【完】婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました

さこの

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セリーナ街歩きをする


 明日は週末で家族の待つ屋敷に帰れる日。学園も終わったので今日から屋敷に帰る様に許可を頂いてあるので、サムさん、ダニエルさんに王都の街を案内してもらいました。


 いつも行っていた街とは反対側の、市民の方が多い街です。


 反対側というのは貴族街で護衛が常にいますし、舗装された美しい街並みにブティック、スイーツ店、カフェなどがゆったりと構えているという感じですわね。


 こちらの市民の街は活気があって、人がたくさん! 歩いていると通りすがりの方と肩がぶつかりそうになります。


「セリーナ様! お気をつけ下さい」

「ありがとう。でも平気ですわよ。お祭りみたいですわね。いつもこのように人がたくさんいますの?」

 サムさん、ダニエルさんに聞きました。


「夕飯が近いですからね。家の仕事を終えた主婦たちが買い物に出る時間帯でもあります。早く仕事を終えた男たちは、店の前で軽く一杯飲んで帰ったりと言う感じです」

「まぁ。そうですの。うちの父も兄も仕事を終えてお酒を飲んで帰ってくる事がありますの。同じですわね」

「……同じなのかな? 行動はそうですね。同じです!」


 違いましたのね。失礼致しました、まだまだ市民の生活を知る必要がありそうです。


「セリーナ様、ここが僕の家がやっているパン屋です」


 大きくはないけれど清潔な建物で立派ですわね。支店があるくらいですもの。この辺では有名なパン屋さんなのでしょうね。


 所狭しとパンが並んでいますが、売り切れた商品も多々ありました。


「お昼頃にはたくさんの種類が並ぶんですけど、今は売り切れで種類が減っています。このパンがうちの売りです」

 バターの香りがする艶々のクロワッサンでした。お菓子作りをしていて分かったのですが、きっと手間暇かけて作られたものなんでしょうね。


 パン作りの工房は見えるようになっていて、何人ものパン職人が工房内の片付けをしていました。本日分のパンは作り終えたのでしょうね。


「美味しそうですわね。あら、こちらのパンも見たことが有りませんわ」

 丸くて可愛らしいコロンとしたパンです

「中にクリームを入れてあるんですよ。スイーツの様な甘いパンです。こちらは特に女性に好まれています」


「そうですのね。甘いパンなんて初めて見ますわ。購入したいのですが、どの様にお会計しますの?」

 パンといえば食事パンが主流です。甘いパンは知りませんでした。興味があります。


「はい。ここにトレーとトングがあるので、お好きなものをトングで取りトレーに載せます。その後、あちらの会計係に渡して袋詰めをして貰い、会計となります」


「初めてですわ!」


 侍女も一緒に来ていたので、侍女がトレーとトングを取ろうとしたので

「私がやりたいですわ」


「いいえ。お手伝い致します。もし落とされでもしたらパンが可哀想です」


「そ、そう? それならお願いね」


 侍女とのやりとりをサムさんとダニエルさんに笑われてしまいました。


 数種類選んで会計に進みました。

 するとサムさんのご両親が出てきて、帽子を取り丁寧に挨拶をしてくださいましたわ。


 私の方がお世話になっていますのにね。奥にお茶をご用意しますと言われ、せっかくなので奥の席へと移動しました。


 焼き立てのパンを食べられる様にカフェの様なスペースが設けられていました。

 林檎と蜂蜜のフレッシュジュースをご馳走になりました。喉越しが爽やかでとても美味しく頂きました。

 ご両親の話を聞くと、パン屋さんを新たに作るにあたり、このシステムを導入したのはサムさんの意見だそうです。


 以前はショーケースに並んでいたものを、店員が取っていたそうですわ。

 自分で選ぶというのはとても楽しいですもの。支店は食パンやクロワッサンに特化した販売をしているので、お店は小さくショーケースに並んであるものを注文というシステムなのだそうです。


「ありがとうございました、とても有意義な時間でしたわ。サムさん、ダニエルさんそれではまた学園で」

「「はい。お気をつけて」」




 楽しかったですわ。お家に帰って家族に話をしましょう。


******


「殿下、ジュリアナさんですが、少々不敬ではありませんか?」


「何かあったか?」


「殿下の事をお名前でお呼びしていました。名前呼びを許されたのですか?」


「許した覚えはない」


「それではきちんと咎めなければいけません。学園と言ってもそこはきちんとしなくては他の生徒に示しがつきませんよ」


「分かった。三ヶ月の世話役だと思って適当に相手にしてきたがセリーナが聞いたらよく思わないだろうな」


「えぇ、そうです。そのセリーナ嬢ですが本日は王都の市民の街へ行かれた様ですよ」


「なんだって! 危険じゃないか! 人が沢山いるところで、ぶつかったりしたらどうするのだ! 舗装されていない道もまだまだあるのに躓いたりしたら怪我するだろうが!」


「無事にお屋敷に帰られました。報告だけです」


「市民の街の整備を急がせないと!」


「はい。その書類がこちらで、工事にかかる費用と照らし合わせてくださいね」


「なるほど! 早くしないと冬が来る。少しずつでも進めていかなくては」


「そうですね。ついでに○△橋の補修もしなくてはなりませんね。セリーナ嬢が通るかもしれませんし」


「あそこか! もしもの水害に備えなくてはならんな! セリーナの足を止めるわけには行けない。遠回りになる」


「そうですね。これも……提出してしまいますか?」


「徹夜になりそうだな。明日は休みだからやっつけてしまおう」



「はい。お付き合いしますよ」


「悪いな」



 必要以上に仕事をさせる優秀な側近達だった



 
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