絶対に近づきません!逃げる令嬢と追う王子

さこの

文字の大きさ
20 / 56
もう、逃げない令嬢

見せびらかしたい、仲の良さ

 
 二人だけのお茶会をする

 いつも頑張っているアイリスに王妃からご褒美という事で、特製のスイーツが並べられていた。

 おいしくてカロリーは控えめのものにしてくれと言うエヴァンの意見が採用されて、フルーツやヨーグルトを使ったものも出されているカロリーの多いバターと砂糖はなるべく控えめのようだ。


 シェフはアイリスが毎回美味しかった。お礼を言って欲しいと言う言葉と、美味しそうに食べる話を聞いて、この際パティシエに変更しようかと考えているという……


「マロンだぁ……嬉しい!」

 マロンが好きというアイリスの好みを覚えていた王妃によるアイリスの為のご褒美となっている。

「わぁ!マロンのジェラート」

 目が輝くアイリス

「今日は休みだから、ゆっくり過ごそう」

「はいっ」

 バラ園に用意された二人だけの空間。横並びに座り、お茶を飲む。


 ジェラートの皿を手に取りアイリスに食べさせるエヴァン

「自分で食べたいのに……」

「ご褒美だから、甘やかさないと」

「王妃様がわたくしの為に用意してくださって嬉しいです」

 ご機嫌のアイリス


「ほら」

 スプーンを口の前に出され口にする。二人だけのお茶会と言うが、メイドも護衛も控えている。

 慣れとは怖いものでアイリスはまったく気にならなくなった。


 イチャイチャする二人に


「兄上、姉上」

 と声をかける少年

 サイラス・ルイ・ラ・シャルトルーズ。エヴァンの弟だ。


「サイラス、どうした?」

「サイラス殿下、こんにちは」


 エヴァンとアイリスが、サイラスを見る

「次の休みはボードゲームの続きをすると言っていたのに」

 今年十歳になるサイラスが言う


「悪いな、母上に言われて急に休みになったから……」

「約束を破るのはいけませんね、わたくしの事は良いのでサイラス殿下のお相手をなさってください」

 優しい目でエヴァンを見る

「明日早く執務を終わらせるから今日は勘弁してくれ」

「わかりました、それでは明日」

 大人しく引き下がるサイラスに


「サイラス殿下も一緒にお茶をしましょう? こんなにスイーツがあるんですもの、二人では勿体無いもの」

 お茶に誘うアイリスと嫌そうな顔をするエヴァン。


「ね、いかが?」 

「……お邪魔でなければ? 少し」

「良いわよね、エヴァン様」

「……あぁもちろん」

 急遽椅子が用意されサイラスが席に着く。


「良い場所ですね」

 サイラスがバラ園を見渡す

「そうだな、お前も相手を見つけて茶会をすると良い」

 エヴァンが兄の顔を見せた。


「どうぞ、おすすめですよ」

 サイラスの前にスイーツを置くアイリス

「姉上、ありがとうございます」

「ふふっどういたしまして」

 にこにこするアイリス


「ご機嫌だねぇ?」

 エヴァンに言われ

「姉上だなんて……わたくし、お兄様しかおりませんので、新鮮で」

 はにかむ笑顔がまた可愛い


「姉上は可愛いですね、兄上が羨ましいですよ」

 サイラスが言うと

「やらんぞ」

 睨みながら紅茶を飲むエヴァン


「恐ろしいですね、姉上大丈夫ですか?」

「えぇ、慣れました、基本はお優しいので」

「まぁな」


「仲が良いようで……母上のおっしゃる通りですね」

「母上がなんか言っていたか?」

「急にイチャイチャするから注意しなさいと……」


「お前も相手を見つけろ、お前には時間がたっぷりある。アドバイスするなら、好きな人と婚約する事だ」

 王太子は十五歳までに婚約者を定めなければならないが、兄弟王子は年齢が決まっていない。

「イチャイチャなんてしてません!」

 否定するアイリスだが

「……してますよ。なんで兄上が姉上に食べさせているんですか?」

「甘やかせたいから? 母上が用意したアイリスの為のご褒美なんだ」

 手元が狂ってアイリスの口の端についた、クリームを指で取りペロリと舐める


「見せびらかしたいんですねぇ……兄上」

 アイリスが首を傾げる。あんなに拒んでいたのが嘘のような仲良さだ。


「兄上のことをよろしくお願いしますね」

 アイリスに微笑む

 ……何という可愛い顔なんだろう、と見惚れながらも微笑み返すアイリス

 兄弟揃って美しいとはさすが王族だ……

 突然グイッと頭の向きを変えられる

「何を思ったか知らんが、私を見ていろ」

「……はい」

 機嫌が悪くなるエヴァン


「そろそろ戻りますよ….兄上の機嫌も悪そうだし」

 サイラスが立ち上がる


「えぇ、もう?」

 残念そうにするアイリス

「じゃぁな、明日早く執務を終わらせるから」

「約束ですよ、では姉上」

 手を振り去ってゆくサイラス


「あぁ言うタイプが好きなのか?」 

 エヴァンに睨まれる

「十歳くらいのエヴァン様って、今のサイラス殿下のようだったのかな? って思って……初めてエヴァン様に会ってから空白の年数があるでしょう?」


「それなら良い、あいつを何処かに飛ばすことになったかもしれん……」

「それは、どう言った、意味合いで……?」

「しばらく国から出すくらいだな」

「なぜ?」


「私以外を見るとそうなるよな? 一生を誓ったからな」

「エ、エヴァン様しか見てませんよ……」

「他家の子息となんかあったら、相手の家、潰す事になる……見たくないだろ? そんな姿」


「ハイ」


「分かればよろしい」




感想 31

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

もう我慢したくないので自由に生きます~一夫多妻の救済策~

岡暁舟
恋愛
第一王子ヘンデルの妻の一人である、かつての侯爵令嬢マリアは、自分がもはや好かれていないことを悟った。 「これからは自由に生きます」 そう言い張るマリアに対して、ヘンデルは、 「勝手にしろ」 と突き放した。

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

世継ぎは他の妃が産めばいい——子を産めない私ですが、帝の寵愛を独占して皇后になりました

由香
恋愛
後宮に入る女の価値は、ただ一つ。 ——皇子を産めるかどうか。 けれど私は、産めない。 ならば—— 「世継ぎは他の妃に任せます。私は、陛下に愛される女になります」 そう言い放ったその日から、すべてが狂い始めた。 毒を盛られても、捨てられず。 皇子が生まれても、選ばれたのは私だった。 「お前は、ここにいろ」 これは、子を産めない女が ただ一つの武器“寵愛”だけで頂点に立つ物語。 そして—— その寵愛は、やがて狂気に変わる。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。

風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。 ※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。

【完結】悪役令嬢な私が、あなたのためにできること

夕立悠理
恋愛
──これから、よろしくね。ソフィア嬢。 そう言う貴方の瞳には、間違いなく絶望が、映っていた。  女神の使いに選ばれた男女は夫婦となる。  誰よりも恋し合う二人に、また、その二人がいる国に女神は加護を与えるのだ。  ソフィアには、好きな人がいる。公爵子息のリッカルドだ。  けれど、リッカルドには、好きな人がいた。侯爵令嬢のメリアだ。二人はどこからどうみてもお似合いで、その二人が女神の使いに選ばれると皆信じていた。  けれど、女神は告げた。  女神の使いを、リッカルドとソフィアにする、と。  ソフィアはその瞬間、一組の恋人を引き裂くお邪魔虫になってしまう。  リッカルドとソフィアは女神の加護をもらうべく、夫婦になり──けれど、その生活に耐えられなくなったリッカルドはメリアと心中する。  そのことにショックを受けたソフィアは悪魔と契約する。そして、その翌日。ソフィアがリッカルドに恋をした、学園の入学式に戻っていた。

【完結】どうか私を思い出さないで

miniko
恋愛
コーデリアとアルバートは相思相愛の婚約者同士だった。 一年後には学園を卒業し、正式に婚姻を結ぶはずだったのだが……。 ある事件が原因で、二人を取り巻く状況が大きく変化してしまう。 コーデリアはアルバートの足手まといになりたくなくて、身を切る思いで別れを決意した。 「貴方に触れるのは、きっとこれが最後になるのね」 それなのに、運命は二人を再び引き寄せる。 「たとえ記憶を失ったとしても、きっと僕は、何度でも君に恋をする」