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遡ること一時間前
しおりを挟む(マティアス)
アルベルティーナ嬢のお兄さん達が帰る日、ヘルミーナがシーバ国で世話になったこともあり、お礼がてらヘルミーナと見送りに来た
「マティアス殿、少しよろしいでしょうか?」
長兄のユリウス殿に声をかけられた
「えぇ、どうかされましたか」
******
「貴殿は今我が国で何が起きているか、ご存知ですよね?」
恐らくシーバ国の王子達の話。しかし王太子殿下と約束をした。他言無用…なので私は知らない
「なんのことでしょうか? 私はシーバ国のことに関して口を出す事は一切ありません」
知っている体で知らないという事を伝えた
「そうですか、それでは私の独り言です」
そう言ってユリウス殿は話を始めた
「我が家は王室と親戚関係にあります。うちの男家系は王位継承権がある。ベルナルドが今回の件をうまく抑えられない場合は、貴族達から反発に合い最悪王太子を降ろされる事もあり得る。そうなると父か私たち兄弟が、国を守るという重責が回ってくるのだが、ベルナルドなら大丈夫だろう。
もしだよ? 私が王位を継いだとしよう、そうするとティーナも王族だ。貴族院のジジイ共に政略結婚しろと言われ、遠い外国に出される可能性もある。だから私たちで何とかしなくてはならないんだ」
こくんと無言で頷く
「私たちはティーナに今すぐにでも戻ってきて欲しいと思っている。あいつら三馬鹿王子のせいでティーナの風当たりが強くなるのは困る。あいつらのせいでティーナの人生を狂わせたくない」
尤もだ。アルベルティーナ嬢は悪くない。そもそも貴族の令嬢は、守られていて当然の存在。私も自分の意見を言うべきだ! だなんて酷いことを言ったもんだと反省したが…後悔はない
「国内が落ち着くまで、ティーナの事は伯父上に任せることになった。卒業後どうするかはティーナに任せるよ。うちの可愛いティーナに悪い虫が寄ってくるのは許せんが、ティーナがそれを望むのなら、それも悪くないのかもしれない。あの子が笑っているのなら悔しいが相手にとって不足なしだな」
え……っと。それは……良い風に受け取って良いのだろうか
「ヘルミーナ嬢は婚約したとか?」
「えぇ、相手が留学先から帰ってきたら正式に発表することになると思います」
「マティアス殿も肩の荷が降りたね。寂しいが私達ももそうなると良いのだけれど」
******
その後メイナード殿下も合流した。
話をしていると会話は楽しく性格も明るく、アルベルティーナ嬢を子供の頃から支えている、とても良い方だった
太陽のように明るい方と、アルベルティーナ嬢は言ったが、まさにその通り
身分を捨ててまで、好きにさせたかったという広い心の持ち主……勝てる気がしなかった。しかも気さくで思いやりがある
男の私でさえ見惚れるくらいのイケメンだ
アルベルティーナ嬢が愛した男…
「マティアス殿は凄いですねぇ、私の周りにはなかなかそういった男が居なくて、新鮮ですよ!」
なんのことだ……? こちらは自信を喪失しているというのに…
「アルベルは可愛くて庇護欲が湧くでしょう?泣いていたらなんでもしたくなる」
「……泣き顔なんて見たくないですよ」
「あの顔で泣かれたら、誰もが甘やかすんですよ、良い風に解釈して誰も話なんて聞きゃしない。聞けばマティアス殿は、あの兄上まで撃退してしまうような方だ!尊敬に値するよ」
「撃退をしたのはアルベルティーナ嬢です。しっかりと話をする彼女は凛としていて素敵でしたよ」
「そんな姿を誰もが見た事がない! 兄上はそれで納得したんだろうね。貴方に負けたんだ。凄いね何を言ったかは分からないけれど、アルベルの自立への一歩だ」
「私は何も……」
すると、はははっと笑い声を上げた
「そろそろ私もお役御免かな? 公爵から譲ってもらった邸に移り住もうか。ここは居心地が良すぎる、私も新しい一歩を踏み出すことにします。良かったら友達になってくれない?」
「友達ですか?もちろん私でよければ光栄ですが」
「そう?嬉しいよ。この国での初友達だ。殿下って呼ぶのはやめていただきたいんだ」
「では……。メイナード殿」
「これからもよろしく頼みます」
握手をした。めちゃくちゃ気さくな方である。少し、いや。かなり好感度が上がった
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