失格冒険者の傭兵戦記

Wolf cap

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第12話 傭兵、リスタート

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「ついたよ、あれが【学園都市】ケイレスだ」

ここは学園都市が一望できる丘の上だ。
フリーデルが指さした先には巨大な都市が広がっている。

「凄い大きな街だな」

巨大な建築物が3つ、それを取り巻く沢山の建物。
そしてそれらを囲む巨大な城壁。
なんて巨大な城郭都市なんだ。

「あの街の市街地に新拠点をとったから、しばらく学園都市が仕事の拠点になるよ」

「「うぃーい」」

気だるそうにアルフレッドとクラウンが返事した。

「シャキッとしろー」

フリーデルがジト目で言う。
俺達は丘を下って行った。




検問所を越えて市内に入る。

「ここが学園都市のメインストリート」 
「ずーっと奥に見える大きな建物が魔術師学校だ」

「ここには初めて来たなぁ」

クラウンが辺りを見渡しながら言った。

「俺は前回のミッション中に寄ったから少し土地勘があるぜ」

「私もここの魔術学部卒業してるからなー」

「嫌な思い出ばっかだけど」とフリーデルが苦笑する。

するとメイド服の女性が1人、こちらへ向かってきた。

「お待ちしておりましたお嬢様」

「お勤めご苦労、ジークリンデ」

フリーデルはメイドの肩を軽くたたいて労った。

「お嬢様、そちらの御方は?」

メイドが俺を見て首を傾げている。

「ああ、彼はアキラ」
「ついさっき我が【黒い窓】に入団したんだ」

「えぇ……そんな簡単にいいんですか?」

「大丈夫だ、彼は信用できる」 

「まあ、お嬢様が言うなら信じますけど……」

メイドはこちらを向いて丁寧にお辞儀をした。

「私は【黒い窓】でお嬢様の護衛兼メイドをしております、傭兵ジークリンデと申します」

「ご丁寧にありがとう、俺はアキラ、よろしくな」

「ええ、よろしくお願いします」

挨拶を交わすと彼女は俺たちを新拠点まで案内した。

メインストリートをぬけて路地に入る、細い道路に沿って並ぶ建物のひとつを指してジークリンデは言った。

「あちらが新しい拠点となります」

レンガ作りの小さめのビルみたいだ。

「ほう、我々にふさわしい立地じゃないか」

フリーデルが満足気にうなずいている。

「少し交通の便が悪い気がするがな」

「隠密生が高い、職業的にうってつけだ」

不満気なアルフレッドにクラウンが言った。

「団員諸君!それでは荷物を移すよー!」

「それが終わったら『新拠点引越し祝い』と『新団員入団祝い』だ!」

「「「いええぇぇぇぇぇぇぇいッ!」」」

みんなが歓声を上げる。
笑顔ってすごいな。見ているだけで元気をくれる。
俺も歓声を上げた。





新拠点となる建物はたくさんの部屋があった。
一番大きい部屋をミーティングルームに、その他の小さな各部屋を個室や倉庫として使うようだ。





ー自室ー

ほとんどの荷物をディーク村に置いてきてしまったので。俺の部屋はとても殺風景だ。
元々置いてあった質素なベットと机しかない。
手持ちの荷物を机の上に置いてみる。

・オートマチック・テミウス
・ナイフ
・弾薬21発
・応急処置キット×1
・謎のランタン

あの戦闘中に出現したランタン。
頭の中に浮かんだ言葉を唱えたら魔法のような技が発動した。

『限虚の扉』

でもあれは魔法じゃない。
なんだろう……もっと膨大で、恐ろしいほどの力がこのランプから湧き出ていた。
……一体これは━━━━━━

「やあやあアキラくん、後でミーティングルームにきてくれないか」

突然の声にドッキリする。
入口からフリーデルがちょこんと顔を出している。
さっきまで流していた金色の髪を大きなリボンで結んでいる。

「ああ、見ての通り荷物ほぼ無いんで今からでいいよ」

「そうか、じゃあ用事が済んだら買ってくるといい」



ーミーティングルームー

「じゃあアキラに支給品を渡すよー」

大きな円卓の上に置かれたものを見た。

「これがうちの制服だ」


メイド服のジークリンデ以外の3人が着ていたやつだ。
黒を基調としたフード付きのマント。
胸部のみ鉄の装甲が着いている。

「これは【夜影のマント】」
「受けるダメージを軽減する魔法と離れた仲間と会話出来る魔法」
「さらに隠密性を高めるために気配を消す魔法もかかってるよ」

すごいマントだな。

「次は初任給だ」

フリーデルは金貨を100枚分の価値のある白金貨を渡してきた。

「こ、こんな大金良いのか!?」

「うちは団員の強化に金を惜しまないんでね」
「それで強力な武器を買ってくれ」

「……分かった」

フリーデルはパチンと手を叩いて言った。

「よし!渡すものは以上だ」
「街に出ても良いが、夕方までには戻ってきてくれ」
「みんなで宴だ」

「了解」
「それじゃあ、武器屋に行ってくるよ」

「オッケー」


「最後に一つ」

フリーデルは真面目な口調で言った。

「アキラはこれまでに仲間と戦ったことはあるか?」

「そういえば、1度も無いな」

「やっぱりか……そういう顔をしている」

「そういうのってわかるんだ」

「ああ、これでも人を見る目はある」

フリーデルは一層強い口調で言った。

「あの基地での戦いで君の心は酷く傷ついただろう」
「だが、 君の心の傷口は仲間が埋めてくれる」
「うちの団員はきっとその傷を埋めれる、みんな素晴らしい人間だ」
「私もその1人だ、だからこれからは私を信じて、ついて来て欲しい」

フリーデルはニッと爽やかに笑う。

「ああ、お嬢の事はとっくに信用し切ってるよ」

「あ!私のこと『お嬢』って呼ぶことにしたんだ」

「『新しい仲間』にならってね」

笑ってそう言った。

「フフッ、じゃあ改めてよろしくアキラ」

「こちらこそ、お嬢」

胸が暖かくなっていくのを感じながら【夜影のマント】を羽織った。





楽しい事、辛い事、嬉しい事、悲しい事。
俺はこの先沢山の感情を味わっていくのだろう。

「さあ、これから俺はどんな人生を送るんだろうな」

今の俺には【黒い窓】の仲間がいる。
ああ、これこそが『本当の強さ』だったのだ。

大丈夫、大丈夫だ。
この仲間たちと共に行けば未来はきっと明るいんだから。


[完]
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