う、午前四時頃に清洲城を出た信長たちは、午前八時頃に、この随一の歴史を誇る神社に到達した。
いわゆる草薙剣をご神体とするこの神社は、尾張では知らぬ者がなく、集合地点としては最適だった。
そして、この熱田神宮の大宮司は代々千秋家であり、現当主の千秋季忠は、織田家に仕えている。
「……ここで、戦勝を祈願する」
勝利を祈りつつ、軍勢の集まりを待つ。
しばらく社で待っていると、やがて森可成や河尻秀隆らの将が、そして兵たちも、続々と熱田へとやって来るのが見えた。
「数は」
信長が問うと、帰蝶が二千から三千くらいと答えた。
「で、あるか」
今川軍は四万五千と称しているが、簗田政綱らの調べによると、現在、今川義元が直接率いている兵は二万五千と見積もられている。
兵力差としては、一対八だ。
「正直、邪道だと思う」
戦理に従えば、むろん、戦うべきではない。
だが、戦理に従っている場合ではない。
むしろ、従って滅ぶのなら、従わずに、死中に活を求める。勝機を見出す。
そういう、心境だった。
「敵水軍の状況は」
当時の熱田は港町で(現代では埋め立てられている)、かつて、信長が村木砦を攻める際も、ここから船出している。
帰蝶は、その船乗りたちから、知多半島の向こうにいるはずの敵水軍の情報を聞き出していた。
「動き出した、とのことです。これから雨が降るらしい、というにもかかわらず……」
「雨」
信長はそこに着目した。
敵水軍の動きも気になるが、まずはそこに着目した。
前述のとおり、熱田は港町だ。
天候を読むことは、船乗りにとって必須。
帰蝶が言うには、その熱田の船乗りたちが、これから雨になると言う。
「雨、か」
たしかに空が暗い。
雲が走っている。
これは、これから雨になるな。
うつけとして、少年時代、尾張の山野を駆けめぐった信長にも、そう読めた。
「雨、となると……やはり大軍では動けぬ。動かぬ。では、どこでそうなるか……」
信長の脳裏に、二、三の候補地が浮かぶ。
どこか。
田楽狭間か。
桶狭間山か。
それとも……。
「…………」
これ以上は、まとまらぬ。
やはり、簗田政綱や木綿藤吉らに会わねば。
「帰蝶」
「はい」
「出よう」
「向かう先は」
「善照寺の砦」
今川方・鳴海城を囲む三つの砦のひとつ、善照寺砦。
最前線であるそこで、政綱らと合流する手はずだった。
*
「丸根砦の主、佐久間大学盛重、砦を討って出ましたが、そこを討ち取ってござる」
松平元康が寄越した使い、服部正成がそう言上して来た。
すると間もなく、朝比奈泰朝からも鷲津砦を陥落したと報じて来た。
この時、鷲津砦の主・織田秀敏は討ち死にしたと言われる。
「……ふむ」
沓掛城。
午前十時頃。
すでに鎧直垂、立烏帽子を身につけていた今川義元は、立ち上がった。
「では、出陣と行こうかの」
今川義元、出陣。
案内役は津々木蔵人が務め、義元の周りは股肱の臣たる四宮左近、松井宗信が固める。
「西へ向かおうぞ」
義元が輿に乗った。
まずは大高城に入る。
このいくさ、名目上は大高城を救う、が目的とされている。
なればこそ、丸根と鷲津の両砦を落とした以上、大高城に入る。
あるいは、鳴海城に入る。
その場合は、今川方の鳴海城を囲う、織田方の、丹下、善照寺、中嶋の三砦を降す。
天候はこれより雨とささやかれているが、かまわない。
覇者は時を選ばぬ。
いくさは時を置かぬ。
「いざ――いざ、出陣!」
義元が号令する。
今川義元、最後の出陣である。
帰蝶もその身に緋色の甲冑をまとっていた。
「湯漬けをお持ちしました」
「うむ」
信長は立ったまま、その湯漬けを食べた。
体が温まる。
力がみなぎる。
心も賦活されたように感じ、腹が減ってはいくさはできぬとは、よく言ったものだと思った。
「……そういえば、爺がそう言っていたな」
平手政秀のはにかんだ顔が、ふと見えた気がした。
「……出陣」
「……はい」
織田信長、出陣。
伝えるところによると、それはわずかな小姓衆のみを引き連れ、しばらくは誰にも気取られぬことは無かったという。
*
最初に行動を起こしたのは、森可成である。
「信長さまが、敦盛?」
清洲城下、自邸にいた森可成だったが、城内にいた吉野がそれを知らせに来たと聞いて、跳ね起きた。
「出る」
可成は妻女にそれのみを告げると、手早く鎧を身につけ、十文字槍を手に取り、愛馬にまたがった。
「吉野どの! 他の連中には?」
「わたしの家の馬借たちが」
「手数をかける! では、御免!」
可成が馬上、吉野に一礼すると、手綱を振るって、馬を馳せた。
「ご武運を」
可成の妻女と吉野は、共に手を合わせた。
信長の「敦盛」は出陣を意味し、その際には吉野が家臣たちにそれを伝える手はずになっていた。
……これにより、今川の間者たちは、その出陣を報じることを一手、遅らせることになる。
*
沓掛城。
早朝。
夜来の曇天は解消されず、それどころかますます黒雲が増すばかりで、津々木蔵人は閉口した。
「せっかくの門出が、何てことだ」
新生ともいうべき今の今川義元が、ついに真の意味での覇道を歩むというこの日。
天もまた祝して、快晴を以て応ずべきだろう、と蔵人は思った。
だが現実にはこの、今にも落ちてきそうな黒雲の空。
しかも城中や城内の庭には、昨夜からの酒宴により寝入った者たち――雑兵や農民たち――が、そのまましたとおぼしき、嘔吐や糞便がところどころにあり、お世辞にも良い雰囲気とは言えなかった。
「よいではないか」
当の今川義元は、一向にかまわぬという表情で、青竹の杖をつきながら、足を引きずりながらも、早朝の沓掛城の散策を楽しんでいた。
あれだけしこたま呑んだというのに、気持ちがいい。
やはり、精神が上がると、肉体も上がるというのか。
そう思う義元には、城中がどれだけ汚れていても、特に気にならなかった。
「それにな、蔵人……こういう嘔吐や糞便こそ、生きておる証ではないか」
義元の弟にして蔵人の父、今川氏豊は毒を盛られて意識不明となり、今に至っている。
義元は暇を見つけては氏豊の世話をしていたが、それには当然、下の世話も含まれていた。
「それは決して綺麗ではない。だが、生きておるのだな、と感じる」
そう思うと、まあそういうものだと捉えられるようになり、そういうのを見ると、頑張って生きているのだな、と感じるようになった。
「……なればこそ、こうして立って歩いておるわれらこそ、もっと頑張って生きてみよう、と思えるではないか」
義元は蔵人を思いやり、励ましているつもりなのだろう。
だが、それは他ならぬ義元自身への言葉ではないか、と蔵人は思った。
「おっと」
先を行く義元から、そんな台詞が洩れた。
どうやら、踏んでしまったようだ。
「……まあ、臭くて気持ち悪いことには変わりはないがな」
義元は、ばつの悪そうな笑顔を浮かべた。
*
信長は速い。
動きが速い。
思考が速い。
判断が速い。
……今、こうして駆けている間にも、彼の頭にはいろいろな策が構築され検証され、さらなる策が練り上げられていることだろう。
「…………」
そのすぐうしろを駆ける帰蝶が思うのは、やはり海路、迫ってくる水軍である。
双頭の蛇のひとつの「頭」、美濃は無力化した。
もうひとつの「頭」――つまり本体・今川義元とは、これから戦う。
では。
「海から迫る、服部党、北条水軍はどうすれば……」
つい、口から洩れてしまった。
それだけ、双頭の蛇の胴体部分――水軍は、尾張にとって、織田家にとって、脅威だった。
伊勢と尾張を結ぶ、海上交易の要衝・津島。
これを押さえることにより、織田家は発展した。
それを圧し潰されたら。
長年、尾張と伊勢の国境を根城にした服部党と。
東の海の覇者ともいえる、北条水軍に。
「ひとたまりもないな」
先を行く信長の呟きが聞こえた。
どうやら、先ほどの言葉が、聞こえていたらしい。
「だが――今川義元の首を取れば」
そう。
それなのだ。
いかに服部党と北条水軍とはいえ、全軍の頭である今川義元を討たれれば。
「勝機はある」
北条水軍は、北条氏康と今川義元、そして武田信玄との三国同盟による援軍である。その今川義元が倒れれば、立ち往生する。同盟相手とはいえ、しょせんは戦国大名同士、死んだ相手にまで義理を通して戦うだろうか。
「退く。陸路の負けを知りながら、その負けを取り返すために、海路のみで戦うなど、愚の骨頂」
陸路の今川軍には、義元の嫡子にして現今川家当主・今川氏真は参陣していないとの情報が入っている。
つまり、首魁の義元さえ消せば、後を継ぐ氏真はおらず、今川軍は集団として機能しなくなる。
「ですがもし、海路に今川氏真が……」
「それはありうることだ」
それこそが、真の双頭の蛇なのやもしれぬな、と信長は思った。
だが、ことここまで至っては、もはや戦うのみ。勝つのみ。
「海路の方がただで退いてくれるなどという、僥倖があるわけもない。今はただ、人事を尽くすのみ」
「……はい」
信長はその焦燥感を飲み込んで、自らに言い聞かせるように言い放ち、再び自身の思考に没頭した。
帰蝶はそんな信長の背中を見て思うのだ。
父・斎藤道三、義父・織田信秀、そして平手政秀に、どうか信長さまをお守りください、と。
*
熱田。
現代で言う、午前四時頃に清洲城を出た信長たちは、午前八時頃に、この随一の歴史を誇る神社に到達した。
いわゆる草薙剣をご神体とするこの神社は、尾張では知らぬ者がなく、集合地点としては最適だった。
そして、この熱田神宮の大宮司は代々千秋家であり、現当主の千秋季忠は、織田家に仕えている。
「……ここで、戦勝を祈願する」
勝利を祈りつつ、軍勢の集まりを待つ。
しばらく社で待っていると、やがて森可成や河尻秀隆らの将が、そして兵たちも、続々と熱田へとやって来るのが見えた。
「数は」
信長が問うと、帰蝶が二千から三千くらいと答えた。
「で、あるか」
今川軍は四万五千と称しているが、簗田政綱らの調べによると、現在、今川義元が直接率いている兵は二万五千と見積もられている。
兵力差としては、一対八だ。
「正直、邪道だと思う」
戦理に従えば、むろん、戦うべきではない。
だが、戦理に従っている場合ではない。
むしろ、従って滅ぶのなら、従わずに、死中に活を求める。勝機を見出す。
そういう、心境だった。
「敵水軍の状況は」
当時の熱田は港町で(現代では埋め立てられている)、かつて、信長が村木砦を攻める際も、ここから船出している。
帰蝶は、その船乗りたちから、知多半島の向こうにいるはずの敵水軍の情報を聞き出していた。
「動き出した、とのことです。これから雨が降るらしい、というにもかかわらず……」
「雨」
信長はそこに着目した。
敵水軍の動きも気になるが、まずはそこに着目した。
前述のとおり、熱田は港町だ。
天候を読むことは、船乗りにとって必須。
帰蝶が言うには、その熱田の船乗りたちが、これから雨になると言う。
「雨、か」
たしかに空が暗い。
雲が走っている。
これは、これから雨になるな。
うつけとして、少年時代、尾張の山野を駆けめぐった信長にも、そう読めた。
「雨、となると……やはり大軍では動けぬ。動かぬ。では、どこでそうなるか……」
信長の脳裏に、二、三の候補地が浮かぶ。
どこか。
田楽狭間か。
桶狭間山か。
それとも……。
「…………」
これ以上は、まとまらぬ。
やはり、簗田政綱や木綿藤吉らに会わねば。
「帰蝶」
「はい」
「出よう」
「向かう先は」
「善照寺の砦」
今川方・鳴海城を囲む三つの砦のひとつ、善照寺砦。
最前線であるそこで、政綱らと合流する手はずだった。
*
「丸根砦の主、佐久間大学盛重、砦を討って出ましたが、そこを討ち取ってござる」
松平元康が寄越した使い、服部正成がそう言上して来た。
すると間もなく、朝比奈泰朝からも鷲津砦を陥落したと報じて来た。
この時、鷲津砦の主・織田秀敏は討ち死にしたと言われる。
「……ふむ」
沓掛城。
午前十時頃。
すでに鎧直垂、立烏帽子を身につけていた今川義元は、立ち上がった。
「では、出陣と行こうかの」
今川義元、出陣。
案内役は津々木蔵人が務め、義元の周りは股肱の臣たる四宮左近、松井宗信が固める。
「西へ向かおうぞ」
義元が輿に乗った。
まずは大高城に入る。
このいくさ、名目上は大高城を救う、が目的とされている。
なればこそ、丸根と鷲津の両砦を落とした以上、大高城に入る。
あるいは、鳴海城に入る。
その場合は、今川方の鳴海城を囲う、織田方の、丹下、善照寺、中嶋の三砦を降す。
天候はこれより雨とささやかれているが、かまわない。
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いくさは時を置かぬ。
「いざ――いざ、出陣!」
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今川義元、最後の出陣である。
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