26 / 30
学園長
しおりを挟む「まずはそのくせの悪く薄汚い足なんて要らないだろう。切り取って使えなくしてやろう。その後は反省するまで毎日鞭打ち、罪人が入れられる牢に収監ってところかな。私も優しくなったものだ」
「何が優しくよ!」
ばっかじゃないの! 小さい声でつぶやいた
「何か言ったかね? バカとか聞こえたような……? これは笑ってしまうね。ここは王立学園で私が君の処罰を決められるんだ。王族をここまでバカにするとは、呆れた。私たちも平民に舐められたものだな」
学園長が見るからに上等な椅子から腰を上げ、立ち上がった。
「私たちって……」
変な汗が出てきたわ……学園長は確かに品格が備わっている感じはするけど……
「あぁ、知らなかったのか? それは君が不勉強なせいだな? 特に勉強ができるわけではないものな、君は」
「私は優秀だから入学できたんです!」
学園長は失礼な人ね!
「まだ分かっていないのか? 平民の中でも格が違うというフロス商会が、そこそこの金額を寄付してきたから入れてやったんだよ。平民の女子生徒を来年から増やし、世話役を君に頼もうと思っていたのに、当てが外れた。勉強については学園で真面目に向き合えばすぐ取り返せるだろうと踏んでいたが、ダメだったな」
学園長は成績表を見せてきた。下から五番目? 嘘でしょ!
「君以外の平民の生徒は皆良い成績を収めているよ。下位の生徒は貴族だから退学にはならない。多額な入学金を入れているからね。問題さえ起こさなければ良い」
「お金なの?!」
「君たちは授業料も何もかも全て寄付金で賄われているから当然成績が悪いと退学になる。学ぼうとしないものにただで飯を食わせる事はしない。学園はボランティアではない」
「お父様が寄付金出したんでしょ?」
「そこそこのね。君の学園生活一年分にも満たない額だ」
「お父様がケチったの? またお金を入れれば良いの?」
「言っただろう? この学園は私の采配でいろんなことが決められる。私にはその権利がある。王立学園の学園長として、王家の一族として」
「…………王族」
「ジェフェリーとセリーナは将来の国王と王妃だ。そのセリーナに怪我を負わせた。それだけでも十分理由になるだろう。退学くらいで済ませてやるんだ」
「でもジェフェリー様は私の世話役でしたし、セリーナ様も大した、」
「王太子殿下の名前を気安く呼ぶな。舌を抜いても足らん侮辱だな。王太子が庶民の世話をするなんて学園でしか考えられない事だ。交流を持ち庶民の暮らしを知ると言う社会勉強だ。じゃないと世話役なんかさせるか! 大した怪我じゃないだと? 暴力を振るった事に変わりない」
「……そんな」
ただ転んで体をぶつけただけなのに。足を捻ったとかその程度よ?
「王太子は婚約時からセリーナしか見ていない。あの庶民の読んでいるゴシップ誌は事実無根で訴えられ、謝罪文を載せたのち廃刊になっておる。お前の名前も出ていたから実家に帰っても大変だろうな。もし学園に残っても地獄、実家に帰っても地獄と言うことだ」
「私の居場所まで無くそうとするなんて」
「ジェフェリーは賢い。セリーナを愛しているが故素直になれなかった事を反省している。そんなジェフェリーが他に女を作るとは到底思えない。街の噂というものは前からある。もちろん面白おかしくかかれる事もあった。しかしあくまで噂だ」
「街のみんなは王族がどんな暮らしをしているかなんて分からないもの」
「噂はあくまで噂であれば良い。それをまるで真実だと面白おかしくネタを提供する様な輩が一番好かん。王族とはただ着飾って遊んでいるだけではない。王は毎日執務に外交にと励んでいる。今度お前たちの街の整備がされるのは知っているか?」
「えぇ、知っています」
ふふん。と鼻を鳴らした。本来なら数年後と言われていたこうじでしょ? 知っているわよ、バカにして!
「それはジェフェリーが手配しておる」
「ジェフェリー様が?!」
え! もしかして私の為に? 馬車で移動できないところもあって不便だったもの。ちゃんと考えてくれているのね!
顔がにやけるのがわかる。
「薄気味悪い顔をして何を考えている想像を絶するが違うぞ。ジェフェリーは学生でありながらも立派に仕事をしていると言う事だ。王族としての義務を果たしている。我々は国を良くする為に日々努力をしている。表には出さないがな」
「貴族のそう言うところって嫌いだわ」
「お前は貴族ではないから言われる筋合いはない。政治をするにあたり感情を表に出すのはしていけない行為だからな」
「だから貴族の人たちは薄ら笑いをしていているのね」
「貴族に対する侮辱も追加だな。ジュリアナ・フロス、これより学園を退学とする。学園長である私が決めた判断であり異議は認められない! 荷物を纏めて一刻も早く学園から立ち去れ! この生徒を寮まで連れて行き校門を出るまで監視するように。暴力性を秘めているから他の生徒に手を出されては困るからな、後は頼んだ」
「「「はい」」」
三人のどこから連れてこられたかわからない屈強な男たちに連れ出されて行くジュリアナだった。
167
あなたにおすすめの小説
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります
本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました
音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。
____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。
だから私は決めている。
この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。
彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。
……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。
【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています
22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」
そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。
理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。
(まあ、そんな気はしてました)
社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。
未練もないし、王宮に居続ける理由もない。
だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。
これからは自由に静かに暮らそう!
そう思っていたのに――
「……なぜ、殿下がここに?」
「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」
婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!?
さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。
「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」
「いいや、俺の妻になるべきだろう?」
「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」
皇太子から愛されない名ばかりの婚約者と蔑まれる公爵令嬢、いい加減面倒臭くなって皇太子から意図的に距離をとったらあっちから迫ってきた。なんで?
下菊みこと
恋愛
つれない婚約者と距離を置いたら、今度は縋られたお話。
主人公は、婚約者との関係に長年悩んでいた。そしてようやく諦めがついて距離を置く。彼女と婚約者のこれからはどうなっていくのだろうか。
小説家になろう様でも投稿しています。
婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
婚約者の私を見捨てたあなた、もう二度と関わらないので安心して下さい
神崎 ルナ
恋愛
第三王女ロクサーヌには婚約者がいた。騎士団でも有望株のナイシス・ガラット侯爵令息。その美貌もあって人気がある彼との婚約が決められたのは幼いとき。彼には他に優先する幼なじみがいたが、政略結婚だからある程度は仕方ない、と思っていた。だが、王宮が魔導師に襲われ、魔術により天井の一部がロクサーヌへ落ちてきたとき、彼が真っ先に助けに行ったのは幼馴染だという女性だった。その後もロクサーヌのことは見えていないのか、完全にスルーして彼女を抱きかかえて去って行くナイシス。
嘘でしょう。
その後ロクサーヌは一月、目が覚めなかった。
そして目覚めたとき、おとなしやかと言われていたロクサーヌの姿はどこにもなかった。
「ガラット侯爵令息とは婚約破棄? 当然でしょう。それとね私、力が欲しいの」
もう誰かが護ってくれるなんて思わない。
ロクサーヌは力をつけてひとりで生きていこうと誓った。
だがそこへクスコ辺境伯がロクサーヌへ求婚する。
「ぜひ辺境へ来て欲しい」
※時代考証がゆるゆるですm(__)m ご注意くださいm(__)m
総合・恋愛ランキング1位(2025.8.4)hotランキング1位(2025.8.5)になりましたΣ(・ω・ノ)ノ ありがとうございます<(_ _)>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる