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バラ園

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「兄上、相当嬉しかったんだな。一時間もいるなんて思わなかった」

 バラ園を散策しながらナセル様が言いました。


「ナセル様、本日はお誘いくださってありがとうございました。とても懐かしくて楽しかったです」

「うん。私も楽しかった。これからよろしく」

「はい。こちらこそよろしくお願いします」



「また昔みたいに、王宮に遊びにおいでよ」


「ここは気軽に来れるような場所ではありませんよ?」


「そうか?」


「そうですよ」


「シャノンは婚約者いないよね」

「はい」

「好きな男は?」




「……いましたけど」


「……いた?」



「はい。告白したら保留と言われて、相手の方は嫡男ですし、私も一人っ子だし、分かっていたけれどちゃんと考えたら甘かったな……と反省して、これから相手を探したいと思います」


「探すの?」

「はい。政略結婚でもなんでも両親のように愛情を持って生活出来ればと思っています」

「今から募集するの?」

「多分、そうなるかと。お父様とお母様は学園で出会ったらしいので、そう言
いう出会いだと良いな。とは思っているんですけど、こんな保留だなんてキープされるようなわたくしなんて……はぁっ」


「そうか……シャノンあのさ、」 


「はい?」


「私じゃダメか?」


「え?」


「昔からシャノンの事は可愛いと思っていたし、久しぶりに会っても気持ちは変わらなかった。ダメ?」

「先程のわたくしの話聞いてましたか?」


「一人っ子で家を継がなきゃいけなくて、相手を探していて、学園で出会いたくて、政略結婚でも仲良くしたいんだろ?」

「ん? 纏めるとそうなるの、かな?」


「私は第二王子だから婿に入れるし、相手にとって不足はないんじゃない? 学園で会ったし、仲良かったし大丈夫じゃない?


「違うの! そう言う仲が良いじゃなくて、」


 手を取られて指にキスを落とされた。


「こう言うことだろ?」


 初めてのことで顔が……ううん、全身が赤くなったような気がしました。

 ナセル様なんだか色気が、あるの。



「て、手、離して」

「うーん、私のことをちゃんと考えてくれるなら離すけど……もっとする? そしたら私のことしか考えられなくなるんじゃないか?」

 もう一度指にリップ音付きのキスをされ、見つめられた。目が離せない……


「考えてくれる?」



 かぁぁ……っと全身に熱を帯びた。

 目を瞑って、こくこくと頷くことしか出来なかった。

 その後は手を引かれたまま、お父様の執務室に連れて行かれて、

「なにがあったんだ!」

 って言われて、ナセル様は何かお父様とお話をされていたけれど、内容を覚えてない。



 キャパオーバー。倒れそうになってお父様にお家まで運ばれたみたい。




******



~コレット侯爵夫妻視点~


「殿下にも困ったものだよ」


「あら、良いじゃないの」


「明日陛下に話をしに行くけれど、まさかナセル殿下が婿に……」

「まだ、決まったわけではないでしょう? シャノンちゃんが、決めることよ。良いじゃないの、ナセル殿下はシャノンちゃんがお気に入りだったもの」


「王太子殿下がご結婚されたら王位継承権は降りるらしい。自分はスペアだから王太子殿下がご結婚されたらお役御免だと仰った。王太子殿下を尊敬されているから支えていきたいんだそうだ」


「ご兄弟は仲が良いですものね。王太子殿下のお相手はルイズ嬢でシャノンちゃんとお友達だし、虐められることはないわね」


「うむ。しばらく様子を見ようか」



 

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