44 / 93
勉強は嫌い
しおりを挟む~レイラ視点~
「何が一週間で覚えろよ! 無理だし、興味ないから」
王子妃になったら遊んで暮らせるんじゃないの? アリスはいつも遊んでいたじゃないのよ。お茶会ばっかりで王宮で美味しいものを食べて綺麗なドレスを着て……
あ、そうだ! ふふっ。食事を終えたら少しだけ散歩に行こうかな。離宮とはいえ庭は中々のものなのよね。
どうせ食事が終わったらフランツは執務室に籠るんでしょう。食事の時くらいしか顔を合わせないし少し出たくらい分からないでしょ。
“外に出る時は一言声をかけてくれ。私も付き合うから”なんて言われているけれど、この広い敷地の王宮内でほんの少しの離宮の庭しか散策できないなんてつまらないわよね!
でもまだドレスも届かないし……貧相な格好で出歩いちゃまずいわよね。
「あ、あるわよ! あのドレスを着れば……」
フランツがアリスに贈った青いドレス。この生地は選ばれし者しか着られないドレスだから気に入っているのよねぇ。
珍しい生地に宝石が付いていて光に当たるとキレイなのよね。
ちょっと胸元が緩いし腰回りはキツいけれど、タオルを少し詰めて……誰も盛っているなんて分かんないでしょう。
「うーん。やっぱり外は気持ちがいいわね」
離宮の庭を散策する。でもこの辺りは飽きちゃったのよね。もう少し王宮近くまで歩いてみようかな……同じ敷地内だから良いよね。もし何か言われても“迷っちゃった”って可愛く言ったら許してくれるでしょう。
ふんふふーん。たまに人とすれ違うけれどみんな私を見ているわね。このドレスがそんなに似合うのかしら。それなら効果てきめん! フランツにお願いしてもらってもう一枚この生地でドレスを作ってもらおうかなっ!
あら。ちょっと人が多くなってきたわね。あの人達きっと貴族よね。立派な衣装を着ているもの……
うーん。そろそろ戻ったほうがいいかなー。でもなーこのドレスを与えられているということを貴族たちに知って貰った方がいいのかなー。
そう思い、少し気がつく程度に貴族たちの視線に入る様に歩いてみた。
驚く顔をした人たちもいるけれど、ヒソヒソと声が漏れ聞こえる。
“あのドレス”
“あの青い生地は──”
ふふっ。聞こえる。そうよ! このドレスはフランツから贈られたドレスなのよ。王妃様もご存じなんだから。
そう思い、くるっと後ろを振り向き離宮へ戻ろうとしたの。これで私が大事にされているって事が分かるよね? 離宮といえ王宮に住まわせて貰っているのだし。
さぁ、もうすぐ離宮の庭に辿り着くわよーって思った時に騎士達に囲まれる。中には偉そうなおじさんもいてちょっと怖いかも。
「え、何ですか? 私を誰だと思っているんですか……」
「誰って……フランツ殿下の客人ですよね。それ以外のナニモノでもありません」
「は? 客人ですって?」
「えぇ。そう伺っております。それよりもそちらのドレスはどうやって手に入れられたのですか?」
「え? これはフランツに貰ったんだけど! 失礼しちゃう」
「ほぅ。そのドレスはフランツ殿下が別のご令嬢に贈った物と記載されております。この生地は王妃様が管理をされておりますので、ドレスを作る際には王妃様からの許可が必要です。よって客人のものでは無いと判断いたしました。どちらでもこのドレスを手に入れられたのですか? 事情をお聞きしたいのですがよろしいでしょうか?」
え? 何? なに! ナニ!!
「ちょっと、どこへ連れて行く気? 私を誰だとおもっているの? フランツの婚約者よ! 王族に向かってこんな仕打ちは不敬罪よ! ちょっと、」
「これはこれは……思っていたよりも残念な客人の様ですね。騒ぐとあなたの評判が落ちるだけなので、私どもとしては構いません」
え? 本当に何? どこへ行くのよ……フランツ助けてっ!
209
あなたにおすすめの小説
【完結済】冷血公爵様の家で働くことになりまして~婚約破棄された侯爵令嬢ですが公爵様の侍女として働いています。なぜか溺愛され離してくれません~
北城らんまる
恋愛
**HOTランキング11位入り! ありがとうございます!**
「薄気味悪い魔女め。おまえの悪行をここにて読み上げ、断罪する」
侯爵令嬢であるレティシア・ランドハルスは、ある日、婚約者の男から魔女と断罪され、婚約破棄を言い渡される。父に勘当されたレティシアだったが、それは娘の幸せを考えて、あえてしたことだった。父の手紙に書かれていた住所に向かうと、そこはなんと冷血と知られるルヴォンヒルテ次期公爵のジルクスが一人で住んでいる別荘だった。
「あなたの侍女になります」
「本気か?」
匿ってもらうだけの女になりたくない。
レティシアはルヴォンヒルテ次期公爵の見習い侍女として、第二の人生を歩み始めた。
一方その頃、レティシアを魔女と断罪した元婚約者には、不穏な影が忍び寄っていた。
レティシアが作っていたお守りが、実は元婚約者の身を魔物から守っていたのだ。そんなことも知らない元婚約者には、どんどん不幸なことが起こり始め……。
※ざまぁ要素あり(主人公が何かをするわけではありません)
※設定はゆるふわ。
※3万文字で終わります
※全話投稿済です
言いたいことはそれだけですか。では始めましょう
井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。
その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。
頭がお花畑の方々の発言が続きます。
すると、なぜが、私の名前が……
もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。
ついでに、独立宣言もしちゃいました。
主人公、めちゃくちゃ口悪いです。
成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。
見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます
珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。
そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。
そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。
ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む
綾雅(りょうが)今年は7冊!
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」
婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からなくなっていました。
婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/01 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過
2022/07/29 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過
2022/02/15 小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位
2022/02/12 完結
2021/11/30 小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位
2021/11/29 アルファポリス HOT2位
2021/12/03 カクヨム 恋愛(週間)6位
【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない
かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、
それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。
しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、
結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。
3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか?
聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか?
そもそも、なぜ死に戻ることになったのか?
そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか…
色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、
そんなエレナの逆転勝利物語。
【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます
との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。
(さて、さっさと逃げ出すわよ)
公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。
リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。
どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。
結婚を申し込まれても・・
「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」
「「はあ? そこ?」」
ーーーーーー
設定かなりゆるゆる?
第一章完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる