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出会い編
12 パラソルのいたずら
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リジーは、今、無性にタコスが食べたい気分だった。
パリパリしたタコシェルに細切りのチーズとレタス、刻んだトマト、香辛料の効いた炒めた挽肉が挟んであるタコスが、たまに食べたくなる。
<タコガーデン>の前を通るたびに寄ろうと思っていたのだが、いつもタイミングが悪い。
買い物帰りで荷物がいっぱいだったり、明らかに店が激混みだったり。
リジーは今日こそは、と<タコガーデン>の前に立っていた。
(サムには気を付けてってジョンに言われたけど、だからって店に行っちゃいけないってことは、ないもんね。別にジョンに断らなくても良いはず)
あのクッキーを渡した日から数日が経っていた。ジョンと会話する機会もなく、店の前を通るときに顔が見えればお互い挨拶はしたが、ジョンはリジーの近くに寄っては来なかった。
(午後から家具のから拭きのお手伝いをしようかな)
<タコガーデン>の店内の様子を外から眺めると、昼前なのでまだ客はまばらだった。
「リジー! ようやく来てくれたんだ!! 嬉しいな。あれ? ひとり? クロウは?」
いつの間にか先日会ったサムが、外のテラス席の方に出てきていた。
似合わないと思っていた若草色のTシャツが、今日は目が慣れたせいか違和感が無い。
陽に透けるようなサムの金髪がキラキラしていて、見惚れるほど綺麗だった。
「こんにちは、サム。ジョンはいません……私ひとりです」
「そう。ここに来るってクロウに言ってある?」
「え? ジョンには言ってないです」
「じゃあ、一応クロウも呼ぶかな。電話してくる」
「どうして? 私が店に来たらジョンを呼ばないとないんですか?」
「いや、俺がおもしろいから」
サムがなぜだかニヤニヤしている。
(おもしろいって、なにが?)
「店の中で待ってて……」
「いいえ、外で待ってます」
「OK!」
サムが店に戻ったのを見て、リジーはため息を吐いた。
(サムって顔は良いけど、なんか変な人? なんでジョンに電話して呼ぶの? ジョン、お店を放って来るのかな? 迷惑かけちゃった?)
ジョンはサムに自分の事をなんて説明したのだろうか。
リジーは待っている間、店の外観を見渡していた。
クリーム色の塗り壁に、オレンジ色の日よけとガーデン席の赤いパラソルが映える明るい印象の店だ。
風に植栽が揺れている。今日は風が強い。たまに突風が吹き、砂埃が舞い上がる。
リジーの脇を通り過ぎて、小学生の低学年くらいの女の子と手をつないだ父親が、楽しそうに店に入って行く。
自分は父の手のぬくもりを覚えていない。一緒に過ごした記憶は頭の中に残っているはずなのに。
いつか科学技術が進歩して、脳に蓄積された記憶がすべて見られるようにでもなったら見てみたい。
父との思い出のすべてを。
突然、リジーの近くで突風が吹いた。
「うわ! すごい風……」
「リジー!! しゃがめ!」
「!?」
訳がわからないままリジーは緊迫した声に従ってその場にしゃがみ込む。
明るさを遮る影。バサバサと大きな音。
バサッ! 誰かに頭を守るように覆いかぶさられた。
ガシャッという物が落ちる音。
「リジー、大丈夫か!?」
「ジョン……?」
「どこも痛くないか?」
真剣な眼差しのジョンがリジーの頭を撫でながら、顔を覗き込んで聞いてくる。
まだわけがわからないリジーがボーっとしていると、両方の上腕をジョンに掴まれその場に立たせられた。
ジョンの大きな掌がリジーの頭を耳を頬をポンポンと撫で、同じように首、肩、腕、手まで確認する。
そして、両腕が後頭部と背中に回り、
(え? 身体チェック? ちょっと待って、子供じゃないんだから!)
抱きしめるような体勢で撫でられた。
リジーは、緊張して棒立ちのままだった。
顔が熱くなって、鼓動が限界まで早くなる。
「だ、大丈夫。どこも痛くないから……だから……」
「良かった……」
背中に回ったままのジョンの腕に軽くギュッとされ、リジーの頬はジョンの胸に当たった。
(!!! か、硬いんだ。男の人って……)
ジョンの胸に抱きしめられたリジーの感想はこれだった。
「クロウ、心配なのはわかるけどさあ、さすがに触りすぎじゃね? はたから見てると危ない。まあ、子リスちゃん相手だからいやらしい感じはしないけどね」
外に出てきておそらく一部始終を見ていたサムが、口角を上げ冷やかす。
「サム……」
ジョンは頭から湯気が出そうなリジーを優しく離しながら、平然とサムに向き直ると睨みつけた。
「クロウ、腕、大丈夫か?」
サムは何食わぬ顔をしている。
「大丈夫だ」
ジョンの声が低く響く。
「腕?」
リジーが足元を見ると、テラス席にあった赤いパラソルが落ちている。
風で飛ばされて自分に降ってきたのをジョンが腕で払いのけてくれた?
パラソルの柄の部分が直撃していたらと思うとヒヤッとする。
(ジョンは私を庇ってくれたんだ。腕に当たったの? 大丈夫かな)
いつもと違う大きな透る声で自分の名前を呼ばれたのを思い出し、リジーの胸は高鳴った。
「いやあ、さすが空手の達人! パラソルも敵じゃなかったか」
「サム!!」
「来た~。魔王のカミナリ」
「ふざけるな!! リジーが怪我したらどうするつもりだったんだ! 風の強い日は外のパラソルは危ないから閉じるか撤去しろ! 副店長なのに目配りが足りない。責任問題だぞ!!」
強い口調でジョンにガミガミ言われて、しょぼくれていたサムだが不意に逆襲に出た。
「じゃあさ、もしリジーが怪我してたら俺が責任取るの?」
「おまえはだめだ。オレが取る」
「生涯?」
「そうだ」
何の迷いもなく即答され、リジーの心臓が跳ねた。
少し落ち着いた顔が、また熱を帯びたのがわかった。
「クロウ、隣りで赤くなってる人がいるよ。自分の意味深発言に気づいてないの?」
「え?」
「生涯責任とるとか、無自覚で罪作りだな。からかっただけなのに、大真面目で答えやがって……」
サムがため息を漏らす。
見下ろされるジョンからの視線に、リジーは慌てて俯いた。
話の流れで、ただそう言っただけで、きっと他意はないのだろうと自分に言い聞かせる。
サムは、含みのある笑みを浮かべながら、表情を変えないジョンにとどめの一撃。
「リジーに責任なんて取らなくてもいいって、拒絶されたらどうする?」
「……」
今度は明らかにジョンが動揺し、呆然と固まっている。
「あ、っとごめん」
サムはジョンの耳元でさらに声をひそめて言った。
「おまえ、リジーを落とす気でいんの?」
サムの下腹部に、ジョンの鉄拳がくい込んだ。
「痛、てぇ~」
リジーは目を丸くして、ジョンとサムを交互に見た。
「あ、リジー、心配しなくても大丈夫だよ。じゃれてるだけだから……実はあまり痛くないんだ。俺、鍛えてるし、こいつはダメージを与えない殴り方知ってるから」
おろおろしているリジーに、サムは涙目でフォローした。
(ダメージを与えない殴り方ってあるの?)
リジーの眉がピクリと動いたのを見たジョンが、ばつの悪そうな顔をする。
「あ~じゃあ、ふたりとも待ってて。おわびに特製タコスをサービスするよ! テイクアウトだよね」
サムはそそくさと店の中に戻って行った。
ジョンはというと、堂々とテラス席に入ると、残りのパラソル3本をすべて引き抜いて閉じると床に置いた。
「固定する金具が全部緩んでる。全く……」
ジョンが何やらぶつぶつ言っているのが聞こえて来た。
リジーはその様子をただ気が抜けたように、目に映しているだけだった。
パリパリしたタコシェルに細切りのチーズとレタス、刻んだトマト、香辛料の効いた炒めた挽肉が挟んであるタコスが、たまに食べたくなる。
<タコガーデン>の前を通るたびに寄ろうと思っていたのだが、いつもタイミングが悪い。
買い物帰りで荷物がいっぱいだったり、明らかに店が激混みだったり。
リジーは今日こそは、と<タコガーデン>の前に立っていた。
(サムには気を付けてってジョンに言われたけど、だからって店に行っちゃいけないってことは、ないもんね。別にジョンに断らなくても良いはず)
あのクッキーを渡した日から数日が経っていた。ジョンと会話する機会もなく、店の前を通るときに顔が見えればお互い挨拶はしたが、ジョンはリジーの近くに寄っては来なかった。
(午後から家具のから拭きのお手伝いをしようかな)
<タコガーデン>の店内の様子を外から眺めると、昼前なのでまだ客はまばらだった。
「リジー! ようやく来てくれたんだ!! 嬉しいな。あれ? ひとり? クロウは?」
いつの間にか先日会ったサムが、外のテラス席の方に出てきていた。
似合わないと思っていた若草色のTシャツが、今日は目が慣れたせいか違和感が無い。
陽に透けるようなサムの金髪がキラキラしていて、見惚れるほど綺麗だった。
「こんにちは、サム。ジョンはいません……私ひとりです」
「そう。ここに来るってクロウに言ってある?」
「え? ジョンには言ってないです」
「じゃあ、一応クロウも呼ぶかな。電話してくる」
「どうして? 私が店に来たらジョンを呼ばないとないんですか?」
「いや、俺がおもしろいから」
サムがなぜだかニヤニヤしている。
(おもしろいって、なにが?)
「店の中で待ってて……」
「いいえ、外で待ってます」
「OK!」
サムが店に戻ったのを見て、リジーはため息を吐いた。
(サムって顔は良いけど、なんか変な人? なんでジョンに電話して呼ぶの? ジョン、お店を放って来るのかな? 迷惑かけちゃった?)
ジョンはサムに自分の事をなんて説明したのだろうか。
リジーは待っている間、店の外観を見渡していた。
クリーム色の塗り壁に、オレンジ色の日よけとガーデン席の赤いパラソルが映える明るい印象の店だ。
風に植栽が揺れている。今日は風が強い。たまに突風が吹き、砂埃が舞い上がる。
リジーの脇を通り過ぎて、小学生の低学年くらいの女の子と手をつないだ父親が、楽しそうに店に入って行く。
自分は父の手のぬくもりを覚えていない。一緒に過ごした記憶は頭の中に残っているはずなのに。
いつか科学技術が進歩して、脳に蓄積された記憶がすべて見られるようにでもなったら見てみたい。
父との思い出のすべてを。
突然、リジーの近くで突風が吹いた。
「うわ! すごい風……」
「リジー!! しゃがめ!」
「!?」
訳がわからないままリジーは緊迫した声に従ってその場にしゃがみ込む。
明るさを遮る影。バサバサと大きな音。
バサッ! 誰かに頭を守るように覆いかぶさられた。
ガシャッという物が落ちる音。
「リジー、大丈夫か!?」
「ジョン……?」
「どこも痛くないか?」
真剣な眼差しのジョンがリジーの頭を撫でながら、顔を覗き込んで聞いてくる。
まだわけがわからないリジーがボーっとしていると、両方の上腕をジョンに掴まれその場に立たせられた。
ジョンの大きな掌がリジーの頭を耳を頬をポンポンと撫で、同じように首、肩、腕、手まで確認する。
そして、両腕が後頭部と背中に回り、
(え? 身体チェック? ちょっと待って、子供じゃないんだから!)
抱きしめるような体勢で撫でられた。
リジーは、緊張して棒立ちのままだった。
顔が熱くなって、鼓動が限界まで早くなる。
「だ、大丈夫。どこも痛くないから……だから……」
「良かった……」
背中に回ったままのジョンの腕に軽くギュッとされ、リジーの頬はジョンの胸に当たった。
(!!! か、硬いんだ。男の人って……)
ジョンの胸に抱きしめられたリジーの感想はこれだった。
「クロウ、心配なのはわかるけどさあ、さすがに触りすぎじゃね? はたから見てると危ない。まあ、子リスちゃん相手だからいやらしい感じはしないけどね」
外に出てきておそらく一部始終を見ていたサムが、口角を上げ冷やかす。
「サム……」
ジョンは頭から湯気が出そうなリジーを優しく離しながら、平然とサムに向き直ると睨みつけた。
「クロウ、腕、大丈夫か?」
サムは何食わぬ顔をしている。
「大丈夫だ」
ジョンの声が低く響く。
「腕?」
リジーが足元を見ると、テラス席にあった赤いパラソルが落ちている。
風で飛ばされて自分に降ってきたのをジョンが腕で払いのけてくれた?
パラソルの柄の部分が直撃していたらと思うとヒヤッとする。
(ジョンは私を庇ってくれたんだ。腕に当たったの? 大丈夫かな)
いつもと違う大きな透る声で自分の名前を呼ばれたのを思い出し、リジーの胸は高鳴った。
「いやあ、さすが空手の達人! パラソルも敵じゃなかったか」
「サム!!」
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「ふざけるな!! リジーが怪我したらどうするつもりだったんだ! 風の強い日は外のパラソルは危ないから閉じるか撤去しろ! 副店長なのに目配りが足りない。責任問題だぞ!!」
強い口調でジョンにガミガミ言われて、しょぼくれていたサムだが不意に逆襲に出た。
「じゃあさ、もしリジーが怪我してたら俺が責任取るの?」
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「生涯?」
「そうだ」
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話の流れで、ただそう言っただけで、きっと他意はないのだろうと自分に言い聞かせる。
サムは、含みのある笑みを浮かべながら、表情を変えないジョンにとどめの一撃。
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「……」
今度は明らかにジョンが動揺し、呆然と固まっている。
「あ、っとごめん」
サムはジョンの耳元でさらに声をひそめて言った。
「おまえ、リジーを落とす気でいんの?」
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おろおろしているリジーに、サムは涙目でフォローした。
(ダメージを与えない殴り方ってあるの?)
リジーの眉がピクリと動いたのを見たジョンが、ばつの悪そうな顔をする。
「あ~じゃあ、ふたりとも待ってて。おわびに特製タコスをサービスするよ! テイクアウトだよね」
サムはそそくさと店の中に戻って行った。
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