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レナードが会いに来た
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「あら楽しそうね?」
晩餐中に母が言う
「えっ?わたくしのこと?」
「外出が楽しかったようね、貴方の口から何があったかを聞きたいのよ?」
母は全てを知っているようだが、ミレイユの口から聞きたいと言った
「レナード様と道中でお会いして…一緒に散策をしたり果実水をご馳走になったり、リボンとブックカバーをプレゼントしていただきました」
「それだけ?何かお話はしなかったの?」
「えっと…」
考えて話をし出すミレイユだが
…きみの心に寄り添いたい
と言う言葉が思い出され、顔が赤くなる
「顔が赤いわ、何があったの?」
母が意地悪そうな顔を見せる
「なにもありませんっ!」
「ふーん、そうなの?楽しかった?」
「はい、楽しかった、です」
「先ほどお手紙を頂いたわ、また近いうちに貴女に会いに来るらしいわよ」
「…はい」
その言葉通りにレナードはミレイユに会いにきた
「ミレイユ、この間は急だったけど楽しかったよ、会いにきた」
「レナード様、ようこそいらっしゃいました」
ドレスを着てレナードを迎え入れた
「ドレスの裾が長いね、残念」
くすくすと笑い出すレナード
「あれはっ、街歩き用に、侍女に」
顔を赤くして抗議するミレイユ
「分かっているよ、冗談だ、今日のドレスとても似合っているね、先日のようなワンピースも可愛いけど、ミレイユは何を着ても似合ってしまうんだね」
「そんな事…」
耳まで赤くなってしまう、ミレイユは褒め慣れていない
こそっと侍女に耳打ちされるミレイユ
「お嬢様、お部屋にご案内を…」
「あっ!やだ申し訳ございませんでした、応接室にご案内します」
あわてるミレイユを見てレナードは微笑む
「うん、そうしよう」
応接室に入りソファに腰掛ける
「レナード様、先日はありがとうございました、リボンとても気に入りました」
ミレイユの髪にはレナードからプレゼントされたリボンが…
「似合っているね、ミレイユがこのリボンに目を奪われていたからね、つけてくれて嬉しいよ」
まるで桜の様な繊細なピンクだ
「この前の散策は楽しかった、久しぶりにのんびりと出来た、街歩きは息抜きに良いね」
「はい」
…妃教育で息苦しかったときに、非現実的な場所へ行きたくてルイに街へ連れて行ってもらったことを思い出した
「今日も実は行きたいところがあって、ミレイユを誘いに来たんだ」
レナードに言われ、首を傾げる
「どこへ?」
「行ってからのお楽しみだよ、夫人には了承を得ているから、行こうか?」
レナードによって外出の許可も取られていた、一体どこへ連れて行かれるのだろう?
レナードの馬車に乗ると小高い丘まで来た
「ここだよ、侯爵に教えてもらったんだけど見晴らしが良いんだってさ」
「すごい…」
「あそこの川を挟むと、隣国だろ?俺の領地になるんだ、近いだろ?」
「レナード様の?」
「兄上が王太子になるだろ?俺は気楽な三男だから臣下に降る、領地が与えられて、王都と行き来はするけど、兄上を支えていくって事、フランク侯爵領とは川を挟んで隣だ、国同士の仲は安定しているし、争いは今まで無い、国同士支え合っている関係だ」
「はい」
「温暖な地域で穀物も育つ、鉱石も取れるし王家の領地を貰い受けた」
「そうなんですね」
ミレイユの手を取り、木陰へと移動する
「お茶の支度が出来た、気楽に話をしよう」
「は、うん」
「俺は新公爵として名乗ることになるんだよ」
「うん」
「ミレイユはさ、クロヴィスと婚約をしていて何は王家へと嫁ぐ事になっていたよね?」
「…うん」
「単なる貴族に嫁ぐのは嫌か?」
「どう言う意味ですか?」
「俺と婚約して欲しい」
「…レナード様とわたくしなんかとでは釣り合いが取れません、大勢の前でバカにされるようなわたくしとでは…」
「それに対して腹が立っている…俺はミレイユがクロヴィスと婚約をする前に侯爵にミレイユと婚約したいと言っていたんだ、ずっと君を思っていた、仮の婚約までして」
「…それは、その、なんとお答えしたら良いか…」
戸惑うミレイユは少し引いている様にも思える
「勝手に好きだっただけだよ、気持ちを抑えていた。もうおさえないけどね」
「わたくしなんかを…」
「その言い方はどうかと思うぞ?俺が好きになった人を、なんかと言うのはやめてもらおう」
「でも…」
お茶を飲むレナードは洗練されている。
黒髪に金色の瞳、隣国の王家の家系であることがよく分かる。
優しい目つきはミレイユを安心させる
鍛えられた体躯に上着を肩にかけ、リラックスしていている
こんな素敵な人が自分を思ってくれているだなんて…
「昔お茶会で、知り合いもいなかったし、隣国の王子と言うことでみんな遠慮していてさ、俺も人見知りだったから、早く帰りたいと思っていたところにミレイユが話しかけてくれて、嬉しかったよ。弟が出来た!と嬉しそうに話をしたっけ」
「そんな昔のこと…」
「嬉しかったんだ、笑顔が可愛くて、些細な話だったけど夢中になって聞いた、今度会わせてくれる?ルイだっけ」
「うん」
「今も仲良いの?」
「自慢の弟なの、優しくて、思いやりがあって…離れたくないけど、ルイに迷惑をかけたくない、わたくしがいると遠慮する様な子だから…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コメントありがとうございます😭
とても励みになっています‼️
お返事が遅れて申し訳ございません💦
毎日更新の為一気に続きを書き上げて?いますので、引き続きお付き合いくださると嬉しいです。ランキングも上位に入らせていただきましたっ‼️ありがとうございますっ
晩餐中に母が言う
「えっ?わたくしのこと?」
「外出が楽しかったようね、貴方の口から何があったかを聞きたいのよ?」
母は全てを知っているようだが、ミレイユの口から聞きたいと言った
「レナード様と道中でお会いして…一緒に散策をしたり果実水をご馳走になったり、リボンとブックカバーをプレゼントしていただきました」
「それだけ?何かお話はしなかったの?」
「えっと…」
考えて話をし出すミレイユだが
…きみの心に寄り添いたい
と言う言葉が思い出され、顔が赤くなる
「顔が赤いわ、何があったの?」
母が意地悪そうな顔を見せる
「なにもありませんっ!」
「ふーん、そうなの?楽しかった?」
「はい、楽しかった、です」
「先ほどお手紙を頂いたわ、また近いうちに貴女に会いに来るらしいわよ」
「…はい」
その言葉通りにレナードはミレイユに会いにきた
「ミレイユ、この間は急だったけど楽しかったよ、会いにきた」
「レナード様、ようこそいらっしゃいました」
ドレスを着てレナードを迎え入れた
「ドレスの裾が長いね、残念」
くすくすと笑い出すレナード
「あれはっ、街歩き用に、侍女に」
顔を赤くして抗議するミレイユ
「分かっているよ、冗談だ、今日のドレスとても似合っているね、先日のようなワンピースも可愛いけど、ミレイユは何を着ても似合ってしまうんだね」
「そんな事…」
耳まで赤くなってしまう、ミレイユは褒め慣れていない
こそっと侍女に耳打ちされるミレイユ
「お嬢様、お部屋にご案内を…」
「あっ!やだ申し訳ございませんでした、応接室にご案内します」
あわてるミレイユを見てレナードは微笑む
「うん、そうしよう」
応接室に入りソファに腰掛ける
「レナード様、先日はありがとうございました、リボンとても気に入りました」
ミレイユの髪にはレナードからプレゼントされたリボンが…
「似合っているね、ミレイユがこのリボンに目を奪われていたからね、つけてくれて嬉しいよ」
まるで桜の様な繊細なピンクだ
「この前の散策は楽しかった、久しぶりにのんびりと出来た、街歩きは息抜きに良いね」
「はい」
…妃教育で息苦しかったときに、非現実的な場所へ行きたくてルイに街へ連れて行ってもらったことを思い出した
「今日も実は行きたいところがあって、ミレイユを誘いに来たんだ」
レナードに言われ、首を傾げる
「どこへ?」
「行ってからのお楽しみだよ、夫人には了承を得ているから、行こうか?」
レナードによって外出の許可も取られていた、一体どこへ連れて行かれるのだろう?
レナードの馬車に乗ると小高い丘まで来た
「ここだよ、侯爵に教えてもらったんだけど見晴らしが良いんだってさ」
「すごい…」
「あそこの川を挟むと、隣国だろ?俺の領地になるんだ、近いだろ?」
「レナード様の?」
「兄上が王太子になるだろ?俺は気楽な三男だから臣下に降る、領地が与えられて、王都と行き来はするけど、兄上を支えていくって事、フランク侯爵領とは川を挟んで隣だ、国同士の仲は安定しているし、争いは今まで無い、国同士支え合っている関係だ」
「はい」
「温暖な地域で穀物も育つ、鉱石も取れるし王家の領地を貰い受けた」
「そうなんですね」
ミレイユの手を取り、木陰へと移動する
「お茶の支度が出来た、気楽に話をしよう」
「は、うん」
「俺は新公爵として名乗ることになるんだよ」
「うん」
「ミレイユはさ、クロヴィスと婚約をしていて何は王家へと嫁ぐ事になっていたよね?」
「…うん」
「単なる貴族に嫁ぐのは嫌か?」
「どう言う意味ですか?」
「俺と婚約して欲しい」
「…レナード様とわたくしなんかとでは釣り合いが取れません、大勢の前でバカにされるようなわたくしとでは…」
「それに対して腹が立っている…俺はミレイユがクロヴィスと婚約をする前に侯爵にミレイユと婚約したいと言っていたんだ、ずっと君を思っていた、仮の婚約までして」
「…それは、その、なんとお答えしたら良いか…」
戸惑うミレイユは少し引いている様にも思える
「勝手に好きだっただけだよ、気持ちを抑えていた。もうおさえないけどね」
「わたくしなんかを…」
「その言い方はどうかと思うぞ?俺が好きになった人を、なんかと言うのはやめてもらおう」
「でも…」
お茶を飲むレナードは洗練されている。
黒髪に金色の瞳、隣国の王家の家系であることがよく分かる。
優しい目つきはミレイユを安心させる
鍛えられた体躯に上着を肩にかけ、リラックスしていている
こんな素敵な人が自分を思ってくれているだなんて…
「昔お茶会で、知り合いもいなかったし、隣国の王子と言うことでみんな遠慮していてさ、俺も人見知りだったから、早く帰りたいと思っていたところにミレイユが話しかけてくれて、嬉しかったよ。弟が出来た!と嬉しそうに話をしたっけ」
「そんな昔のこと…」
「嬉しかったんだ、笑顔が可愛くて、些細な話だったけど夢中になって聞いた、今度会わせてくれる?ルイだっけ」
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