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病人?

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 ジェラール様の食事は改善させた。


 でも量は少なめ。


 もっと食べたい。と思うところで食べられない……。誰が考案したのだったかしら。性格がよろしいわねぇ……。


 あ! お医者様でしたわ!


 量が少ないからクララさんに分け与えることは出来ないし、そこで本性が出るんですって。

 食べ物の恨みというのは深いのよね。


 四日程経ったかしら? 扉を叩く音……もう扉を壊そうとしているとしか思えない程だったらしいので、私が向かいましたわ。念のため護衛と執事長、メイド長も。


 扉をノックすると、ガチャリと音を立てすぐ扉が開きました。



「どうされましたの? 扉が壊れてしまいますわ」


「アナベル! お前がやっていることは犯罪だぞ!」



 あら? 恐ろしいです事。ジェラール様に睨まれましたわ。


「まぁ! お医者様の指示ですのに。何か不都合がございましたか?」


 ちょっと困ったふりをして見せた。


「クララをベッドに縛り付けて何がしたい!」


「病弱な貴方の幼馴染の体調を心配しているからですわ」


「それはしなくていいと言った筈だぞ」


「このままゲストムールを占拠されては困りますもの。ジェラール様と同室でお互いの世話をしあうとその分、メイド達の仕事の手間が省けますでしょう?」


「ケチケチするな! それに私がいないと困るだろう!」



「……仕事をされる気になりましたの? ここに来て一ヶ月程……何もされてこなかったですのに」

「う、それはだな……この屋敷に慣れるようにとだな」


「わかりましたよ。慣れてきたと受け取ってよろしいのですか? 仕事をされると言うのなら、お部屋からお出になりますか? そのかわり引き続き、クララさんのご面倒はジェラール様お願いしますわね」


「は! なぜ俺が?」


「ジェラール様のゲストですもの。我が家の使用人がお世話をするのはおかしいでしょう?」


「……その件だが! 俺の使用人を買収したのか!」


「まぁ……失礼な。伯爵家から来られた使用人が自ら侯爵家で働きたいと言ったのですわ。ねぇ、メイド長」


「はい。その通りでございます。近いうちに寿退社をするものが二名、親の看病のために故郷へ戻るものが二名いましたので、ちょうど良かったですし、身元もしっかりとしていましたので、執事長と相談して採用させていただきました」


「む……」


「そう言うことです。執務のことに関しては執事長から配分されますので、後はよろしくお願いします」


 言うことは言ったので、そっと部屋から立ち去りました。

 クララさんがやけに静かな事は気になりましたわね。


 他のゲストルームの物を勝手に使われては困るので鍵を閉めたまま。


 備品庫もしっかりと施錠確認はしたし、後はどう出るかお楽しみですわね。




 数時間後、クララさんが部屋から脱出して他のゲストルームへ入ろうとしていた事が判明。何かを持って行こうとしていたのかしら……。


 鍵が掛かっていたので諦めた様子で、その足で調理室へ向かったそうです。


 食べ物を寄越すようにと、するとコックに病人食を出されて癇癪を起こしたとの事です。


 ティータイムをしたいと他のメイドを捕まえて言ったそうですが、「なりません。身体を一番に考えてください」と部屋へ連れ戻されたようです。


 一方ジェラール様はしばらく書類に目を通したそうですが、理解が追いつかないせいか、外出したそうです。


 まぁ、一番面倒な書類を渡すように指示しましたから頭を悩ます事でしょうね。



 クララさんは看護師の検温の際に部屋にいなくて看護師が屋敷内を捜索し、見つかったさいに鎮静剤を打たされ大人しくなったそうですわね。



 なんでも捕まった時に、元気いっぱい暴れたから。



 病弱設定はどこへ消えたのでしょうか?





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