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晩餐後
~アーネスト~
今日は王宮に隣国との最近の関係について報告へ行った。陛下と会談後は庭園を案内してもらった。そこは私が初めてアリス嬢を見かけた庭園だった。静かな庭園は落ちつく感じで華やかな王宮内では異質だった。アリス嬢が好きだと言った庭園を作った庭師に会えてとても良かったと思う。
今日は伯爵から晩餐に誘われブラック伯爵家にお邪魔することになる。グレマン領でのアリス嬢の働きについて話をした。とても助かっていると伝えるとアリス嬢もやりがいがあると言ってくれた。食事の後は酒を飲まないか? と誘われ応じた。
「娘がお世話になりありがとうございます」
改めて伯爵に頭を下げられた。
「いえいえ、とんでもございません、こちらこそとても助かっています」
伯爵は何か言いたそうにこちらを見ていた。本題に入りにくいのか? 少しの沈黙。
「実はですね、そろそろ娘に家に帰ってくるように言うつもりです」
親としては心配だよな……その気持ちはわかるが、はい、そうですか。とは言いにくい。
「もう一つお話として、王宮で働かないか。と誘いもあります。働くのなら近くにいてくれたらこちらとしても安心です」
まぁ、そりゃそうだろう。
「先ほど陛下から聞きました。時代が変わってきているのですね。女性が外で働くということは良いことだと私も思います」
「若い世代の女性が働く事により世の中も変わっていくと思います。娘は外交に携わる事を楽しみにしていました」
今も外交と言えば外交だよな。他国の要人と会話をしたりパーティに出席したりしている。
「幼い頃から努力していたということがアリス嬢を見ていて分かります。秘書としても通訳としても申し分ありません」
「そう言っていただけて親として誇りに思います。貴重な体験をさせていただいているようで感謝します」
沈黙が続いた。そして伯爵がそれを破った。
「もし娘が帰りたいと行ったらアーネスト殿はどうしますか?」
核心に迫った質問だった。のらりくらりと交わすことも可能なのだが……
「アリス嬢が下した決断なら……それが答えなのだと思います」
その後は別の話に変わったが、アリス嬢がいなくなってしまうという現実に頭がついていかなかった。情けない。そしてそろそろ帰ろうと腰を上げた。
エントランスに行き見送られていた時だった。アリス嬢が階段を降り声を掛けてきた。
「アーネスト様、もうお帰りになるのですか?」
「えぇ。遅くなっては失礼ですしせっかくご家族揃っているところに長々とお邪魔するのも気が引けますから、アリス嬢ゆっくりされていますか?」
うちにいる時よりも華やかなドレスを身に纏っている。やはり都会の令嬢なのだと思い知らされた。
「はい。ゆっくりしすぎて暇なくらいです」
「それは良いですね。ご家族も喜んでいることでしょう。しばらくこちらに滞在しますが、アリス嬢はご自由にお過ごしください。友人とも会っていなかったのですから。残る私の仕事は会議くらいですので」
王都に出てくると会議などに呼ばれるのだ。積極的に意見をするわけではなく国がどう動いているか知るために出席する。
「そうですが……どこか行きたいところとかありませんか? 何をしようかと言っていましたよね? 案内しますよ」
特に行きたいところがあるわけではないのだが……
「そうですね……そうだ、せっかくの機会なので貴女の卒業祝いをさせてください。食事に行きませんか?」
「悪いですわ。仕事もしていないのに」
「一年間よくやってくれた感謝の気持ちです。お店を予約しておきます」
以前貴族達と食事会をしたレストランは感じが良かった。高級すぎても気にするだろうしカジュアルすぎるわけでもない。新しく出来た店らしいからアリス嬢も行った事がないはず。
「それなら、遠慮なく」
少しアリス嬢の顔が曇っていた。行きたくないのだろうか……
「迎えに来ますので、またその時に」
「はい」
食事の約束は卒業式が終わった次の日になった。アリス嬢はそれまで家族で過ごしたり友人とお茶会などをしているようだ。私はなるべく人と会うようにしていた。一人でいても碌な考え事をしないから。
そして迎えた食事の約束の日。
今日は王宮に隣国との最近の関係について報告へ行った。陛下と会談後は庭園を案内してもらった。そこは私が初めてアリス嬢を見かけた庭園だった。静かな庭園は落ちつく感じで華やかな王宮内では異質だった。アリス嬢が好きだと言った庭園を作った庭師に会えてとても良かったと思う。
今日は伯爵から晩餐に誘われブラック伯爵家にお邪魔することになる。グレマン領でのアリス嬢の働きについて話をした。とても助かっていると伝えるとアリス嬢もやりがいがあると言ってくれた。食事の後は酒を飲まないか? と誘われ応じた。
「娘がお世話になりありがとうございます」
改めて伯爵に頭を下げられた。
「いえいえ、とんでもございません、こちらこそとても助かっています」
伯爵は何か言いたそうにこちらを見ていた。本題に入りにくいのか? 少しの沈黙。
「実はですね、そろそろ娘に家に帰ってくるように言うつもりです」
親としては心配だよな……その気持ちはわかるが、はい、そうですか。とは言いにくい。
「もう一つお話として、王宮で働かないか。と誘いもあります。働くのなら近くにいてくれたらこちらとしても安心です」
まぁ、そりゃそうだろう。
「先ほど陛下から聞きました。時代が変わってきているのですね。女性が外で働くということは良いことだと私も思います」
「若い世代の女性が働く事により世の中も変わっていくと思います。娘は外交に携わる事を楽しみにしていました」
今も外交と言えば外交だよな。他国の要人と会話をしたりパーティに出席したりしている。
「幼い頃から努力していたということがアリス嬢を見ていて分かります。秘書としても通訳としても申し分ありません」
「そう言っていただけて親として誇りに思います。貴重な体験をさせていただいているようで感謝します」
沈黙が続いた。そして伯爵がそれを破った。
「もし娘が帰りたいと行ったらアーネスト殿はどうしますか?」
核心に迫った質問だった。のらりくらりと交わすことも可能なのだが……
「アリス嬢が下した決断なら……それが答えなのだと思います」
その後は別の話に変わったが、アリス嬢がいなくなってしまうという現実に頭がついていかなかった。情けない。そしてそろそろ帰ろうと腰を上げた。
エントランスに行き見送られていた時だった。アリス嬢が階段を降り声を掛けてきた。
「アーネスト様、もうお帰りになるのですか?」
「えぇ。遅くなっては失礼ですしせっかくご家族揃っているところに長々とお邪魔するのも気が引けますから、アリス嬢ゆっくりされていますか?」
うちにいる時よりも華やかなドレスを身に纏っている。やはり都会の令嬢なのだと思い知らされた。
「はい。ゆっくりしすぎて暇なくらいです」
「それは良いですね。ご家族も喜んでいることでしょう。しばらくこちらに滞在しますが、アリス嬢はご自由にお過ごしください。友人とも会っていなかったのですから。残る私の仕事は会議くらいですので」
王都に出てくると会議などに呼ばれるのだ。積極的に意見をするわけではなく国がどう動いているか知るために出席する。
「そうですが……どこか行きたいところとかありませんか? 何をしようかと言っていましたよね? 案内しますよ」
特に行きたいところがあるわけではないのだが……
「そうですね……そうだ、せっかくの機会なので貴女の卒業祝いをさせてください。食事に行きませんか?」
「悪いですわ。仕事もしていないのに」
「一年間よくやってくれた感謝の気持ちです。お店を予約しておきます」
以前貴族達と食事会をしたレストランは感じが良かった。高級すぎても気にするだろうしカジュアルすぎるわけでもない。新しく出来た店らしいからアリス嬢も行った事がないはず。
「それなら、遠慮なく」
少しアリス嬢の顔が曇っていた。行きたくないのだろうか……
「迎えに来ますので、またその時に」
「はい」
食事の約束は卒業式が終わった次の日になった。アリス嬢はそれまで家族で過ごしたり友人とお茶会などをしているようだ。私はなるべく人と会うようにしていた。一人でいても碌な考え事をしないから。
そして迎えた食事の約束の日。
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