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到着!
「「「「アリス!」」」姉様」
馬車から降りるや否や家族が駆け寄ってきた。屋敷の扉の前にはずらっと使用人達の姿が……えっと、皆仕事の手を止めて迎えてくれたの? いつもは出てこないシェフや庭師まで?
「た、ただいま戻りました」
勢いに圧倒され吃ってしまった。
「よく無事で帰ってきてくれた」
「私達がいない時にごめんなさいね」
「(戻りが)遅かったな」
「遅いよ!」
「ごめんなさい。心配かけてしまいました」
ギュッと皆を抱きしめ返した。やっぱり家族の温もりは良いわね。落ち着く。
再会を喜んでいたけれど何かを忘れている気が……って! 家族から離れてアーネスト様を紹介する。
「あの、こちらグレマン伯爵子息のアーネスト様です。グレマン領でお世話になっていたの。それにうちまで送っていただいて、」
お父様が代表して挨拶をした。
「この度は娘が大変お世話になりました。お疲れでしょう。よろしかったらお茶でも是非」
「あ、いや。アリス嬢もお疲れでしょうし、無事にご家族と再会できて良かったです。今日はここで失礼させていただきます」
アーネスト様は頭を下げて帰っていこうとした。
「アーネスト様、よろしかったら明日晩餐でも如何ですか? お父様良いでしょう?」
「もちろん! 歓迎します」
じっーとアーネスト様を見つめた。返事待ち。
「……それでは遠慮なくお邪魔させて貰います」
ちょっと強引だったかもしれないけれど、受け入れてもらえて良かった。そして今度こそアーネスト様は帰って行った。
その後家族で何があったかを話し合った。道中の話やグレマン領での事。そして今王都ではそんなことになっているのね。陛下との面談は三日後ね。
「今後のことはまた明日にでも話そう。疲れているだろう? ゆっくりと休みなさい」
お父様に言われて遠慮なく部屋へともどる。
「やっぱり部屋は落ち着くわね。何か変わったことは無かった?」
メイド達に聞くと、少し怒ったような口調で話をしてきた。ふーん。思った通り追放を宣言した後に私が出て行ったか見に来たのね。
ふーん。あのドレスをレイラが? あのドレスは絶対にダメとキツく言い聞かせていたのに。それにサイズも合わないでしょう? レイラはスレンダーなんだから。
まったく……人の話を聞かないところは殿下にそっくり。単純なところもそっくり。似た物同士なのかもしれないわね。
「そうだわ。明日アーネスト様を招いての晩餐があるからドレスを選ばなきゃ。とてもお世話になった方だから、皆もよろしくお願いね」
「「「ハイ」」」
ショーンとミリーは屋敷についてからすぐに下がらせた。たくさん迷惑をかけたから、ゆっくりして欲しいのよね。あ、お父様にボーナスをあげて欲しいって頼まなきゃ……
急に疲れがどっと押し寄せてくる。身体中が重い。
「お嬢様、まずは湯浴みをして疲れをとりましょう。その後マッサージもしますね」
「お願いできるかしら」
「畏まりました」
部屋のソファに座った時にもやっぱり家は格別だとおもったけれど、湯浴みは別格……髪の毛を洗われてそのまま頭をマッサージされたらもう……
「お嬢様」
いけない。つい気持ちが良くてうとうととしてしまったわ。
「ダメね。そろそろ上がるわ」
髪の毛を乾かしてもらいながらマッサージを受けてその後の記憶は全くなく、鳥の囀りと共に目が覚めた。どうやらそのまま眠ってしまったらしく誰かがベッドに運んでくれたみたい。
まだ早いけれど久しぶりに庭の散歩でもしようかな。簡単なワンピースを着た。簡単って言ってもやはり貴族の着るワンピースは町娘に扮していた時とは全く違って新鮮に思えた。
扉を開けるとメイド達に驚かれてしまった。
「お嬢様、ご自分でお着替えを?!」
メイド達は驚きながらも私の身だしなみをチェックしていた。
「ご自分で用意するだなんて道中苦労なされたのですね……ところでこのような時間にどちらへ?」
ワンピースくらいなら一人で着られますけど? と思いながらもいつも手伝ってもらっていたのよね。
「庭の散歩に。早く目が覚めてしまったから久しぶりにお庭を見にいこうと思ったの。それと簡単なワンピースくらい一人で着られるからね」
「まぁ。それは失礼いたしました」
くすくすと笑われてしまった。小さい頃からいつも朝起きたらメイド達を呼んで世話を受けていたから……
それが貴族の生活で、当たり前だと思っていた。それなのになぜ一人でグレマン領へ行けると思っていたのか……
急に自分の思い上がりが恥ずかしくなった……
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