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学園長
「まずはそのくせの悪く薄汚い足なんて要らないだろう。切り取って使えなくしてやろう。その後は反省するまで毎日鞭打ち、罪人が入れられる牢に収監ってところかな。私も優しくなったものだ」
「何が優しくよ!」
ばっかじゃないの! 小さい声でつぶやいた
「何か言ったかね? バカとか聞こえたような……? これは笑ってしまうね。ここは王立学園で私が君の処罰を決められるんだ。王族をここまでバカにするとは、呆れた。私たちも平民に舐められたものだな」
学園長が見るからに上等な椅子から腰を上げ、立ち上がった。
「私たちって……」
変な汗が出てきたわ……学園長は確かに品格が備わっている感じはするけど……
「あぁ、知らなかったのか? それは君が不勉強なせいだな? 特に勉強ができるわけではないものな、君は」
「私は優秀だから入学できたんです!」
学園長は失礼な人ね!
「まだ分かっていないのか? 平民の中でも格が違うというフロス商会が、そこそこの金額を寄付してきたから入れてやったんだよ。平民の女子生徒を来年から増やし、世話役を君に頼もうと思っていたのに、当てが外れた。勉強については学園で真面目に向き合えばすぐ取り返せるだろうと踏んでいたが、ダメだったな」
学園長は成績表を見せてきた。下から五番目? 嘘でしょ!
「君以外の平民の生徒は皆良い成績を収めているよ。下位の生徒は貴族だから退学にはならない。多額な入学金を入れているからね。問題さえ起こさなければ良い」
「お金なの?!」
「君たちは授業料も何もかも全て寄付金で賄われているから当然成績が悪いと退学になる。学ぼうとしないものにただで飯を食わせる事はしない。学園はボランティアではない」
「お父様が寄付金出したんでしょ?」
「そこそこのね。君の学園生活一年分にも満たない額だ」
「お父様がケチったの? またお金を入れれば良いの?」
「言っただろう? この学園は私の采配でいろんなことが決められる。私にはその権利がある。王立学園の学園長として、王家の一族として」
「…………王族」
「ジェフェリーとセリーナは将来の国王と王妃だ。そのセリーナに怪我を負わせた。それだけでも十分理由になるだろう。退学くらいで済ませてやるんだ」
「でもジェフェリー様は私の世話役でしたし、セリーナ様も大した、」
「王太子殿下の名前を気安く呼ぶな。舌を抜いても足らん侮辱だな。王太子が庶民の世話をするなんて学園でしか考えられない事だ。交流を持ち庶民の暮らしを知ると言う社会勉強だ。じゃないと世話役なんかさせるか! 大した怪我じゃないだと? 暴力を振るった事に変わりない」
「……そんな」
ただ転んで体をぶつけただけなのに。足を捻ったとかその程度よ?
「王太子は婚約時からセリーナしか見ていない。あの庶民の読んでいるゴシップ誌は事実無根で訴えられ、謝罪文を載せたのち廃刊になっておる。お前の名前も出ていたから実家に帰っても大変だろうな。もし学園に残っても地獄、実家に帰っても地獄と言うことだ」
「私の居場所まで無くそうとするなんて」
「ジェフェリーは賢い。セリーナを愛しているが故素直になれなかった事を反省している。そんなジェフェリーが他に女を作るとは到底思えない。街の噂というものは前からある。もちろん面白おかしくかかれる事もあった。しかしあくまで噂だ」
「街のみんなは王族がどんな暮らしをしているかなんて分からないもの」
「噂はあくまで噂であれば良い。それをまるで真実だと面白おかしくネタを提供する様な輩が一番好かん。王族とはただ着飾って遊んでいるだけではない。王は毎日執務に外交にと励んでいる。今度お前たちの街の整備がされるのは知っているか?」
「えぇ、知っています」
ふふん。と鼻を鳴らした。本来なら数年後と言われていたこうじでしょ? 知っているわよ、バカにして!
「それはジェフェリーが手配しておる」
「ジェフェリー様が?!」
え! もしかして私の為に? 馬車で移動できないところもあって不便だったもの。ちゃんと考えてくれているのね!
顔がにやけるのがわかる。
「薄気味悪い顔をして何を考えている想像を絶するが違うぞ。ジェフェリーは学生でありながらも立派に仕事をしていると言う事だ。王族としての義務を果たしている。我々は国を良くする為に日々努力をしている。表には出さないがな」
「貴族のそう言うところって嫌いだわ」
「お前は貴族ではないから言われる筋合いはない。政治をするにあたり感情を表に出すのはしていけない行為だからな」
「だから貴族の人たちは薄ら笑いをしていているのね」
「貴族に対する侮辱も追加だな。ジュリアナ・フロス、これより学園を退学とする。学園長である私が決めた判断であり異議は認められない! 荷物を纏めて一刻も早く学園から立ち去れ! この生徒を寮まで連れて行き校門を出るまで監視するように。暴力性を秘めているから他の生徒に手を出されては困るからな、後は頼んだ」
「「「はい」」」
三人のどこから連れてこられたかわからない屈強な男たちに連れ出されて行くジュリアナだった。
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