絶対に近づきません!逃げる令嬢と追う王子

さこの

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もう、逃げない令嬢

高揚するエヴァン


 アイリスとキスをした。

 涙目のアイリスは可愛かった。
 初めてアイリスに会ったあの日からずっとアイリスが頭から離れなかった。


 入学式でアイリスを見つけた時、全身に雷が落ちるような感覚になった。


 幼い時に一度だけ会っただけなのに……

 どんな子なんだろうな?

 どんな声をしているんだろう?

 早く話がしたい

 その後レイが調べた結果ルメール伯爵の令嬢だと知った……
 話しかけたいが話しかける機会がない。

 王子と言う身分の不便さを感じた


 その後も話す機会が見つからずレイにお茶会に誘うように頼んだ。

 そしてやっと話をすることが出来た。

 大きな瞳が印象的で、恥ずかしさからなのか俯いたままだが、その仕草も可愛い。

 なんとかして私のものにしたい….


 侍従に急ぎの用が……と耳打ちされた。

 せっかく話をしているのに!

 また後で、とアイリスに笑いかけると笑みを浮かべてくれた。

 可愛い….昔と変わらない笑顔だった。

 まさか体調を崩して帰るとは

 虚偽だったけど……



 アイリスはスイーツが好きで、おいしい物を食べているときの幸せそうな顔が可愛い
もっと食べさせたくなる。

 最近は太るからと遠慮してくるようになった。とても寂しそうな顔をする。

 元々細いのだからもっと食べれば良いのに! と言うとご飯が食べられなくなってしまい、家の者に怒られると言うのだ……

 しゅんと落ち込む姿がまた可愛い。

 甘さ控えめな物をシェフに頼んで作らせようと思った。


 逃亡癖があったアイリスだが、王宮で教育を受けるうちに諦めたのか逃げる事はなくなった。

 正直言って逃げられるのは辛い……

 神経がすり減らされる思いだ……

 逃げるというのならば追うのは当然だが、力でねじ伏せるような真似はしたくない……


 アイリスの王太子妃教育のあと二人でお茶をした。

 婚約をしてから一年程経った頃


「何か辛い事はない?」

 厳しく教育され、泣いている姿を見た。

 私の婚約者になった事を後悔してないかな……と思うことがある。

 強引すぎたと言う自覚はあるから。


「厳しいですけど、皆さん熱心に教えてくださりますので、がんばります」 

 と言う前向きな答えが返ってきた


「それに成績も上がって今回は四位でした! 上位三位だと留学が出来るんですか?」


 キラキラした顔で見てくる

「……留学は諦めてくれ、悪い」

 また私から逃げるつもりか……!


「そうですよね、わかりました」

 珍しく大人しく引き下がるアイリス 


「そんなに私から逃げたいの?」

 心臓が引き裂かれる気持ちで質問をしてみる。頭をふるふると振るアイリス


「もう逃げない」


「それは、私の事を少しでも好きになってくれたって事で良い?」

 ドキドキしながら質問する


「エヴァン様の事を嫌いだなんて思ったことないですけど」

 小さな声で顔を赤くした

「えっ?!」


「もう知りません」

 ふいっと顔を背けて席を立とうとする

「待って! お願いだから」

 アイリスが背を向けるのでギュッと背中から抱きしめる。

「アイリス好きだよ、アイリスも同じ気持ちでいてくれてるの?」

 アイリスの耳元で囁くように想いを伝える。耳まで赤いアイリスがこくんと頷いてくれた。天国に登る勢いで嬉しさが込み上げる 


「ありがとう、その、とても、嬉しくて言葉にならない」

 自分でも顔が赤くなるのが分かる

「はい」

 アイリスが返事をする。どうしよう、幸せすぎて……。

 顔が見れないから頭部にキスを落とした

「大好きだよ、アイリス」

「はい、わたくしも……」

 声が震えていたけれど初めてアイリスに答えてもらえた!


 脅すようなプロポーズとは違い、アイリスから返事が貰えたのが嬉しい。

 アイリスが私の手にそっと手を添えてくれた。一つ一つの行動全てが愛おしい


「アイリスが素直だと恥ずかしい事も言えそうだ……」

「も、もう十分です、離してください恥ずかしいから」

「愛してるよ、アイリス結婚してくれ」

「はい」


 ギュッと腕に力を入れる

「苦しいです、エヴァン様」

「もう逃亡の恐れがないと思ったら嬉しくて」


 腕の力を抜き二人向き合う、アイリスの頬を両手でそっと触れ顔を近づけると、一瞬びくっとされたが目を瞑られたので、軽く口付けをする。思いが通じたようで、安心した


「いつ好きになってくれたの?」

 照れ隠しのために聞いてみた

「きっと、お花の冠を頭に載せてくれた時からです」

「なんだよ、一緒のタイミングじゃないか」


 二人で笑い合った


「……なのになんで逃げていた?」

 声のトーンが下がる


「だって怒っていると思って不敬罪で罰でも受けるのかと思って怖くて……」

「怒ってない」

「家の事情もありましたし、婚約したら許してくれるって言ったもの」

「許すよ」

「じゃぁ、なんで今怒っているの?」

「私ばかりがアイリスを好きだと思っていてから……もっと早く言って欲しかった」

「王太子殿下にそんな事言えないですよ……身分が違いますもの」

「アイリスはあと数年で私の妃になるからね、私は君には敵わないから、身分なんて関係ないよ、覚えておいて」


 にこりと笑うエヴァン

「エヴァン様怖い」

「やっと君を捕まえたから高揚してるんだ、もう離さないから、ふふっ」
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