絶対に近づきません!逃げる令嬢と追う王子

さこの

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ハンカチの忘れ物

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「笑顔が可愛くて、金髪でウェーブがかかっている子だな」

 幼馴染のエヴァンがそう言った。

 今まで一人の女の子を気にしている様子などなかった。


「ところでその女の子とはどこで出会ったんだ?」

 レイがエヴァンに聞く


「何のことだ?」

「金髪の可愛い子だよ」

「……意味がわからん」

 エヴァンが目線を逸らした


「良いから言え、いつ会ったんだ?」


「……幼い頃」

「どこで?」

「王宮の中庭」

「名前はなんて言う?」

「分からん」

「家柄は?」

「分からん」

「年齢は?」

「分からん」



「……分かっていることから教えてくれ」

「金髪でウェーブがかかっていて、色が白くて笑顔が可愛い子だった」


「それ以外だよっ! 手がかりはないのか?」

 つい大きな声を出してしまう



「ハンカチを忘れていったんだ」

「持っているのか?」

「会ったら返そうと思って、取ってある」

「よし、明日それを持ってきてくれ」

「何のために?」

「手がかりを探すんだ」


 翌日エヴァンがハンカチを持ってきた。何か手がかりがあれば良いが。


「アイリスの花が刺繍してあるな……もしかして、アイリスって言う名前だったりしてな?」

「本当か!」

「いや、わからん、可能性の問題だ」


「おまえ、楽しそうだな…」

「あぁ! 楽しい、これでおまえが相手を見つけてくれるなら、みんな喜ぶぞ!」

「そんな大袈裟な……」

「大袈裟なものか! おまえの相手が決まれば、私たちの年頃の奴らはみんな相手をみつけられるんだぞ!」

「そう言うことか……悪い、でも会って見なきゃ分からん」

「会いたいのか?」

「……まぁな」


 王子が金髪のウェーブヘアーの(仮)アイリスと言う女の子を探していると言う噂がたった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 金髪の女の子を王子が探していると王都に住む息子から手紙で報告があった。


 ……うちの娘じゃないだろうな。
 最後に王宮に行ったあの日に、まさか王子と会っていたのか?
 王子はなぜその少女を探しているんだ?



 少し調べてみると

 一目惚れでその子を探している?

 ハンカチを返したい?

 アイリスの花が刺繍されている?

 ……派手な女は嫌い?



「アイリスを呼べ!」

 侍従に言いつけ娘を呼び出す

「お父様お呼びとの事ですが?」

 見事な金の髪、白い肌に、透き通る様なグレイの瞳の可愛らしい少女が立つ。

「来年から王都の学園に通うことになるんだが……」

 言い淀む父

「それがどうかされましたの?」

 首を傾げるアイリス、可愛い仕草である。

「昔、王宮で母様と離れ、迷子になって、花の冠を作ったと言う話をしていたな?」

 父にそう言われて


「えぇ、とても綺麗なお兄様が花の冠を作ってわたくしの頭に載せてくださったの、懐かしい思い出ですわね」

 ふふっと思い出し笑いをする。


「その時、ハンカチを落としていないか?」


 真面目な顔をする父

「えぇ……っと、お気に入りのハンカチをあれ以来見てないような……」

「アイリスの花が刺繍してあるものか?」

「お母様が縫ってくださって、」

「お前だったのか……」

天井を見上げる父

「なにか?」

「いいかっ、アイリスよーく聞け!」

「は、はいっ」


 父の危機迫る表情にアイリスは後ずさりそうになる。

「その時に出会ったお兄様とやらは、どうやらエヴァン・エクトル・ラ・シャルトルーズ殿下、この国の第一王子だ!」

「えっ!まさか!あのお兄様が……」

 驚くアイリスに

「王子がお前を探しているんだと!」

「えっと……それはなぜでしょう?」

 困惑気味のアイリス


「噂ではその時の少女にハンカチを返したいとの事だ」

「えぇ…困ります、捨ててくださって構いませんのに!」

「そうだな…たかがハンカチの為に…会ったら何をされるか分からんぞ」

「わたくしまだ幼かったですから、何か不作法な真似を…」

「かもしれんぞ、近づくなよ、あの王子に」






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