さらば俺の愛しき義弟(おとうと)

宮部ネコ

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第一章

12.カウントダウン

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 その後夜の回数が減った。俺は別に大丈夫なのに。
「倒れられたりしたら迷惑なんだよ」
 と言う。
 また倒れたりして、入院とかになったら大変だから仕方ないとは思う。でもやっぱり寂しかった。馬鹿みたいにバイトを入れた自分のせいなのに。

 家を出るまで半年をきって、その間何回できるかを指折り数える。
 そんなことをしていたら、苦しくて、つらくて、茄治に普通の顔ができそうにない。

「最近控えめじゃない?」
「そんなこと」
「疲れてるんじゃない?」
「そんなことない」
 そうじゃないんだ。
「本当に?」
 俺は肯く。
「あんたいつも無理するから」
「無理なんか」
 してない。ただ、茄治の切れ長の目も、俺を罵る口も、俺に触れる手も、俺の中に入れるものも、体も、心も全部欲しくてたまらない。

 他の誰にも渡したくない。
 それが無理なら、せめて抱いて。俺をめちゃくちゃにして。
「もっと、して」
 つい口から出た。
「もっといじめて」
 言ったら、うれしそうに茄治の口元が上がる。
「煽んなよ」
 いつもよりもっと強く攻めてくれた。
「兄さんはどうしようもないね」
 親にバレるかもしれないのに、電気をつけて、なめまわすように見られる。ちょっとつねられただけで感じる乳首や、熱を放ってる雄や、ぐちょぐちょにかき回された後孔を明かりの下でさらされるんだ。
 恥ずかしいのに、それが快感で。
「あぁあっ」
 声も出せないのに。
「やらしい顔してさ」
 見せるのは茄治だけなんだ。

 何度も寸止めされ、後ろだけでいかされ、前で達したときはもう絶叫するくらいやばかった。枕を咥えても聞こえるほど。
「声おさえてって」
 唇を塞がれながら思う。茄治の舌も全部俺のものに。
「痛っ」
「ごめん」
 つい茄治の舌を噛んでしまって、慌てて口を離す。
「責任取って」
 また押し倒された。二度もやってたら、眠れなくなる。

 次の日の授業中はほとんど寝てた。
 教師には勉強する気ないなら帰っていいなんて言われたけど。
 放課後授業が終わったのにも気付かなくて、肩を叩かれた。
「まだ寝てんの?」
 茄治だと気付いて慌てて顔をあげる。教室には他に誰もいなかった。
「バイトは?」
「あっ。今何時?」
「4時半」
 5時からだった。学校からは自転車で十分。でも、帰ってる暇はない。
「そのまま行く」
「眼鏡何で外してるの?」
 あっと思って慌ててする。机から落ちてなくて良かった。
「隙だらけなんだよ」
 何を言ったか聞こえなくて、聞き返した。
「なんか言った?」
「別に」
 何故か髪の毛を撫でてくる。
「気をつけなよ。あんたボヤッとしてるから」
「え?」
「働き過ぎて倒れんなよ」
 茄治はそれだけ言って行ってしまう。心配してくれたんだろうか。
 昨日やり過ぎたせいかもしれない。

 バイトから帰ったら茄治はもう寝てた。今日はないのかってちょっと残念だった。
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