【完結】ツンな令嬢は婚約破棄され、幸せを掴む

さこの

文字の大きさ
20 / 20

【完結】ご挨拶

しおりを挟む
学園が始まる前にエクトルが挨拶に来た

「初めましてバシュレ伯爵、私はエクトル・グリントです」
にこりと笑うエクトル
「グリント侯爵、ようこそいらっしゃいました。お会いできるのを楽しみにしていました」

握手をする二人にアイリーンはドキドキが止まらない…
「アイリーン嬢と婚約させて貰いました、急なお願いを聞いていただいてありがとうございました」

…わぁ!エクトル様カッコいい
父マクシミリアンと物怖じなく話をする姿が立派である。
まだ若く二十歳になったばかりだと言う。
若くして侯爵を継ぐだけある…
黒髪をオールバックに整えて、いつもより大人に見える…

話は盛り上がっている様だ…良かった
「家族を紹介させて下さい」
マクシミリアンが執事に目を向ける、すると母オルガ兄ラウル姉シュゼットが順番に紹介される。皆笑顔で迎えてくれた。
セドリックの話になり、領地の話になり出会いの部分は少しぼやかし、和気藹々と歓談は進んだ。
「アイリーン、侯爵様にお庭をご案内したら?」
母に言われ案内することにした

「エクトル様ごめんなさい、疲れたでしょう?みんなからの質問攻めで…」
アイリーンが申し訳なさそう言うと
「いや、楽しかったよ、私は一人っ子だから賑やかで羨ましい」
「そう言ってくれたら嬉しい…」

今日のアイリーンの衣装は侍女に用意されたグリーンのワンピースだった
「さっきから気になってたんだけど、今日の衣装の色って…」
エクトルの瞳の色だ
「エクトル様の瞳の色を…」
顔を赤くする…恥ずかしい…明らかに狙っている

「…嬉しいもんだな似合っている、今度ドレスをプレゼントしても良い?」
「うん、嬉しいです」
目が合いふふと笑い合い手を繋ぐ、外がガヤガヤと煩くなってきた…
「何かしら?」
エクトルと共にエントランスへ向かうとフランクがいた
「アイリーンに会わせてください!帰ってきているんでしょう?」
護衛がまたか、と言う顔をして追い払おうとしている
「アイリーン?」
ゾッとした顔をするアイリーンに声をかけるエクトルがギュッと手を繋いで共にエントランスへと向かう
「アイリーン!」
アイリーンの顔を見て叫ぶフランク

「…だれだ、その男?」
機嫌悪そうにエクトルを睨む

「やぁ!アイリーンの元婚約者殿、アイリーンを手放してくれて感謝するよ、今は私の婚約者となったんだ、ねぇアイリーン」
アイリーンと繋いでいる手にキスをするエクトルに幸せそうに微笑むアイリーン

「はぁっ?俺と言うものがありながら、浮気か!アイリーン!」
フランクが叫ぶ

「何を言っている?婚約は破棄されているだろう?君が望んだ事だと聞いているよ…」
エクトルが呆れた口調で返す

「自分の浮気を棚に上げて、私の事を弾糾するなんて…アイリーンを返せ」

…何を言っているのだこの男は
…本当に幼馴染のフランクだろうか?
小さい頃は優しく勉強家で皆んなに慕われていたはず…
どうしてこうなった?分からない
頭をふるふると振るアイリーン

「おまえはっ、俺のことを好きだっただろう!だからエイプリルに嫉妬してだろう!少し外側が変わったからと言って中身は可愛くないままだ!」

「アイリーンを侮辱するのはよせ」
ジロリとフランクを睨むエクトル

「アイリーンと話をさせろ」

「アダムス様、どうぞお帰りください。
貴方と過ごした長い年月が苦だったと思いたくないのでこれ以上嫌いにさせないで!
エイプリルを巻き込んだのだから、幸せにしてあげて下さい」
頭を下げるアイリーン

「アイリーン何を言う、おまえは私が好きだっただろう!」

「…そうだったかもしれません、私は恋というものをよく分かっていませんでした」

「それならっ!」

「アダムス様は愛する人を見つけたと仰いました、とても悲しかったですけど、愛する人といられるのはとても幸せなことなんですね、最後に貴方に教えていただきました。
私はこちらのエクトル様と一緒に居たいのです」
ギュッとエクトルの手を繋ぎ直し笑顔でエクトルを見ると笑顔で頷いてくれた

「フランク殿と仰ったか?私はグリント侯爵家のエクトルと言う、今後一切の名を呼び捨てにしない様に、それとこの家には二度と来るな、良いな?」
笑顔だが威圧するような物言いだ

「グリント侯爵家……」

さぁ…っと顔を青褪めるフランク
アダムス伯爵はグリント前侯爵に色々と領地経営についての教えを乞うていた、頭が上がらない家であった…

「アダムス様、婚約を破棄してくださって本当にありがとうございました、エクトル様と出会えたのは貴方のおかげだわ」

にこっと笑うの顔はとても綺麗だった…
逃した魚は大きいとよく言うが意気消沈と帰っていった

「はぁ、スッキリした!」

うーんと体を伸ばすアイリーン
初めてフランクに自分の思いを伝えた様な気がする。
今まではウジウジと思っていても拗ねてばかりだった。
幸せを掴むためには本心を…素直にならなくては逃げていく

「ぶっ、くっくっく…やっぱりアイリーンは面白いな、婚約を破棄してくれた彼には感謝だ」

くるっとエクトルの方に体を向き
「幸せにして下さいね、エクトル様」
「もちろん」


エクトルがアイリーンの頬にキスをするのをこっそりと家族が見ていた事をアイリーンは知らない…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


       【完】




しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

行動あるのみです!

恋愛
※一部タイトル修正しました。 シェリ・オーンジュ公爵令嬢は、長年の婚約者レーヴが想いを寄せる名高い【聖女】と結ばれる為に身を引く決意をする。 自身の我儘のせいで好きでもない相手と婚約させられていたレーヴの為と思った行動。 これが実は勘違いだと、シェリは知らない。

年下の婚約者から年上の婚約者に変わりました

チカフジ ユキ
恋愛
ヴィクトリアには年下の婚約者がいる。すでにお互い成人しているのにも関わらず、結婚する気配もなくずるずると曖昧な関係が引き延ばされていた。 そんなある日、婚約者と出かける約束をしていたヴィクトリアは、待ち合わせの場所に向かう。しかし、相手は来ておらず、当日に約束を反故されてしまった。 そんなヴィクトリアを見ていたのは、ひとりの男性。 彼もまた、婚約者に約束を当日に反故されていたのだ。 ヴィクトリアはなんとなく親近感がわき、彼とともにカフェでお茶をすることになった。 それがまさかの事態になるとは思いもよらずに。

人生七回目、さすがにもう疲れたので好きに生きます

木崎優
恋愛
公爵令嬢クラリスは人生を繰り返している。始まりはいつも五歳からで、終わりは十六歳。 婚約者のハロルドに婚約破棄を言い渡されたその場で、意識が途切れる。 毎回毎回ハロルドの横には同じ令嬢がいた。 彼女に取られないように努力したクラリスだが、結果は変わらない。 そうして繰り返すこと六回目。お決まりの婚約破棄の言葉と共に、意識が途切れた。 「なんかもう、いいや」 諦めの境地に達したクラリスは、七回目の人生はハロルドに愛されようと努力するのをやめて好きに生きることにした。

【完結】愛してるなんて言うから

空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」  婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。  婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。 ――なんだそれ。ふざけてんのか。  わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。 第1部が恋物語。 第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ! ※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。  苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。

私だってあなたなんて願い下げです!これからの人生は好きに生きます

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のジャンヌは、4年もの間ずっと婚約者で侯爵令息のシャーロンに冷遇されてきた。 オレンジ色の髪に吊り上がった真っ赤な瞳のせいで、一見怖そうに見えるジャンヌに対し、この国で3本の指に入るほどの美青年、シャーロン。美しいシャーロンを、令嬢たちが放っておく訳もなく、常に令嬢に囲まれて楽しそうに過ごしているシャーロンを、ただ見つめる事しか出来ないジャンヌ。 それでも4年前、助けてもらった恩を感じていたジャンヌは、シャーロンを想い続けていたのだが… ある日いつもの様に辛辣な言葉が並ぶ手紙が届いたのだが、その中にはシャーロンが令嬢たちと口づけをしたり抱き合っている写真が入っていたのだ。それもどの写真も、別の令嬢だ。 自分の事を嫌っている事は気が付いていた。他の令嬢たちと仲が良いのも知っていた。でも、まさかこんな不貞を働いているだなんて、気持ち悪い。 正気を取り戻したジャンヌは、この写真を証拠にシャーロンと婚約破棄をする事を決意。婚約破棄出来た暁には、大好きだった騎士団に戻ろう、そう決めたのだった。 そして両親からも婚約破棄に同意してもらい、シャーロンの家へと向かったのだが… ※カクヨム、なろうでも投稿しています。 よろしくお願いします。

【完結】あなたに抱きしめられたくてー。

彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。 そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。 やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。 大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。 同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。    *ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。  もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。

婚約破棄ですか?勿論お受けします。

アズやっこ
恋愛
私は婚約者が嫌い。 そんな婚約者が女性と一緒に待ち合わせ場所に来た。 婚約破棄するとようやく言ってくれたわ! 慰謝料?そんなのいらないわよ。 それより早く婚約破棄しましょう。    ❈ 作者独自の世界観です。

殿下、毒殺はお断りいたします

石里 唯
恋愛
公爵令嬢エリザベスは、王太子エドワードから幼いころから熱烈に求婚され続けているが、頑なに断り続けている。 彼女には、前世、心から愛した相手と結ばれ、毒殺された記憶があり、今生の目標は、ただ穏やかな結婚と人生を全うすることなのだ。 容姿端麗、文武両道、加えて王太子という立場で国中の令嬢たちの憧れであるエドワードと結婚するなどとんでもない選択なのだ。 彼女の拒絶を全く意に介しない王太子、彼女を溺愛し生涯手元に置くと公言する兄を振り切って彼女は人生の目標を達成できるのだろうか。 「小説家になろう」サイトで完結済みです。大まかな流れに変更はありません。 「小説家になろう」サイトで番外編を投稿しています。

処理中です...