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リアンの決心と侯爵夫妻
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~リアン視点~
「……成程。前向きにね」
侯爵に睨まれてしまった……俺も人のことは言えずに優柔不断なのかもしれないな……
「……断るつもりでしたが、相手は中々手強くて落ちてしまいました。もちろん今すぐにとは言いませんのでマリアと将来を約束したいと思います。お許し頂けますか?」
……無言の圧力。愛娘の結婚の話だもんな……
「決めたのならば、もう断るとかそう言うマイナス要素は言ってほしくありません。卒業は必ずさせたいです。そして必ず幸せにすると誓って下さい。貴方が救ったマリアベルの命です責任をもって幸せにして下さい。それを守っていただけるのなら……嫌々ですが……マリーの為を思って許可します」
渋い顔をしているよな……
「はい。誓います」
もう抗うのはやめよう……
「……婚家にはうちの使用人も数人連れて行って欲しいです。なんせ他国に嫁に出す事になり大公閣下の家だ。娘も(私たちも)不安になるでしょう……それを考えると今から胸が張り裂けそうだ」
胸に手を当て苦しそうにする侯爵。
「諜報員ならそう言って下さいよ……構いません。マリアについている侍女にメイドも侯爵家の暗部の者なんですよね……」
表向きは普通の使用人に見えるけれど、武器を隠し持っている。ふとした時にバランスが妙に違う。急に後ろに立たれていた時もあった。うちの使用人も只者ではないと言っていた。
「知っていましたか……諜報といってもマリーの事を守ってくれますし、流石に大公家のことを嗅ぎ回ることはいたしません。マリーのことを報告させるくらいですよ。もし楽しいことに使うのならそれはそれで構いませんよ、どうぞお好きにお使いください。その時は報酬を弾んでやると彼女達のやる気に繋がりますよ」
……それは良いことを聞いたな。貴族内の情報を操作する必要があるときなどに使えそうだ。
それから話が終わり部屋を出ようとした。
一点の疑問が……
「侯爵はこうなる事を予測できていたのですか?」
あっさり認めすぎて拍子抜けした。この邸に招かれたのもマリアと俺の関係性を見たかったから?
「……結婚まではと思っていませんでした。しかし愛娘が望むなら仕方ないでしょう……ウジウジとしているやつは嫌いだし手のひら返しをしてくるやつももっと嫌いだ。貴方の婚約者と分かれば手を出してくる奴は居ないだろうから、貴方の存在を使うことにする。それだけで娘は守られる」
俺の身分は高い。
ジェラール殿下もいずれ臣下に降るだろうから同じような立場になる(ジェラール殿下は王弟だが)
「……あぁ、なるほど。早く家を継げという事ですか。その方が手出しはしにくいですね……両親には三十になるまで待ってくれ。と言っていたんですが、来年あたりに爵位を継げるように話を進めます。その時は侯爵家の皆さんも招きたいのでよろしくお願いします」
頭を下げた。
「理解が早くて感謝するよ」
******
「あら、卿とお話をされていたのですね」
執務室を出て行くリアンをメアリーが見た。
「あぁ、マリーは誰に似たんだろうか。姿形はメアリーに似ているのにね」
苦笑いをする侯爵。
「幼少期の性格が今後の人格を形成をすると本で読みましたわ。ヴェルナーが生まれた時に読んだ本です。マリーは生まれてから四歳までの記憶がないからうちに戻ってくるまでは卿に育てられたと言っても過言ではありませんわよね」
夫である侯爵の隣に腰掛けるメアリー。
「メアリーは寂しくないのか? マリーが隣国へ嫁ぐことになるんだ。私は考えただけで今から胸が張り裂けそうだよ……」
「あら……寂しいに決まってますわよ。でも好きな人と結婚できるなんて幸せでしょう? この機会を逃したら好きでもない人との結婚が王命で決まってしまうかも知れないのに……そんなの可哀想じゃない。私たちにはそれを阻止できる力があるのよ」
「……君に王命が下らなくて良かった」
「昔の話ですよ? 私には兄達がいたから……ペルソナ公爵家を敵に回すなんてそこまで王は愚かではなかったのね」
メアリーと結婚したい。と西の大国の王子が求婚していた時期があったそうだ。
他国になんて妹をやれるか!
西の大国なんて遠すぎるだろ!
王命を出すなら、国潰すぞ!
散々王を脅したようだ。意のない結婚はさせない。と王は西の大国と話し合いをさせられたようだ。
蓋を開ければもう婚約者はいて側妃だと言う事も分かった。更に激怒するペルソナ公爵家の兄弟だった。
「そうねぇ……もしあの時に嫁ぎ先が西の大国だったらヴェルナーもマリーもいなかったわね……それは困るわ」
「その後に私と出会ったんだよね……私で良かったのかと不安に思ったこともあった。マリーが攫われて君の元気がなくなった時は自分を責めたよ」
「あなたは気を強く持っていてさすがでした。私は生きているのが辛かった……ヴェルナーに救われたの」
「マリーの人生だ。マリーが好きなようにさせてやろう。もしダメでも戻ってくれば良いじゃないか! マリーに財産を渡しておこう。何かあって私達が死んでも一生暮らせるようにね」
「あら! それは良いわね。ヴェルナーに跡を継がせて私達は領地でのんびり暮らしましょう。すぐにマリーに会いに行けるもの」
「……良い考えだな。ヴェルナーはまだ相手がいないのか。困ったもんだね」
自分のことは棚に上げ言いたい放題な侯爵。
「あの子にも好きな人と結婚して欲しいから出逢ったらすぐよ。もう少し待ちましょう」
それから数年後ヴェルナーにも運命の相手が現れることになる。
「……成程。前向きにね」
侯爵に睨まれてしまった……俺も人のことは言えずに優柔不断なのかもしれないな……
「……断るつもりでしたが、相手は中々手強くて落ちてしまいました。もちろん今すぐにとは言いませんのでマリアと将来を約束したいと思います。お許し頂けますか?」
……無言の圧力。愛娘の結婚の話だもんな……
「決めたのならば、もう断るとかそう言うマイナス要素は言ってほしくありません。卒業は必ずさせたいです。そして必ず幸せにすると誓って下さい。貴方が救ったマリアベルの命です責任をもって幸せにして下さい。それを守っていただけるのなら……嫌々ですが……マリーの為を思って許可します」
渋い顔をしているよな……
「はい。誓います」
もう抗うのはやめよう……
「……婚家にはうちの使用人も数人連れて行って欲しいです。なんせ他国に嫁に出す事になり大公閣下の家だ。娘も(私たちも)不安になるでしょう……それを考えると今から胸が張り裂けそうだ」
胸に手を当て苦しそうにする侯爵。
「諜報員ならそう言って下さいよ……構いません。マリアについている侍女にメイドも侯爵家の暗部の者なんですよね……」
表向きは普通の使用人に見えるけれど、武器を隠し持っている。ふとした時にバランスが妙に違う。急に後ろに立たれていた時もあった。うちの使用人も只者ではないと言っていた。
「知っていましたか……諜報といってもマリーの事を守ってくれますし、流石に大公家のことを嗅ぎ回ることはいたしません。マリーのことを報告させるくらいですよ。もし楽しいことに使うのならそれはそれで構いませんよ、どうぞお好きにお使いください。その時は報酬を弾んでやると彼女達のやる気に繋がりますよ」
……それは良いことを聞いたな。貴族内の情報を操作する必要があるときなどに使えそうだ。
それから話が終わり部屋を出ようとした。
一点の疑問が……
「侯爵はこうなる事を予測できていたのですか?」
あっさり認めすぎて拍子抜けした。この邸に招かれたのもマリアと俺の関係性を見たかったから?
「……結婚まではと思っていませんでした。しかし愛娘が望むなら仕方ないでしょう……ウジウジとしているやつは嫌いだし手のひら返しをしてくるやつももっと嫌いだ。貴方の婚約者と分かれば手を出してくる奴は居ないだろうから、貴方の存在を使うことにする。それだけで娘は守られる」
俺の身分は高い。
ジェラール殿下もいずれ臣下に降るだろうから同じような立場になる(ジェラール殿下は王弟だが)
「……あぁ、なるほど。早く家を継げという事ですか。その方が手出しはしにくいですね……両親には三十になるまで待ってくれ。と言っていたんですが、来年あたりに爵位を継げるように話を進めます。その時は侯爵家の皆さんも招きたいのでよろしくお願いします」
頭を下げた。
「理解が早くて感謝するよ」
******
「あら、卿とお話をされていたのですね」
執務室を出て行くリアンをメアリーが見た。
「あぁ、マリーは誰に似たんだろうか。姿形はメアリーに似ているのにね」
苦笑いをする侯爵。
「幼少期の性格が今後の人格を形成をすると本で読みましたわ。ヴェルナーが生まれた時に読んだ本です。マリーは生まれてから四歳までの記憶がないからうちに戻ってくるまでは卿に育てられたと言っても過言ではありませんわよね」
夫である侯爵の隣に腰掛けるメアリー。
「メアリーは寂しくないのか? マリーが隣国へ嫁ぐことになるんだ。私は考えただけで今から胸が張り裂けそうだよ……」
「あら……寂しいに決まってますわよ。でも好きな人と結婚できるなんて幸せでしょう? この機会を逃したら好きでもない人との結婚が王命で決まってしまうかも知れないのに……そんなの可哀想じゃない。私たちにはそれを阻止できる力があるのよ」
「……君に王命が下らなくて良かった」
「昔の話ですよ? 私には兄達がいたから……ペルソナ公爵家を敵に回すなんてそこまで王は愚かではなかったのね」
メアリーと結婚したい。と西の大国の王子が求婚していた時期があったそうだ。
他国になんて妹をやれるか!
西の大国なんて遠すぎるだろ!
王命を出すなら、国潰すぞ!
散々王を脅したようだ。意のない結婚はさせない。と王は西の大国と話し合いをさせられたようだ。
蓋を開ければもう婚約者はいて側妃だと言う事も分かった。更に激怒するペルソナ公爵家の兄弟だった。
「そうねぇ……もしあの時に嫁ぎ先が西の大国だったらヴェルナーもマリーもいなかったわね……それは困るわ」
「その後に私と出会ったんだよね……私で良かったのかと不安に思ったこともあった。マリーが攫われて君の元気がなくなった時は自分を責めたよ」
「あなたは気を強く持っていてさすがでした。私は生きているのが辛かった……ヴェルナーに救われたの」
「マリーの人生だ。マリーが好きなようにさせてやろう。もしダメでも戻ってくれば良いじゃないか! マリーに財産を渡しておこう。何かあって私達が死んでも一生暮らせるようにね」
「あら! それは良いわね。ヴェルナーに跡を継がせて私達は領地でのんびり暮らしましょう。すぐにマリーに会いに行けるもの」
「……良い考えだな。ヴェルナーはまだ相手がいないのか。困ったもんだね」
自分のことは棚に上げ言いたい放題な侯爵。
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それから数年後ヴェルナーにも運命の相手が現れることになる。
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